ビットコインのアービトラージってなに?その仕組みを紹介

「アービトラージ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?日本語では「裁定取引」と言ったりします。もう少し砕けた言い方だと、「利ざやで稼ぐ」とか「サヤ取り」なんて言われることもありますね。

こういった言葉を聞いたことはあるけれども、意味はよく知らないという人も多いでしょう。簡単に言うと、「安く買って、高く売る」ということです。さらにわかりやすくするために具体例を出しましょう。

たとえば、水の価値は地域によって異なりますよね。日本では蛇口をひねれば安全で冷たい水をいくらでも入手できます。

しかし、砂漠のど真ん中ではそうはいきません。蛇口なんて当然ありませんし、もしオアシスのような場所が存在したとして、水がいくらかあったとしても、その水が安全である保証はどこにもありません。

つまり、水の価値は国、地域によって大きく異なるのです。そのため、日本で飲み水を大量に、格安で手に入れて、砂漠でそれを売れば大儲けできるでしょう。これが利ざやで稼ぐ、ということです。

そして、ビットコインでもこの仕組み、手法を利用して稼ぐことができます。それはどんなやり方なのかについて、以下で詳しく解説していきますね。

取引所ごとの価格の差を利用する

現在、ビットコインを取引できる取引所は数多くあります。どこでも同じように日本円でビットコインを購入できるのですが、実は取引所ごとに微妙な価格差があるのです。

この理由の一つとして、取引所ごとに売買手数料や取引手数料が違うことが挙げられます。ビットコインを購入する場には「販売所」と「取引所」がありますが、販売所で買う場合にこの理由があてはまりますね。

販売所でコインを購入する際、それに含まれている手数料が違えば、当然、他の取引所のコイン価格と差が生まれます。そこまで大きな差にはならないでしょうが、確実に存在する以上、それを利用すれば利益をあげることは可能です。

また、ビットコイン自体の価格も販売所ごとに多少の差があります。この2つが上手く組み合わされると、より大きな価格差が生まれるでしょう。

もう一つの理由として、取引所ごとの市場の違いがあります。取引所ではユーザー同士がビットコインの売買を行っていますが、取引所が違えば参加しているユーザーも異なります。

そのため、コインを売りたい人と買いたい人のバランス、取引量が異なるのはある意味当然です。

極端な例を言うと、ある取引所で1BTCを100円で1000BTC分売るよという人が現れれば、その取引所のバランスは崩壊し、他の取引所の価格と非常に大きな差が生まれるでしょう。

100円でビットコインを購入し、そのあとすぐに他の取引所でそのビットコインを売却すれば、ものの数分で莫大な利益を上げられることになります。

もちろんこれは極論で、こんなことが起こることはまずありえません。一つの取引所でビットコインの価格が暴落すれば、他の取引所でもそれにつられて価格が変動するためです。

それでも微少な価格差は常に生じています。そしてこれを利用して稼いでいる人がいるのも事実なのです。

仮想通貨市場はアービトラージのチャンスが大きい?

現在、仮想通貨市場はアービトラージのチャンスが大きいと言われています。これは、
市場への参加者がまだまだ少ないことによるものです。

参加者が少なければ、一人ひとりの需要や供給がより強く市場に反映されます。そのため、取引所ごとの取引価格に差が生まれやすくなるのです。

反対に参加者が多くなれば、市場価格は均質化していきます。数学の平均の考え方と同じですね。たとえば、100、100、1では平均は70弱ほどになりますが、100が100個ある中に1が混じっても、平均はほぼ100に近いものになります。

ビットコインをはじめとした仮想通貨は、まだ登場してから数年しか経っていません。時価総額もまだまだ少なく、市場としては未成熟なものです。もし、これから市場が大きく成長していけば、アービトラージで稼ぐ難易度は上昇していくでしょう。

ちなみに、アービトラージは決して違法なものではありません。抜け穴を上手く利用している感が強いですが、合法なものであり、むしろ市場の調整に役立っているとの見方もあります。

どこか一つの取引所で大きな価格差が生まれ、それを目的にその取引所に人が集まれば、必然的に需要が大きくなり、自然と差は埋まっていくはずです。

つまり、アービトラージを狙う人が増えるほど、市場はより均質化に近づいていく、とも考えられるのですね。

コインの種類が複数あることも追い風に

暗号通貨市場にはビットコイン以外にも無数のコインがあります。それらをアルトコインと呼ぶのですが、このアルトコインの存在がアービトラージのチャンスをより増やしているのです。

アルトコインの一例として「リップル(XRP)」や「イーサリアム(ETH)」などが挙げられます。これらは日本円の他にビットコイン建てで購入することもできるため、購入に至るためのルートは2種類あると言えます。

