今すぐできる!個人事業主におすすめの節税方法とは?

個人事業主にとって、本業と同じくらい大切なのが「節税」です。せっかく本業で得た所得を国や自治体に余計に持っていかれてはたまりませんよね。ということで今回は、個人事業主の方におすすめな、手軽にできて効果の大きい節税方法を全部で3つ紹介いたします。

所得税を計算する方法は実はとっても簡単!

具体的にどのようなことをすればいいのかお話する前に、まずは所得税の仕組みを軽く解説しましょう。この仕組みを理解すれば、さらに効果的な節税が行えます(ご存知の方は次の見出しまで飛んでいただいて構いません)。

2019年時点での所得税の計算方法は以下のようになっています。一見複雑に見えますが、四則演算さえ分かればOKです。

  • 所得税=課税所得×税率-課税控除額-税額控除
  • 所得=収入-経費
  • 課税所得=所得-所得控除
所得税率と課税控除額
課税所得金額 税率 課税所得額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 9万7500円
330万円を超え695万円以下 20% 42万7500円
695万円を超え900万円以下 23% 63万6000円
900万円を超え1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円を超え4000万円以下 40% 279万6000円
4000万円超 45% 479万6000円

式と表だけ見せられてもよくわからない、という方も多いかと思いますので、少し細かく解説いたします。

所得、課税所得、所得控除とは

所得税の計算の大本になるのが「所得」です。所得とは収入から経費を引いたもので、簡単に言えば「正味の利益」のことです。

収入は個人事業の場合はほぼ売上と同義です。一方、経費とは、収入を得るための事業にかかった費用のことです。例えば収入が1000万円であっても、その売上を得るために300万円使っている場合、所得は700万円となります。

次に、課税所得を計算します。課税所得とは、所得から所得控除を引いたものであり、所得税の計算に直接使われる数字です。課税所得が少ないほど、所得税も少なくなります。

所得控除とは、税負担能力が低い人の所得税を減免するための仕組みのことです。所得控除が適用されるとその分だけ課税所得も低くなり、その結果所得税も安くなります。

所得が同じであるからといって、税負担能力まで同じであるとは限りません。例えば所得が600万円で独身の人と、同じく所得が600万円で既婚で子供が3人いる人では、明らかに後者のほうが税負担能力が低いです。

また、所得が400万円の健常者と、所得が400万円の障害者では、やはり明らかに後者のほうが税負担能力が低いです。こうした税負担能力の低い人の負担を軽減するための措置が所得控除なのです。

所得控除は「配偶者控除(配偶者がいると受けられる)」や「扶養控除(扶養家族がいると受けられる)」、「障害者控除(障害者だと受けられる)」など全部で13種類あり、複数適用も可能です。例えば配偶者がいる障害者の場合は、配偶者控除と障害者控除の療法を受けられます。

所得が減ると所得税も減るため、所得控除は大いに越したことはありません。

課税所得から税額を割り出す

課税所得が導けたら、いよいよ税額を計算します。例えば課税所得が200万円の場合、上記の式と表より、所得税は以下のようになります。

  • 所得税=200万円×10%-9万7500円-税額控除=10万3500円-税額控除

税額控除とは、計算された所得税額から直接金額を差し引く制度です。代表的なものが「住宅ローン控除」です。例えば3万円の税額控除を受けられる場合、所得税は10万3500円-3万円=7万3500円となります。

所得税を減らすコツは「経費」「所得控除」「税額控除」を増やすこと!

ここまで読んですでに感の言い方はお気づきかと思いますが、所得税を減らす上で大切なことは「経費」「所得控除」「税額控除」を増やすことです。経費と所得控除を増やせば課税所得が減り、その分所得税が減ります。税額控除を増やせば、ダイレクトに所得税が減ります。この3つをいかに増やしていくかが、所得税を節税するためのポイントと言えます。

経費の勘定科目を知り、何が経費になるのかを知ろう!

