金融庁がBitFlyerなど11取引所を登録、ビットコイン取引透明化へ

金融庁は2017年9月29日、ビットコインなどの仮想通貨の交換業を行う「仮想通貨取引所」について、最大手のBitFlyerなど11社を登録したと発表しました。

以前から大手仮想通貨取引所として知られていたBitFlyerやZaif(テックビューロ)のほか、マネーパートナーズとSBIバーチャルカレンシーズの2社が新規参入しました。

政府監督のもとで仮想通貨取引をする消費者に対して一定の保護がなされるようになり、大きな一歩といえるでしょう。

仮想通貨取引所の登録制度について

以前は、仮想通貨取引所は政府の厳しい監督を受けない取引所でしたが、当時大手取引所として多くの投資家が利用していたマウントゴックスが破綻した2014年頃から、政府が仮想通貨取引をする消費者の保護をすべきだという機運が高まりました。

このような動きを受けて、国会では2016年に仮想通貨法が改正され、仮想通貨がどういうものなのかが定義されました。

それとともに金融庁は2017年4月の仮想通貨法施行から半年後の2017年10月より、仮想通貨取引所(仮想通貨交換業者)の登録制度を開始。

事前に定めた審査基準を満たした仮想通貨取引所のみ今後も事業を続けられることになりました(ただし、2017年9月いっぱいまでは既存の取引所は「みなし交換事業者」として当面は事業を続けることが出来ました)。

審査結果

2017年4月の段階で、みなし交換事業者として認めれたのは全部で40社でしたが、そのうち12社は「金融庁が定めた審査に通過するのが難しい」との理由で廃業を決定。

残りの28社のうち2社は登録申請をしておらず、申請をした26社の9社は無事審査に通過。残りの17社はまだ審査が続いています。審査中は、2017年10月以降もみなし交換事業者として事業が続けられます。

一方で、いままで仮想通貨取引業とは無縁だったFX業者や証券会社なども相次いで金融庁に接触。

うちマネーパートナーズとSBIバーチャル・カレンシーズの2社が審査に通過しました。前述の9社と合わせて、以下の11社が金融庁から認められた正式な仮想通貨取引所となりました。

  • マネーパートナーズ
  • QUOINE
  • bitFlyer
  • ビットバンク
  • SBIバーチャル・カレンシーズ
  • GMOコイン
  • ビットトレード
  • BTCボックス
  • ビットポイントジャパン
  • フィスコ仮想通貨取引所
  • テックビューロ(ZAIF)

将来的にはしばらくは新規参入が続き、その後消費者満足度が低い仮想通貨取引所から順に淘汰されていくものと思われます。

4つの審査基準

金融庁が定めた審査基準は以下の4つです。

  • サイバーセキュリティやBCP(事業継続計画)などのシステムの堅牢性に関わる体制
  • 本人確認など資金洗浄対策の状況
  • 顧客の預かり資産と自社の仮想通貨の分別管理体制
  • 顧客への適切なリスク説明や詐欺的営業の排除など利用者保護の体制

サイバーセキュリティやBCP(事業継続計画)などのシステムの堅牢性に関わる体制

仮想通貨取引所の利用者にとって最も大きなリスクはサイバー犯罪(すましによる送金など)です。サイバー犯罪対策はすべての仮想通貨取引所に求められるものであり、審査基準に入っているのは当然といえます。

どのような対策を行っているかは取引所によって異なりますが、コールドウォレット(インターネットから切り離された状態で保管されているウォレット)はすべての国内取引所が採用しています。

ただし、コールドウォレットを採用していれば必ず安全というわけではありません。コールドウォレットが正しく機能していない可能性もありますし、内部的な不正が起こる可能性もあるからです。

また、利用者も二段階認証を設定したり、仮想通貨取引所ごとにパスワードを使い分けたりといった工夫をした方がいいでしょう。

もう一つの大きなリスクは仮想通貨取引所自体の倒産です。銀行の場合は銀行自体が倒産しても預金が1000万円まで保全されますが、仮想通貨取引所にはそのような仕組みが現状ありません。

だからこそ投資家は仮想通貨取引所に長期的に仮想通貨を保管すべきではありませんし、仮想通貨取引所は経営破綻しないように適切な事業計画を立てる必要があります。

本人確認など資金洗浄対策の状況

仮想通貨はクレジットカードや銀行振込などと比べると匿名性が高い決済手段です。匿名性の高さはユーザーに取っては大きなメリットをもたらす一方で、違法薬物や児童ポルノなどの違法取引の決済手段、あるいは資金洗浄(違法な手段で得たお金の出処をわからなくする行為)などに使用されるリスクもあります。

政府がこれらの犯罪を防ぐために、仮想通貨取引所に対策を求めるのは当然といえます。

仮想通貨取引所の本人確認は現状、運転免許証や保険証などの身分証明書のスキャンを提出することに成り立っていますが、将来的にこの本人確認の仕組みが強化される可能性は十分にあります。

