中国の大手取引所が閉鎖でビットコインが急落!今後の展望は?

中国の大手ビットコイン取引所3箇所が、相次いで取引を停止すると発表し話題となっています。それに伴いビットコインの価格は一時的に急落し、ここ1ヶ月ほど1BTC=45万円前後で安定していた価格は一時期1BTC=33万円台にまで落ち込みました。その後価格はいくらか戻し、1BTC=40万円程度で推移していますが、以前の水準に戻るには至っていません。

今回は中国の大手ビットコイン取引所が相次いで取引を中止した理由、中国以外の国の規制、そして今回の出来事がビットコイン価格に与える影響について考えてみたいと思います。

中国政府の為替操作とビットコインの関連性

ビットコインと中国は深い関係性があると聞いたことがある方は少なくないかと思います。実際、2017年初頭まではビットコインと最も多く取引されていた法定通貨は人民元でした。その割合は全体の80~90%程度と圧倒的多数でした。

単純に人口が多く、電気料金が安くてマイニング向きの環境が整っていることも理由の一つですが、中国の富裕層が人民元を信頼していないことも理由の一つとしてあげられます。

中国の政府当局は、人民元の為替レートを安定させるために為替操作をしているとされています。為替操作とは、人民元と外貨の交換比率を操作することです。中国は現在、為替レートの変動を市場にある程度任せる一方で、政府の介入も認める「管理変動相場制」を採用しています。

そして、基本的に中国政府は人民元をある程度安くするように操作しています。自国通貨を安くすると、輸出時により多くの利益が得られるからです。

例えば、日本で1ドル=6人民元のときに100ドルで輸出しても600人民元にしかなりませんが、1ドル=10人民元のときに100ドルで輸出すれば1000人民元になります。円安が日本の輸出産業に有利になるのと同様に、人民元安は中国の輸出産業に有利になります。

一方で自国通貨安が続くと、海外から入ってきた資金・資本が逃げていくというデメリットもあります。例えば日本人が中国の企業に投資した場合、人民元が安くなればそれだけ投資した資金が目減りしてしまいます。

人民元安が今後も続くと日本人が懸念した場合、資金・資本を引き上げてしまうかもしれません。そのため、中国政府は行き過ぎた人民元抑制を緩和させるために、人民元を買い介入することもあります。

なぜ中国政府はビットコインの取引を制限し、富裕層はそれを逃れようとするのか

中国政府が為替操作を頑張って一定の為替レートを保とうとしても、中国国民がそれに反するような行動をしてしまっては、せっかくの為替操作の効果が失われてしまいます。

例えば中国政府が人民元を買い戻しても、多くの資産家が人民元を売って外貨や海外の不動産、あるいは金(Gold)などを得ようとすれば、為替操作の効果は失われてしまいます。そのため、中国政府は人民元と外貨や金融資産との交換に対して規制を入れようとします。

しかし、中国の富裕層は基本的に自国通貨である人民元を信用していないため、人民元を何とかして「信頼できる他の何か」と変えようとします。その対象にビットコインが含まれていたため、人民元とビットコインが多く交換されるという状態が続いたのです。ビットコインを使えば海外へも簡単に送金できますしね。

中国政府はこのような状況に対して、金融機関によるビットコイン取引を停止させたり、かと思えば政府が非公式にビットコインを認可したりと、一貫性のない態度を取ってきましたが、今回大きく規制に傾いたようです。

今回規制の対象となったのはビットコイン取引所であり、店頭販売は容認されるとのことですが、取引量が大きく減ることは間違いないでしょう。

中国以外でも進む規制

最も、このような強力な規制がかかっているのは中国だけではありません。ビットコインに対する向き合い方は国によってまちまちです。各国がどのような姿勢で臨んでいるかは、ビットリーガルというサイトで公開されている世界地図を見ればわかります。

リンク先で表示される世界地図のうち、緑で塗られている国は規制が極めて少ない国、黄色は現在規制するかしないかで論争している国、赤は仮想通貨の使用を禁止している国、黒は不明な国です。現状では

  • 日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国、オーストラリア、南米及び南アフリカの一部の国「
  • 中国、ロシア、インドなど「黄色
  • ドミニカ、エクアドル、ボリビアなど「
  • 南米の一部の国、南アフリカの大半の国、中東の一部の国、モンゴル、北朝鮮など「