経費とは先程も少し触れましたが、収入を得るための事業でかかった費用のことです。店舗を借りるための家賃、従業員を雇うための人件費、商品を仕入れるための費用、ボールペンを買うための費用、更には光熱費など、その範囲は多岐にわたります。

収入が同じならば、経費が増えれば増えるほど課税所得が少なくなるため、経費として計上できるものはすべて計上するのが節税になります。

しかし、本来は経費に該当しないものまで計上してしまうと、後の税務調査で追徴課税が発生することもありえますので、注意が必要です。経費に計上してもいいもの、してはいけないものを見分ける眼を養うことが、節税の第一歩と言えるでしょう。

経費はいくつかの勘定科目に分けられます。勘定科目とは、経費をさらに細かく分類するためのカテゴリみたいなものです。勘定科目の決め方は自由であり、法律で「●●にかけたお金は✕✕という勘定科目に入れなければならない」などと決められているわけではありませんが、一般的には以下のような名称がよく使われます(ここで紹介するものが全てというわけではありません)。

租税公課

租税公課とは、経費に相当する税金(租税)や公的な負担金(公課)のことです。具体的には

  • 契約書に貼る印紙代
  • 事業に必要な建物や土地にかかる固定資産税
  • 事業で使う自動車の自動車税
  • 住民票の発行手数料
  • 商工会議所や協同組合に支払う会費や組合費

などが該当します。

  • 所得税や住民税など所得から支払われる税金
  • 加算税・加算金や延滞税・延滞金、罰金など

は租税公課には含まれないため注意が必要です。特に所得税・住民税の扱いは初心者が間違いがちですので注意しましょう。

損害保険料

損害保険料とは、万が一の事故、事件、災害などから事業を守るために掛けた保険料のことです。具体的には

  • 事業用の自動車に掛ける自動車保険料(自賠責保険、任意保険)
  • 店舗に掛ける火災保険料
  • 店舗に掛ける地震保険料

などが該当します。対象となるのはあくまでも事業で使う自動車や建物に掛けた保険であり、

  • 事業主の生命保険料
  • 店舗でない自宅を対象とした火災保険料
  • 店舗でない自宅を対象とした地震保険料
  • 国民年金保険料
  • 国民健康保険料

などは該当しないので注意が必要です(生命保険料は後述する所得控除の対象となります)。

地代家賃

地代家賃とは、事業で使うための店舗や駐車場などを借りるための費用のことです。具体的には

  • 家賃
  • 月極駐車場の賃料

などが該当します。

個人事業主の場合は自宅をそのまま仕事場とすることが多いかと思いますが、その場合は仕事場の専有面積や営業時間をもとに按分をします。按分とは、事業主としての支出(経費に含まれる)と個人的な支出(経費に含まれない)を分けて考えることです。

例えば、自宅件事務所の家賃が10万円で、事業用の比率が3:個人用の比率が7の場合は、10万円×3/10=3万円を地代家賃として計上します。按分の比率は使っている面積や時間の割合をもとに計算します。決められた計算方法は存在しておらず、税務署員に按分の根拠を尋ねられた時に、納得してもらえるような合理的な理由を用意しておくことが大切です。

水道光熱費

水道光熱費とは、事業の運営に必要な公共料金などのことです。具体的には

  • 水道料金
  • 電気料金
  • ガス料金
  • 石油台
  • 灯油代

などが該当します。自宅が事務所を兼ねている場合は、地代家賃と同様に按分によって経費の割合を決めます。

通信費

通信費とは、通信のためにかかった経費の総称です。具体的には

  • インターネット料金
  • 電話料金
  • 郵便料金

などが該当します。個人事業とプライベートで同一の回線を利用している場合は、按分によって経費の割合を決めます。

広告宣伝費

広告宣伝費とは取り扱っている商品やサービスを不特定多数に知らしめ、売上を増加させるために使った費用のことです。いくらいい商品でも知られなければ売れることは当然ないため、ここに費用をかける個人事業主も少なくありません。具体的には

  • 雑誌に商品を掲載してもらうために広告代理店に払った費用
  • Websiteの制作費用
  • パスターやカタログなどの印刷費用

などが該当します。

なお、広告宣伝費に該当するのは、あくまでも「不特定多数の人に向けて送る広告にかかった費用のみ」です。取引先などの限られた人のみを対象としたものは、「接待交際費」に分類されるのが一般的です。