顧客の預かり資産と自社の仮想通貨の分別管理体制

仮想通貨取引所には、顧客から預かった資産と仮想通貨取引所自身が保有する資産を分別管理することが求められます。分別管理のイメージは、大きな金庫を2つ用意して、そのうちの1つに顧客の資産を全部入れて、もう1つに仮想通貨取引所自身の資産を全部入れる、といった感じです。

分別管理を徹底することによって、万が一仮想通貨取引所の資産が尽きて倒産することになった場合でも、顧客の資産は守られます。

ただし、現状では仮想通貨取引所が本当に顧客からの資産と自身の資産を分別管理しているのかを外部から確認する仕組みがまだ整っていません。分別管理しています、と対外的には言っておいて、実は両者を混在させている、ということがありえます。

一方、証券会社は現在、信託保全という仕組みを採用しています。これは顧客から預かった資産を信託銀行という銀行に預け、管理を委託する仕組みです。

信託保全は分別管理の派生系ですが、これならば証券会社が本当に顧客の資産と証券取引所の資産を分別しているかは信託銀行に問い合わせれば一発でわかります。

将来は仮想通貨取引所もこれと似た仕組みを採用するのではないかと考えられます。

顧客への適切なリスク説明や詐欺的営業の排除など利用者保護の体制

仮想通貨取引は損をする可能性もある投資の一種であり、元本保証の商品ではありません。仮想通貨取引所はそのことを事前に投資家に対して十分に告知する必要があります。

現状で審査に合格していない業者の取扱い

2017年10月3日時点では多くの仮想通貨を取り扱っていることで有名なcoincheckを筆頭に、17社の審査が続いています。これらの仮想通貨取引所は、とりあえず審査の結果が出るまでは営業を続けられることになっています。

審査に合格すればもちろんその後も営業を続けられますが、落ちた場合は営業終了となります。まだ審査に合格していない取引所を使っている場合は、早めに取引所内に保管している仮想通貨を別のウォレットに移動しておいたほうが良いかもしれません。

なぜcoincheckの審査は遅い?

これについてはなんとも言えません。金融庁がどのような手順で審査を行っているかはわからないからです。ただ、coincheckの場合、取り扱っている仮想通貨の種類が多く、その中に匿名性の高い通貨も混じっていることが、審査遅れの原因となっていると推測することは可能です。

前述の通り、金融庁は資金洗浄対策を審査項目の一つに入れています。見方を変えれば、資金洗浄に使われそうな仮想通貨を取り扱っている業者に対しては審査が厳しくなる、ともいえます。

coincheckはDASH(旧ダークコイン)やZcashなど、ビットコインと比べて匿名性の高い仮想通貨を取り扱っており、それが審査遅れの原因になっていることは十分に考えられます。

その場合、coincheckは審査に合格するために、これらの仮想通貨の取扱を辞める可能性があります。一方で、これらの仮想通貨の取扱を続けつつ審査に合格する可能性もあります。現時点では後者の可能性のほうが高いかと思いますが、安心はできません。

仮想通貨取引所の選び方

今回の審査ではとりあえず11の仮想通貨取引所が審査に合格しましたが、この11社ならばどこを選んでも同じかというと、そんなことはありません。現時点で取引高が多いほうが多くの手数料収入が得られるぶん経営的には安定しており、セキュリティに回せる資金も多いはずですから、基本的には取引高が多い仮想通貨取引所を選ぶべきでしょう。

2017年9月時点で、仮想通貨の月間取引高が多い国内の仮想通貨取引所トップ5は以下のようになっています。

  • coincheck:6910億円
  • bitFlyer:2500億円
  • Quoine:680億円
  • Zaif:780億円
  • BtcBox:290億円

1位のcoincheckは現時点でまだ審査が終わっていないのでとりあえず保留として、残りの2位~5位の何処かから選ぶのが無難かと思われます。

また、仮想通貨取引所によって扱っている仮想通貨は異なります。また、仮想通貨取引所を名乗っているものの、その実態は仮想通貨販売所に近いということも少なくありません。

仮想通貨販売所とは、業者と直接仮想通貨を売買するところであり、利用者どうして売買する仮想通貨取引所とは全くの別物です。仮想通貨販売所は確実に売買ができる反面、手数料が高いケースがあるので注意が必要です。

まとめ

  • 11の仮想通貨取引所が金融庁の審査に合格し、登録された
  • 審査基準は「サイバーセキュリティやBCP(事業継続計画)などのシステムの堅牢性に関わる体制」など、全部で4つ
  • 大手ではcoincheckの審査がまだ終了していない
  • 基本的には取引高が多い仮想通貨取引所を使うのが安全

仮想通貨取引所は今後しばらくは増えるかと思いますが、その後は淘汰・統廃合が進む可能性が高いです。いまのうちに安全な仮想通貨取引所を見分ける目を鍛えておきましょう。