ビットコイン投資をする上で気をつけたいのが税金の扱いです。ビットコイン投資で売却益が出た場合は、その金額に応じて確定申告を行い税金を支払わなければなりません。
今回はビットコインで売却益を得た場合の税金の計算方法をまとめてご紹介したいと思います。
目次
ビットコイン投資で得た売却益は譲渡所得もしくは雑所得扱いとなる
ビットコイン投資で売却益が出た場合、その利益は通常譲渡所得扱いとなりますが、雑所得となることもあります。(2017年6月時点)。
譲渡所得とは不動産や株式など、あるいはビットコインなどの資産の売買で得た売却益のことです。例えばビットコインを500万円で購入し、それを800万で売った場合、譲渡所得は800万円-500万円=300万円となります。雑所得とは、給与所得や事業所得などに含まれないその他の所得のことです。
ビットコインは「通貨」だが「モノ」でもある
ビットコインはお金であり、それ自体で買い物ができます。金融庁もビットコインを貨幣であると明言していますし、海外ではEU最高裁もビットコインは通貨に類するとの判断を下しています。そういった意味で、ビットコインは「通貨」であるといえます。
一方で現段階では税制上、ビットコインは「モノ」として扱われます。ビットコインには実態がありませんが、あくまでもモノとして扱われます。モノなので売却で利益が出たら譲渡所得が発生するわけですね。
ビットコインで得た譲渡所得は給与所得・事業所得と合算可能だが雑所得は不可能
所得税法で、所得は10種類に分離されています。例えば会社員や公務員として得た給与は給与所得、自営業者として得た所得は事業所得となります。
種類の異なる所得をすべてを合算して所得税を求める方法を総合課税と言います。一方、種類の異なる所得ごとに所得税を別々に計算する方法を分離課税と言います。日本では以下の所得が総合課税の対象となります。ここに書かれていないものについては、分離課税の対象です。
- 利子所得(源泉分離課税・申告分離課税とされるものを除く)
- 配当所得(源泉分離課税・申告分離課税とされるものを除く)
- 事業所得(株式等の譲渡等による事業所得を除く)
- 不動産所得
- 給与所得
- 譲渡所得(土地および株式等の譲渡等による譲渡所得、源泉分離課税とされるものを除く)
- 一時所得(源泉分離課税とされるものを除く)
- 雑所得(株式等の譲渡などによる雑所得、源泉分離課税とされるものは除く)
総合課税の対象となっている所得は損益通算が可能です。例えば、給与所得が300万円、不動産所得が200万円ある場合、所得が500万円あるものとして所得税を計算します。
ビットコインの売買で得た売却益を譲渡所得と見なす場合、それは「土地及び株式などの譲渡による譲渡所得」に含まれないため、総合課税の対象となります。つまり、総合課税の対象となるわけです。ビットコインの売買で得た売却益を、給与所得や不動産所得とは合算して所得税を計算できるわけです。
例えば譲渡所得が200万円、給与所得が500万円だった場合は、総合所得が700万円であるものと考えます。
一方、雑所得と見なす場合は分離課税の対象となります。給与所得や不動産所得とは別に所得税を計算することになります。
例えば雑所得が200万円、給与所得が500万円だった場合、雑所得の200万円にかかる所得税と、給与所得の500万円にかかる所得税は別々に算出します。両者を合計して所得が700万円だったものとして所得税を計算するのは間違いないので注意しましょう。
問題ははどちらとして申告したほうがメリットが大きいのかということですが、コレについては一長一短としか言えません。雑所得と見なす場合、控除枠がないため全額課税対象となりますが、給与がいくら高くてもかかる税金は一定です。
一方、譲渡所得と見なす場合、50万円の特別控除が受けられますが、給与所得と合算されるため、本業で稼いでいる人は税金が跳ね上がってしまう可能性があります。