接待交際費

接待交際費とは、事業を円滑に行うために、特定の人(主に取引先、仕入先など)と食事や外出をする際にかかった費用のことです。具体的には

  • 取引先に送るお中元やお歳暮の費用
  • 取引先とのゴルフプレー料金
  • 取引先の関係者が亡くなった際に出した香典

などが該当します。

修繕費

修繕費とは、固定資産の修復、もしくは現状維持のために使われる費用です。固定資産とは流通を目的とせず、消耗品にも該当しないような資産の総称です。細かく上げるとキリがありませんが、例えば土地や建物、機械装置や車両運搬具などが該当します。また、営業権や商標権、著作権やソフトウェアなどの形がない固定資産もあります。

  • 古くなってきた建物を修繕するための費用
  • 故障した機械を修理するための費用

などが該当します。

人件費

人件費とは、雇用契約に基づいた、主に労働の対価として従業員に支払う費用のことです。具体的には

  • 給与、各種手当
  • 賞与
  • 退職金
  • 現物支給されている定期券代や社宅の費用
  • 慶弔金、社員旅行費

などが該当します。人件費=給与と捕えている方は少なくないかと思いますが、実際にはその範囲は広く、また結構複雑です。

福利厚生費

福利厚生費とは、社員の勤労意欲の向上、労働力の確保などを目的に使われる費用です。具体的には

  • 従業員への結婚祝い金
  • 出産祝い金
  • お見舞金
  • 社員旅行の費用

などが該当します。なお、福利厚生費として認められるためには

  • 社員全員を対象とした平等な費用であること
  • 社会的な常識に照らし合わせた額とすること

という条件を満たす必要があります。特定の社員を対象とした支出は人件費として取り扱われます。

外注工賃

外注工賃とは、外部の業者に作業を発注した際にかかる費用のことです。具体的には

  • ホームページ作成費用
  • 事務代行依頼費用
  • 営業代行依頼費用

などが該当します。

旅費交通費

旅費交通費とは、出張や仕事のための移動などにかかる費用の総称です。具体的には、

  • 仕事で移動する際の電車賃、バス代、タクシー代、航空券代、定期券代
  • 出張の際に乗る新幹線のチケット代やホテル宿泊料金
  • 仕事で使った駐車場料金、高速道路料金、ガソリン代

などが該当します。

なお、ここで言う定期代とは、事業者本人が使う定期代のことを指します。従業員が使う定期代は通常、旅費交通費に含めます。また、月間や年間の駐車法を契約しているときは、地代家賃に含めます。

利子割引料

利子割引料とは、事業のために支払った利息や手形の割引料などのことを指します。具体的には

  • 銀行や消費者金融から借りたお金を返すときにかかった利息
  • 手形を金融機関に引き取ってもらったときにかかった手数料

などが該当します。

貸倒金

貸倒金とは、回収できなくなってしまった損失金額のことです。具体的には

  • 得意先が倒産し、回収できなくなった売掛金
  • 貸付先が倒産し、回収できなくなった貸付金

などが該当します。これらの回収できなくなったお金は、貸倒金として経費に計上することが認められています。

なお、売掛金や貸付金などが回収できなくなりそうなことが事前にわかっている場合は、売掛金の一部に当たる金額を「貸倒引当金」として経費に計上できます。

消耗品費

消耗品費とは、10年未満、もしくは法定耐用年数が1年未満のものを購入する際にかかる費用の総称です。具体的には

  • 文房具
  • インク
  • 電球
  • 名刺
  • 事務机・事務椅子

などが該当します。

法定耐用年数とは、法律で決められた耐用年数のことです。例えば金属製の事務机、事務椅子などは法定耐用年数が15年と定められていますので、金額が10万円以上だった場合は消耗品費には含めず、後述する減価償却で対応します(10万円以下だった場合は消耗品費になります)。

減価償却費

減価償却費とは、減価償却によってかかった経費のことです。

減価償却とは、効果で法定耐用年数が長いもの(≒固定資産)を購入したときに、その費用を数年~数十年に渡り計上する仕組みのことです。

例えば、事業用の鉄筋コンクリート造の建物を1億円で購入したとします。事業用の鉄筋コンクリート造の建物の法定耐用年数は50年なので、1億円を50年に分けて支払ったものとして計算します。