となっています。いわゆる先進国や民主主義国家の多くが緑となっている反面、旧社会主義国家は「黄色」となっていることが多いです。

現状「黄色」で、なおかつ世界に与える影響力が大きい中国、ロシア、インドなどの今後の態度次第で、ビットコインの行く末が決まるかもしれません。

ここからは、主要な国の仮想通貨に対する態度を紹介します。

日本

日本は世界的にかなり規制の少ない国でしたが、2017年4月に改正資金決済法(仮想通貨法)が成立し、ある程度の規制がなされるようになりました。最も、規制の内容は

  • 仮想通貨を決済方法の一つとして認める
  • 利用者保護の観点から、仮想通貨取引所に対して国への登録を義務付ける(半年間の猶予期間あり)
  • 仮想通貨購入時の消費税が非課税になる

など、全体的に見れば投資家にとっては有利なものとなっています。全くの無秩序状態で取引をするよりは、これくらいの規制があったほうが安全です。

アメリカ

アメリカには50の州があり、州ごとにビットコインに関するルールが異なります。州によっては送金事業者の免許が必要だったり、ライセンス取得費用が高額だったりします。

アメリカ合衆国国内歳入庁(日本の国税庁に相当)は2014年3月、ビットコインを「通貨」よりも「資産」に近いものであると方向付け、収入にはキャピタルゲイン税(株や不動産などの資産を売買したときにかかる税金)を掛けるのがふさわしいという意見を表明しています。

2013年11月には議員6人からなる連邦選挙委員会(アメリカの選挙資金法制を管理・執行する独立規制機関)で「ビットコインを政治キャンペーンに使用可能とするか否か」で論争が起き、共和党議員3人が賛成し、民主党議員3人が反対しました。

イギリス

ビットコインを自国通貨(ポンド)もしくは外貨と交換する場合、付加価値税(日本の消費税に該当)はかかりません。しかし、ビットコインやアルトコインで物品を買う場合は、付加価値税が適用されます。

オーストラリア

2017年7月1日に、仮想通貨の通貨の購入に一般消費税がかからなくなりました。イノベーションはオーストラリア国内の生産性向上に寄与するという考え方の元、ビットコインに対してはかなり寛容な姿勢を見せています。

シンガポール

2013年9月に、シンガポール金融管理局(中央銀行)は「もしビットコインの運用が停止したら、誰にもその責任を問えないし、返金や援助を求める相手がいない」と警告を発しています。また、同年12月には「ビットコインを物品やサービスの報酬として受け取るかどうかの判断は商業上のものであり、MAS は干渉しない」と、規制もしないが救済もしない姿勢を明示しています。

スイス

2013年12月、スイス連邦議会(国会)の議員45人が、政府に対して金融業界においてビットコイン利用可能性を評価するように求めています。会計や税務などを取り扱うアーンスト・アンド・ヤング(EY)のスイス支社は、2017年からビットコインでの支払受付を開始しています。その他、ビットコインATMの設置や社員用ウォレットの配布も行っています。

また、国鉄サービスのSSBがビットコイン販売を開始するなど、国を挙げてビットコインの普及に取り組んでいます。各国が規制を強める中で、かなり進歩的と言える取り組みを行っています。

ドイツ

ドイツの連邦財務省は、ビットコインを外貨・電子貨幣ではなく「プライベート貨幣」であるという声明を出しています。目立った規制などは存在せず、エネルギー会社のenercityは公共料金の支払にビットコインを受け付けるという取り組みを世界に先駆けて始めています。

一方で、中央銀行総裁であるJens Weidmann氏はビットコインなどのデジタル通貨は将来、壊滅的な金融危機をもたらす可能性があると語っています。

ベルギー

政府はビットコインに対して一貫して不干渉しない立場を取っています。財務大臣はビットコインの利用は「何の問題もない」「国立銀行は何ら反対しない」と述べています。

香港

2013年11月HKMA(香港の通貨当局)の最高責任者であるノーマン・チャンは、「ビットコインが仮想的資産で、ビットコインを規制しない」と発言しています。

ロシア

2014年1月、ロシア連邦中央銀行(ロシアの中央銀行)は、ビットコインの使用はロシアで禁止されている「貨幣の代替」に当たると生命を発表しています。

そのようなものの使用はテロリスト活動への資金援助や反社会的団体の資金洗浄に使われる可能性があると警告しており、ロシアの検事総長局は、ビットコインは貨幣代替物であり「個人や法人によって用いられてはならない」と念を押しています。一方で中央銀行は暗号通貨(仮想通貨)を禁止する計画を持たないとも明言しています。