譲渡所得には5つの種類がある
譲渡所得は譲渡した資産の種類によって税法上、さらに以下のように分類されます。
- 総合短期譲渡所得(総合所得)
- 総合長期譲渡所得(総合所得)
- 土地建物等の分離短期譲渡所得(分離所得)
- 土地建物等の分離長期譲渡所得(分離所得)
- 株式等の譲渡所得(総合所得もしくは分離所得)
総合~という名前になっている譲渡所得は、総合課税の対象となります。それ以外の譲渡所得は分離課税の対象となります。短期と長期の境目は、資産の保有期間が5年を超えていたかどうかです。例えば5年以上保有した土地や建物を売却して得た譲渡所得は「土地建物等の分離長期譲渡所得」に分類されます。
ビットコインは保有期間に応じて、上2つのどちらかになります。
譲渡所得が50万円以下の場合、原則として譲渡所得にかかる税金は0円
譲渡所得にかかる所得税の詳しい計算方法は後でご説明しますが、譲渡所得が50万円以下の場合は、原則として税金はかかりません。50万円の特別控除枠があるためです。
ビットコインの売却益にかかる所得税(譲渡所得編)
ここからは具体的に、ビットコインの売却益があった場合の所得税の計算をしていきたいと思います。まずは譲渡所得と見なす場合について考えます。計算方法は以下のとおりです。
一見複雑に見えますが、理解してしまえば非常に簡単な式です。
譲渡収入金額とは、ビットコインを売却したことによって得られた金額のことです。いくらでビットコインを買ったかは問題ではなく、いくらで売ったかのみに注目します。
取得費とは、ビットコインを購入した際にかかった、ビットコイン自体の金額のことです。
譲渡費用とは、ビットコインを購入した際にかかった、ビットコイン自体以外の金額(手数料)のことです。
特別控除は一律50万円です。
具体的に計算してみましょう。ビットコインを50万円、手数料1000円で購入し、120万円で売却した場合について考えます。この場合、譲渡所得は以下のようになります。
となり、この金額が給与所得や不動産所得など他の取得と合算されます。譲渡所得が少しでもある場合は、その額にかかわらず必ず確定申告を行います。
ビットコインの売却益にかかる所得税(雑所得編)
雑所得の計算方法はもっと簡単で、以下の通りになっています。
具体的に計算してみましょう。ビットコインを50万円、手数料1000円で購入し、120万円で売却した場合について考えます。この場合、雑所得は以下のようになります。
なお、年末調整をしているサラリーマンや公務員で、なおかつ雑所得が20万円以下だった場合、確定申告は不要です。それ以外の場合は確定申告が必要です。
ビットコインの売却損がある場合は、一部の譲渡所得と合算可能
ビットコインを売ることによって売却損が発生した場合、それを譲渡損失とみなせば、一部の他の譲渡所得(金・ゴルフ会員権・美術品などの売却益)と通算することが可能です。
例えばビットコインの売却損が100万円で、金の売却益が100万円の場合は、両者を通算して譲渡所得を0円とすることができます。
ビットコインの脱税はほぼ確実にバレる
ビットコインは現実にものとして存在しないため、脱税が簡単にできそうに思えますが、実際にはむしろ逆で、法定通貨よりも脱税がバレやすいです。取引がすべてログとして残るからです。
法定通貨を用いた取引は小額だと明確に記録が残らないことが殆どですが、ビットコインはそうは行きません。脱税などというせこいことは考えないほうが良さそうです。
まとめ
- ビットコイン投資で得た売却益は譲渡所得もしくは雑所得扱い
- 給料が多い場合は雑所得扱い、少ない場合は譲渡所得扱いが特になる事が多い
- ビットコインの脱税はほぼバレる
ビットコインは現時点では税制が十分に整備されていませんが、今後急速に整えられる可能性が高いです。ビット恋での投資を考えている方は、法整備の様子を見つつトレードを行っていきましょう。