減価償却の方法には定額法と定率法がありますが、個人事業主の場合は原則として定額法で計算します。定率法を使いたい場合は、予め申請する必要があります。

定額法とは、毎月同じ金額を経費として支払ったものとみなす、という計算方法です。例えば上記の例の場合は、1億円を50年に分けて支出したと考えますので、毎月の減価償却費は1億÷50年=200万円/年となります。

「なんでこんな面倒なことをするんだ?」と思われるかもしれませんが、これは費用収益対応の原則を実現するためです。費用収益対応の原則とは、長期的に使うもの(≒固定資産)にかかった費用は、1回で会計処理するのではなく、収益を得る年数に応じて分けたほうが望ましいとする考え方です。

例えば、建物は10年、20年、あるいはそれ以上の期間に渡り、収入を生む源となります。にもかかわらず、建物を購入するのにかかった経費を1回にまとめて計上するというのは不自然です。これを解消するのが減価償却なのです。

雑費とは

雑費とは、小額でなおかつ支出の頻度が低く、他の勘定項目に該当しない経費のことです具体的には

  • ごみ処理費用
  • 引越し費用

などが該当します。消耗品費の判別が難しい部分があるかもしれませんが、基本的には使用頻度が高いものは消耗品費、低いものは雑費という考え方でだいたい間違いないでしょう。

雑費は用途が特定できないので、税務調査の際に税務署に目をつけられやすい項目です。雑費が多いと怪しまれるかもしれませんので、他の勘定科目に入れられるものは全て入れてしまい、どうしても余ってしまうものだけを雑費に入れるようにしてください。

経費を支払ったと証明する方法は?

経費を支出したことは日々の帳簿に記録するわけですが、それだけでは十分でありません。税務署に「ここに経費を払ったって書いてあるけれど、本当に払ったの?経費を水増ししようとしてない?」と問われても困らないように、「経費を払ったことを証明するなにか」を用意しておく必要があります。

経費を証明する基本アイテムは「領収書・レシート」

経費を証明する最も簡単かつ確実な方法は「領収書やレシートを保管しておくこと」です。事業で何かを購入したり借りたりする際は、必ず領収書やレシートを請求し、しっかりと保存しておくことが大切なのです。

領収書・レシートには

  • 作成した人の名前
  • 取引をした年月日
  • 取引をした内容
  • 取引をした金額

の4点の記載が必要です。一部が抜けている場合、証明としての効力が弱くなります(全く無意味というわけでもありませんが)。

領収書がもらえない場合は出金伝票を作成する

経費を支払ったけれど、どうしても領収書がもらえない場合(例えば慶弔金を払った場合)、あるいは受け取るのを忘れてしまったと言う場合は、出金伝票を作成します。領収書と比べると効力は弱いですが、なにもないよりはずっとマシです。出金伝票とは、「私はこのような経費を支払いました」と記載する伝票です。

「自分で作った出金伝票で経費を払ったと主張できるのならば、経費を水増しし放題なのでは?」と思われるかもしれませんが、あまりにも出金伝票を乱発していると税務署からも怪しまれますし、最悪の場合経費と認められないかもしれませんので、極力領収書・レシートを確保しましょう。

どうしても出金伝票を使わなければならない場合は、その支払があった根拠になりうる書類を合わせて保管しておくのが基本です。例えば慶弔費を払った場合は、その招待状や案内状を保管しておきます。電車やバスの運賃を払った場合は、ICカードに支払履歴を残しておきます。

……余談ですが、経費を支払うときは極力証拠が残る形で行いましょう。現金は証拠が残らないのであまり良くありません。おすすめは

  • 銀行振込
  • 電子マネー
  • クレジットカード

などです。

所得控除の種類を知り、効果的な節税をしよう!