そして、日本円→リップルというルートで購入した場合と、日本円→ビットコイン→リップルというルートで購入した場合に、価格差が生まれることがあります。前者では1XRPあたり25円なのに、後者では24円といった具合ですね。

そして、リップルを日本円に換金した場合のレートが1XRPあたり24.7円であったとすれば、単純にリップルを買ってすぐに売っただけで1XRPあたり0.7円の儲けが出るわけです。

このようなパターンが全てのアルトコインで生じる可能性があるので、仮想通貨市場はアービトラージがやりやすいと言われるのですね。

取引所の多さ、そしてアルトコインの存在が、ビットコインによるアービトラージを容易にしているのです。

アービトラージを行う際の注意点

ここまでの説明を読むと、アービトラージはなんだか簡単そうに思えるかもしれません。ただ、アービトラージで稼ぐためには何の知識も必要ないというわけではなく、いくつか注意点があります。

それらを知らないと、裁定取引をしたら結局損してしまったなんてことにもなりかねないので、どんなリスクがあるのかをしっかり把握してから取り組むようにしましょう。

取引所間のコイン送付は手数料が発生する

アービトラージを行うためには、複数の取引所を利用することがほぼ必須です。少しでも安い取引所で買い、少しでも高く売れる取引で売却する必要があるためです。

ただ、ある取引所で購入したコインは、他の取引所へのコインの送付手続きをしない限り、その取引所内でしか売却できません。

そして、この送付手続きにはある程度の手数料が発生するのです。わずかな額とはいえ、小さな価格差で地道に稼がなければいけないアービトラージにとって、この手数料は大きな足かせになってしまいます。

手数料をゼロにすることはできませんから、裁定取引で利益を出すためには一度の取引である程度の稼ぎを出さなければなりません。

そのため、大きな資産を持っていたほうが有利になります。これは資産運用全般にも言えることですが。小さな投資資金で小金を稼いだとしても、手数料で相殺されてプラマイゼロになってしまうでしょう。

送付時にコインが消失するリスク

取引所間でコインを移動させる際、移動先の取引所名や、移動させるコインを入力する必要があります。

その際、万が一間違ったデータを入力してしまい、そのまま手続きを進めてしまうとコインが消失してしまう可能性があります。

仮想通貨はその名の通り、実態をもたない存在です。一度データが失われてしまえば、二度と復旧できないリスクは多分にあります。

とくに、アービトラージは時間との勝負にもなりますから、焦ってデータを入力してしまい、コインが消えてしまった、なんてことは十分考えられることです。取引所間を移動させる際は、入力内容に誤りがないか確実にチェックするようにしましょう。

アービトラージで稼ぐには時間が必要

アービトラージで大きく稼ごうとするなら、多くの時間を市場にチェックに費やす必要があります。価格差がいつ生まれるかの予測は難しいですし、生まれたらすぐに対応しなければなりません。

長期投資のように、本業の片手間で稼ごうというのはやや厳しいでしょう。最初から大きな資産があれば可能かもしれませんが、数万、数十万の資産では難しいです。

税金に関する法整備がまだ進んでいないことによるリスク

仮想通貨は生まれてまだ間もないうえに、本格的に盛り上がってきたのはつい最近です。そのため、ビットコインに関する法整備は全く追い付いていないのが現状です。

一般人にとくに影響があるのは税金関係で、売買のどの時点で課税されるのか、所得の種類は何になるのかなどはまだまだ不透明な状況であり、多くの投資家を悩ませています。

売買のどの時点で課税されるのかについてはとくに重要で、日本円に戻した際なのか、それとも他のコインとトレードした時点での利益なのかなど、意見が分かれています。

もし、他のコインを購入した時点で課税されるのであれば、確定申告の負担が一気に増してしまうでしょう。とくに、アービトラージは他のコインとの取引を積極的に行う方法ですから、負担はより大きくなることが予想されます。

現時点では所有しているコインは日本円に戻さず、税金に関する法律が整備されるまでホールドしておく、という選択をしている投資家も多いようですが、アービトラージではそれが実質不可能なのが難しいところですね。

下手すると税の申告漏れで脱税の疑いをかけられかねませんから、これもリスクの一つであると考えておくべきでしょう。

まとめ

アービトラージとは利ざやで稼ぐことであり、安く買って、高く売ることである、ということが理解できたでしょうか?

仮想通貨市場はアービトラージで稼ぎやすいとはいえ、いきなり初心者がチャレンジするのは無謀です。まずは現物取引から始めてみて、ビットコインやアルトコインの売買に慣れていったほうがいいでしょう。

そして、ある程度の資産があるならばアービトラージにトライしてみてもいいかもしれません。ただ、上記で紹介したリスクについてはしっかり把握しておきましょうね。