会社から支払われる「退職金」で借金を返す場合の注意点

会社を辞める時に受け取ることができる「退職金」。サラリーマンの方の中には、この退職金を借金(主に住宅ローン)の返済に充てることを考えている方もいらっしゃるようです。

しかし、いつでも退職金が必ず円満に支払いされるとは限りません。いざ仕事を辞めてみて、退職金が思ったよりも少なくて多額の住宅ローンが残ってしまった、では困りますよね。

というわけで、今回は退職金の相場額について一緒に見ていきましょう。

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退職金の支給は「企業の義務」ではない!

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退職金の支給は、法律で企業に定められた義務ではありません。退職金制度が一切ない企業も中にはありますが、これは別に違法ではありません。

厚生労働省が平成25年に行った調査によれば、現在何らかの退職金制度がある企業は全体の75.5%となっています。つまり、4社に1社は退職金制度が全くないというわけです。

退職金を借金返済の当てにしていたのに、辞めてみたら1円ももらえなかった、では困りますよね。そんなことがないように、必ず事前に確認しておきましょう。

ちなみに、常用労働者が30人~99人の企業では72.0%であるのに対して、1000人以上の企業では93.6%となっています。

今の時代大企業も万全ではない、とは言いますが、とはいえやはり中小企業よりは大企業のほうが福利厚生が充実していることは間違いないようです。

退職金制度には「退職一時金制度」と「退職年金制度」がある!

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退職一時金とは、退職時に一括して支払われる退職金のことです。いわば一回限りのボーナスです。一方、退職年金制度とは、退職後一定の期間、もしくは亡くなるまで支払われる年金のことです。

全体の6割以上の企業が、両者の制度を併用しています。借金の返済に充てやすいのは退職一時金なので、ここより後では退職一時金について中心に説明します。

退職金制度は「人事・総務」や「就業規則」で確認できる!

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自分の会社に退職金制度があるか確認する方法は簡単です。人事部や総務部の人間に聞けばいいだけです。別に退職金のことを聞いたからと言って、その後の職場での扱いが不利になることはほとんどありません。

ただし、あまりストレートな聞き方をすると驚かれるかもしれないので、「定年までこの仕事を続けたら老後は大丈夫なのか」といったような、少し彎曲的な聞き方をしたほうがいいかもしれません。

誰にも知られずに制度を把握したい場合は、社内規定(就業規則など)を確認しましょう。企業には就業規則を周知する義務があります。

最近はそのことについてしっかりと把握している企業が多いので、社内ネットからダウンロードできるケースが多いようです。計算方法は複雑かと思いますが、電卓をたたいて地道に計算していきましょう。

退職一時金相場、定年まで勤めれば1300万円~1500万円!退職年金がある場合はさらに1000万円アップ!

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とはいえ、退職金の相場も気になりますよね。他人がどれくらいお金を貰っているのか気になるのは人間の性です。一般的に退職一時金の支給額は以下の式で算出されます。

退職一時金金額=退職時の基本給×勤続年数×給付率

退職時の基本給と勤続年数については説明することもないですね。基本給が高く、勤続年数が長いほうが支給額も多くなります。大企業のほうが退職一時金が多いのは、基本給が高いためです。

問題は給付率です。給付率は企業ごとに設定されていますが、一般的には以下のような数値が採用されています(あくまでも平均値ですので、実際の数値は企業の就業規則等を確認してください)。

勤続年数(年)自己都合による給付率平均(%)会社都合の給付率平均(%)
14372
33351
53651
104255
154759
205262
255765
305966
355965
定年まで69

試しにいくつか例を見てみましょう。

例1:基本給20万、勤続年数3年、自己都合退職の場合
退職一時金金額=20万×3×36%=21.6万円

例2:基本給40万、勤続年数25年、会社都合退職の場合
退職一時金金額=40万円×25×65%=650万円

例3:基本給50万、勤続年数38年、定年退職(会社都合退職)の場合
退職一時金金額=50万円×38×69%=1311万円

定年まで勤めあげた場合のおおよその退職一時金は1300万円~1500万程度程度といわれています。退職年金制度を併用している場合は、ここにさらに1000万円程度が上積みされることになります。厚生労働省の調査によれば、退職金の平均支給額は以下の通りです。

大学卒(管理・事務・技術職)
退職一時金制度のみ:1567万円
退職年金制度のみ:2110万円
両制度併用:2562万円

高校卒(管理・事務・技術職)
退職一時金制度のみ:1470万円
退職年金制度のみ:1822万円
両制度併用:2272万円

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退職金にもかかる税金、しかし結果として無税になることも

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しかし、当然のことながらこの金額が全部そのままもらえるわけではありません。退職金も所得の一つですから、所得税と住民税がかかってきます。しかし、退職金は今後の生活の原資にもなることから、通常の所得と比べると大幅な所得控除が認められています。

退職所得は以下の計算式で導き出されます。

退職所得=(退職金-退職所得控除額)÷2

退職所得控除額は以下の計算式で導き出されます。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 勤続年数×40万(下限80万)
20年を超える 勤続年数×70万+800万円

試しにいくつか例を見てみましょう。

例1:基本給20万、勤続年数3年、退職金21.6万円の場合
退職所得控除額=3×40万円=120万円
退職所得=(21.6万円-120万円)÷2=-49.2万円。所得がマイナスなので税金は発生しない。

例2:基本給40万、勤続年数25年、退職金650万円の場合
退職所得控除額=25×40万円=1000万円
退職所得=(650万円-1000万円)÷2=-175万円。所得がマイナスなので税金は発生しない。

例3:基本給50万、勤続年数38年、退職金1311万円の場合
退職所得控除額=38×40万円=1520万円
退職所得=(1311万円-1520万円)÷2=-104.5万円。所得がマイナスなので税金は発生しない。

例4:基本給50万、勤続年数38年、退職金2562万円の場合
退職所得控除額=38×40万円=1520万円
退職所得=(2562万円-1520万円)÷2=521万円。所得がプラスなので所得税、住民税が発生する。

このように、退職金が退職一時金しか支払われない場合は、結果として無税になることが珍しくありません。

例4については退職所得521万円に対して税金が課せられます。所得税は5~40%、住民税は一律10%なので、最大で50%(260.5万円)が税金で持って行かれます。

退職金では借金を払えない、そんなときは法律事務所へ

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さて、こうして手元に残る退職一時金の金額がわかったら、そこから借金を返していく必要があります。

退職後再就職が決まっている場合はそのほとんどすべてを借金の返済に充ててもいいかもしれませんが、再就職が決まっていない場合、あるいはリタイアする場合は注意が必要です。年金受給開始までの間は無収入になるからです。

平成26年の厚生労働省の調査によれば、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦の平均支出は約27万円/月です。仮に5年間の間無収入になる場合、27万円×60か月=1620万円を確保しておく必要があります。ただでさえ借金が残っている人にとっては用意するのが相当大変な金額ですよね。

とても老後の生活が持ちそうもない、という場合は、法律事務所の弁護士などの専門家に電話などで相談するのも一つの手段です。

任意整理や個人民事再生、自己破産などで借金を圧縮することができれば退職金にほとんど手を付けずに済みます。退職金が手元にたくさん残れば老後の生活はより安定したものになります。

もちろん、任意整理や個人民事再生、自己破産などをしないで済むのならそれに越したことはありませんが、それに固執するあまりに老後の生活が破たんしてしまっては元も子もありません。最終的にはそのような手段もあるということを、覚えておいてください。

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