所得控除については先程も少し触れましたが、簡単に言えば税負担能力の低い人の負担を減らす仕組みのことです。2019年7月現在は、14種類の所得控除が存在しています。複数該当する場合は、そのすべてを適用できます。

所得控除の種類 内容 控除額
基礎控除 全員に適用される基本的な控除 38万円
医療費控除 本人や家族が高額な医療費を払った場合に適用される控除 10万円を超えた部分
社会保険料控除 社会保険料を支払った場合に適用される控除 支払った社会保険料全額
生命保険料控除 生命保険料を支払った場合に適用される控除 最高12万円
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済、個人型確定拠出年金の掛け金を支払った場合に適用される控除 支払った掛金全額(上限あり)
地震保険料控除 地震保険料を支払った場合に適用される控除 最高5万円
寄付金控除 特定の団体に寄付した場合に適用される控除 寄付金額-2000円(上限あり)
障害者控除 障害者に適用される控除 27万もしくは40万円
寡婦(寡夫)控除 夫や妻と死別・離婚した場合に適用される控除 27万円(35万になるケースあり)
勤労学生控除 納税者が勤労学生である場合に適用される控除 27万円
扶養控除 扶養家族がいる場合に適用される控除 38万円~63万円
配偶者控除 配偶者(年間所得38万円以下)がいる場合に適用される控除 38万円(48万円になるケースあり)
配偶者特別控除 配偶者(年間所得38万円~76万円)がいる場合に受けられる控除 最高38万円
雑損控除 災害、盗難、横領などの被害を受けた場合に適用される控除 損失額に応じて控除額が変わる

更に節税したいなら「生命保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「寄付金控除」「医療費控除」が狙い目

上記の表を見れば分かる通り、所得控除はその種類こそたくさんあるものの、殆どが簡単には適用できないものばかりです。例えば金額が大きい扶養控除や配偶者控除は扶養家族・配偶者がいなければ適用できません(まさかこの控除のために結婚するというわけにもいかないでしょう)。

そんな中でも、自分の意志だけで比較的簡単に適用できるのは「生命保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「寄付金控除」の3つです。また、医療費がかさんだ場合は「医療費控除」を使うと大幅な節税になります。

生命保険料控除とは?

生命保険料控除とは、生命保険を支払った場合に適用される控除のことです。ここで言う生命保険とは

  • 一般生命保険(生存や脂肪が原因で保険金が支払われる保険)
  • 個人年金保険(個人年金保険料税制適格特約を更かした保険)
  • 介護医療保険(病気や身体の怪我が原因で保険金が支払われる保険)

のことです。医療保険やがん保険、死亡保険や個人年金積立保険などは、だいたい該当すると思ってくださって間違いありません。これらの保険に加入するためには保険料が必要になりますが、加入するとその金額に応じて所得控除が受けられる=所得税が減るため、今入っていない人は、将来への備えと節税を兼ねて、入っておいたほうが何かとお得です。

生命保険は一度病気になってしまうと入りにくくなる(入れた場合でも毎月の保険料が高くなる)事が多いため、自分には関係ないことだからと後回しにしてしまうのはやめましょう。

小規模企業共済等掛金控除とは?

小規模企業共済等掛金控除とは、文字通り小規模企業共済等に対して掛け金を支払った場合に適用される控除のことです。今回紹介する節税法の中でも特に効果が大きく、多くの人に取り組んでほしいものです。主な対象は

  • 小規模企業共済
  • 個人型確定拠出年金
  • 心身障害者扶養共済

です。

小規模企業共済は経営者や個人事業主のための退職金制度

小規模企業共済とは、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営している、「経営者や個人事業主の退職金制度」です。経営者や個人事業主は、将来に備えて掛け金を払い、積立を行います。

そして、退職したり、事業を畳んだりした場合にはそれを解約し、積み立てていたお金を受取ります(一時金でも年金でもOK)。この際の積立金が所得控除の対象となります。将来に備えながら節税もしっかりと行える、一石二鳥の制度です。

掛金は下限が1000円、上限が7万円となっています。必要に応じて掛金の増額や減額も行えますが、減額の手続きはやや面倒になっています。

小規模企業共済は、予め利率が設定されています。現時点での予定利率は1.0%となっています。銀行預金などと比べるとその利率は高めなので、定期積立などと比べるとかなり効率がいい方法と言えます。ただし利率が固定されている以上、インフレへの弱さは考慮しておく必要があります。