インド

インドでは現金主義文化が根付いており、それゆえに高額紙幣が犯罪位使われることが多かったことから、2016年に高額紙幣(500ルピー及び1000ルピー紙幣)が廃止となりました。この廃止によって厳禁への需要がビットコインへと流れており、政府も合法化への動きをみせています。

一方で、RBI(インドの中央銀行)は2013年に、インドの公衆に対し「ビットコインを含むデジタル通貨の売買に耽らないように」というアドバイスを発表し、それにともなって国内のビットコイン取引所が一部事業を停止するという自体にもなっています。

中国政府の今回の決定が市場に与える影響は限定的?

今回の中国政府の規制によって、ビットコインは一時的に時価総額が2割近くも減る暴落を起こしましたが、数日で大きく戻しており、影響はそれほど大きくなってはいません。

もちろんこのあとさらに暴落する可能性も十分あるのですが、現時点ではそれほど大きな影響は出ていないといえるでしょう。その背景には、日本円や米ドルの取引量の増加に伴う中国の影響力低下があります。

前述の通り、2017年初頭まではビットコインと最も多く取引されていた法定通貨は人民元だったのですが、2017年2月頃に日本円が人民元を抜き去ってトップに立ちます。その後米ドルも人民元を抜き去り、現在は「日本円30~40%、米ドル30~40%、人民元10~15%、その他15~20%」というバランスになっています。

取引量と保有量が必ずしも一致するわけではないですし、単純に日本とアメリカが中国よりもビットコインに対して強い影響力を持つとはいえないのですが、以前と比べてビットコインに対する中国の影響力が弱まっている可能性は高いです。

また、中国もの富裕層は今後も様々な抜け道を通じてビットコインの取引を進めるものと思われます。特に規制が比較的少なく距離も近い日本は、中国の富裕層にとっては取引がし易い国であり、中国から日本への資金流入が進むと予想できます。

長期投資が目的なら急騰・急落は気にせず、毎月一定額拠出するのがおすすめ

ビットコインが急落したということは、言い換えれば買いやすくなったということでもあります。今のうちにビットコインを買い込んでおいたほうが良いのでしょうか、それとももう少し様子を見てさらに価格が下がるのを待ったほうが良いのでしょうか。

非常に難しい問題ですが、個人的には短期的な急騰や急落は気にせず、毎月一定の金額買っていく「ドルコスト平均法」を用いた投資をおすすめします。ドルコスト平均法とは、ビットコインの価格にかかわらず、毎月一定額を拠出して、その分だけ買い増していく投資法のことです。ビットコインのみならず、アルトコイン、株式など、ありとあらゆる投資に使える考え方です。

この投資法の素晴らしいところは、平均購入単価を下げられることです。ドルコスト平均法では自然と「高い時は少しだけ買い、安い時はたくさん買う」ことになるため、何も考えずに買っても平均購入単価が安くなり、その分利益が上がりやすくなるのです。

この投資を成功させるコツは、必ず一定のペースで機械的に買っていくことです。「毎月1日に買う予定だったけど、今は高いしもう少し待ってから……」などという恣意的な判断は一切してはいけません。その時点で高かろうが安かろうが、買うと決めた日に一定額を拠出します。

時には高値づかみしてしまうこともあるでしょうが、長期的に投資していけば平均購入単価は下がっていくはずです。

まとめ

  • 中国の大手取引所が取引を停止すると発表し、ビットコインの時価総額が2割ほど減少した
  • 為替操作で人民元を安定させたい中国政府にとって、人民元を過剰に流出させるビットコインは厄介な存在
  • 人民元を信用しない中国富裕層は、ビットコインを資産保全に活用したいと考えている
  • 中国以外の国にも規制があるが、その内容や程度博にによって異なる
  • 日本は比較的規制が少なく、中国の富裕層からも注目されている
  • ビットコインに長期投資する場合は、急騰や急落に一喜一憂せずドルコスト平均法を活用するのがおすすめ

ビットコインは世界のどこでも使える通貨であるゆえ、国外で発生した事件や規制なども価格に影響を及ぼします。こうした動向にも目を配っておきましょう。