また、小規模企業共済は、状況次第で元本割れしてしまう可能性があります。元本割れが起こるのは

  • 20年未満で中途解約した場合(20年未満であっても、退職・廃業の場合は元本割れしません)
  • 途中で掛け金を大きく減額した場合

などです。

なお、小規模企業共済に加入した場合、低い利率で融資を受けることも可能です。一般貸付の場合その利率は1.5%で、銀行などから借りるよりもずっと低金利です。

個人型確定拠出年金は個人で運用商品を決める制度

確定拠出年金とは、加入者が毎月一定の金額を支出して自分で運用し、その結果を年金として受け取る仕組みです。企業型と個人型がありますが、個人事業主の場合は個人型を活用します。

個人は証券会社と契約して、毎月の積立を行っていきます。そして60歳になったら、それを受取ります(一時金でも年金でもOK)。この際の積立金が所得控除の対象となります。将来に備えながら節税もしっかりと行える、一石二鳥の制度です。

掛金は下限が5000円、上限が6万8000円となっています。掛金は増額・減額でき、どちらも手続きは比較的簡単です。

確定拠出年金の最大の特徴は、予め利率が定まっておらず、個人の運用次第で受け取れる金額が決まることです。確定拠出年金に加入した個人は、証券会社が用意している運用商品の中からいくつかを選び、それに投資するのです。

資産運用なので、当然手数料がかかります。その結果得られる利率は10%になるかもしれませんし、-10%になるかもしれません。全てはその人次第です。利率が決まっていない分、インフレに対する耐性は高めです。

運用商品は証券会社によって異なりますが、そのラインナップにはそこまで大きな差異はありません。リスクをとっても増やしたい場合は外国株式、リスクを避けたい場合は定期預金と言ったような感じで、自身のニーズを満たしてくれるものを選ぶのが基本です。

心身障害者扶養共済

心身障害者扶養共済は、心身障害者の保護者が利用できる共済制度です。高い節税効果と、障害者の子供の収入確保を両立できる手段です。実施主体は各都道府県と、一部の指定市区町村です。

障害者の子供を持つ親は、存命中に掛金を支払います。保護者が亡くなったあと、その子供は掛け金に応じた終身年金(月2万円~4万円)を受け取れます。給付は子供がなくなるまで続きます。

加入できるのは、65歳以上で健康な(一般の生命保険に入れる程度の)親です。両親が存命の場合でも、入れるのはどちらか1人だけです(1人で2口まで掛けられます)。毎月の保険料は5600円~2万3000円(加入時の年齢により異なる。若いときに入るほど安い)で、1口の加入なら2万円、2口なら4万円が給付されます。

小規模企業共済と確定拠出年金、どちらがお得?

小規模企業共済と確定拠出年金、それぞれの特徴を表にまとめました。

小規模企業共済 個人型確定拠出年金
運営機関 独立行政法人 中小企業整備機構 民間の証券会社(銀行や保険会社でも取り扱っているケースが有る)
税制優遇 全額所得控除 全額所得控除
掛金 1000円~7万円 5000円~6万8000円
掛金変更 可能 可能(ただし年1回のみ)
払込年齢 制限なし 20~60歳
費用負担 なし 初期費用、口座管理料などがかかる
受給開始 廃業、退職、65歳到達 60歳~70歳
予定利率 1.0%程度 運用成績次第
中途解約 可能 可能だが、条件が非常に厳しい
元本割れリスク 20年以上続けていれば元本割れのリスクはなし 運用成績次第で元本割れする可能性あり
インフレ耐性 弱い 強い
その他メリット 融資が受けられる 投資商品を選べる

小規模企業共済と個人型確定拠出年金はよく似た制度ですが、いくつか違いもあります。一番の違いは、支払った掛金を自分で運用するかしないか、という点です。小規模企業共済は、運用は独立行政法人 中小企業整備機構が行います。

運用に手間がかからず、また予定利率が予め定められているため、中途解約しない限りは元本割れしないのもメリットと言えます。

ただ、予定利率は1.0%と(銀行預金よりはかなり高いものの)特別高いものではありません。これ以上のペースでインフレを起こした場合、実質的には資産価値が目減りしてしまうこともありえます。

一方、確定拠出年金は自分で商品を選び、運用します。その結果小規模企業共済よりも高い利率を実現できるかもしれませんし、低くなってしまうかもしれません。すべてが自己責任の世界なのです。

自己責任と聞くと尻込みする方も少なくないかと思いますが、格付投資情報センター(R&I)が確定拠出年金(DC)の大手運用管理会社を対象に集計したところによれば、2016年度の平均利回りは3.16%、2017年度は3.25%で、いずれも小規模企業共済の予定利率1.0%を大きく上回っています。平均程度の運用ができていれば、小規模企業共済よりもお得というわけです。もちろん、別の年度では1.0%を下回っていることもありますが……。

寄付金控除とは?

寄付金控除とは、特定の団体に寄付をした見返りに所得控除を受けられる制度です。「いくら所得控除が受けられるからと言って、寄付なんかしたらトータルでマイナスになるのでは……」と思われるかもしれませんが、実はこの寄付金控除を使って得する方法があります。それが「ふるさと納税」です。

ふるさと納税は「納税」と名がついていますが、その実態は寄付です。ふるさと納税をすると納税先の自治体から返礼品が貰える上に、大規模な所得控除が受けられるのです。ふるさと納税を行うと、住民税と所得税の両方が減額されます。基本的に、自己負担金(寄付する金額と所得控除で減る税額の差)は2000円です。返礼品に2000円以上の価値があるものを選べば、トータルではお得というわけです。

自己負担金を2000円に抑える方法は?

自己負担金は前述の通り基本的には2000円ですが、寄付金の額が増えると自己負担金が2000円を上回ってしまうことがあります。いくらまでの寄付ならば自己負担金を2000円までに抑えられるか知りたい場合は、以下の「ふるさと納税」還付・控除限度額シミュレーションが役に立ちます。

まず、上記のリンクから「詳細シミュレーション」をクリックします。すると以下のような画面が現れるので、「確定申告書Bの方」をクリックします。

後は必要な情報を入力していけば、以下のような結果が表示されます。

なお、上記の結果はあくまでも目安であり、詳細な結果とは異なることがあります。自己負担金額をより確実に2000円まで抑えたい場合は、上記の結果より1割~2割ほど少ない金額にとどめておいたほうがいいでしょう。

ふるさと納税の方法は?

ふるさと納税の方法はとっても簡単です。インターネットに繋がった環境さえあれば、誰でもできます。まず、「ふるさと納税」と検索して、上位に出てくるふるさと納税のためのサイトを選択します。検索上位にでてくるものならばどれでも問題はないかと思いますが、安全性が不安だという場合はそのサイト名で事前に検索したほうがいいでしょう。

あとはサイト内でふるさと納税先の自治体を選択し、所定の手続きを済ませればOKです。具体的なやり方については、それぞれのサイトのQ&Aなどを参考にしてください。

なお、ふるさと納税には「ワンストップ特例制度」という制度があります。これは確定申告をしなくてもふるさと納税の所得控除が受けられる仕組みですが、これをお読みの方はもともと確定申告をしている個人事業主の方でしょうから、ワンストップ特例制度を利用するメリットはありません。

医療費控除とは?

医療費控除とは、1年間の間に一定額以上の医療費を支払った場合に受けられる所得控除です。医療費控除の対象となる金額は、支払った医療費(自己負担額。保険から充当されたものなどは除く)から10万円を差し引いたものです。つまり、年間で医療費を10万円を超えて支払った場合に、医療費控除が受けられます。ただし、年間所得が200万円以下の場合は、所得の5%を超えた場合に医療費控除が受けられます。

医療費控除は生計を同一にする家族の分もまとめて申告できます。例えば夫が20万円、妻が10万円の医療費を支払っている場合、30万円の医療費を支払ったものとして申告できます。所得税は累進課税ですので、家族の中で一番所得の多い人が家族の分もまとめて医療費控除を申告するのが一番お得です。

医療費の定義とは

医療費とは、病気の治療を目的に支払った費用のことです。例えば

  • 病院での診療、治療、入院費
  • 治療に必要な医薬品・医療器具費
  • 治療を受けるために使った交通費
  • 子供の歯列矯正費用

などが該当します。保険適用外の効果な素材を使った場合でも、治療が目的なら医療費控除の対象となります。逆に病気の予防など、治療以外のなにかを目的としたもの、例えば

  • 予防注射費用
  • 健康診断の費用(病気が発見され、治療した場合は対象になる)
  • ビタミン剤の購入費用
  • 差額ベッド代

などは対象になりません。

大量となる医療費を支出した場合は、必ず領収書を用意しましょう。

税額控除の種類を知り、効果的な節税をしよう!

税額控除とは、所得税額から一定の金額を控除する仕組みです。ダイレクトに税額が控除されるため、所得控除以上の威力があります。2019年7月現在は、20種類の所得控除が存在しています。税額控除の中には通常ならばまず使わないようなものも少なくありませんので、ここでは多くの人が使えそうなものに絞ってお話を進めていきたいと思います。

配当控除

当控除とは、株式による配当金を得た場合に使用できる特別控除です。原則として、その所得の5%もしくは10%を控除できます。ただし、確定申告の際には「総合課税」を選ぶ必要があります。「申告分離課税」を選んだ場合は税額控除は受けられません。

ただし、申告分離課税を選ぶと、株や投資信託などの損益を損益通算できます。状況に応じてどちらが特になるかは変わってきますので、どちらがお得かをよく考えましょう。

総合課税が適している人:配当を含めた課税所得が695万円以下の人

申告分離課税が適している人:配当を含めた課税所得が695万円を超える人、売却損があり損益通算したい人

外国税額控除

外国税額控除とは、外国で所得が生じており、なおかつその所得にその外国から所得税が課税された場合に使用できる特別控除です。外国所得税額が所得税の控除限度額を下回る場合は、全額控除されます。控除を受けるためには、一定の書類の提出が必要です。

政党等寄付金特別控除

政党等寄付金特別控除とは、政党もしくは政治資金団体に、政治活動のための寄付を行った場合に使用できる特別控除です。

寄付金の総額から2000円を引いた金額の30%が控除されます。ただし、所得税額の4分の1を超えて控除することはできません。例えば寄付金が1万2000円だった場合、税額控除は(1万2000円-2000円)×30%=3000円となります。

なお、政党や政治資金団体に寄付をした場合、所得控除の寄付金控除を選ぶこともできますが、寄附金控除と政党等寄付金特別控除の両方を使うことはできません。年収4000万以下(つまりほとんどの人)は、政党等寄付金特別控除を選んだほうが最終的にお得になります。控除を受けるためには、一定の書類の提出が必要です。

住宅借入金等特別控除

数ある税額控除の中でも最も多くの人に適用されると思われるのが、この住宅借入金等特別控除です。俗に言う「住宅ローン減税」であり、マイホームを新築・購入したり、増改築したりするためにローンを組んだ場合に適用されます。条件はいろいろありますが、主なものは

  • 自らが居住する住宅であること(投資用物件などはNG)
  • 床面積50が平米以上
  • 借入期間が10年以上
  • 住宅借入金など特別控除を受ける年の年収が3000万円以下である

などです。

住宅ローンを組み、なおかつ一定の要件を満たした場合に、10年間の間所得税が税額控除されます。所得税で控除しきれない分は、住民税からも控除できます。控除額は状況によって変わりますが、基本的にはその年の年末時点でのローン残高の1%です。ローン残高が多いほど、税額控除も大きくなるわけですね。

住宅耐震改修特別控除

住宅耐震改修特別控除は、自宅を耐震リフォームした際に使用できる税額控除です。1981年5月以前に建てられ、なおかつ現在も住居として利用している家屋に対して耐震改修をした場合、その金額が控除されます。この控除を受ける場合、確定申告の際に耐震改修証明書や建物の登記簿謄本など、一定の書類を提出する必要があります。

なお、1981年5月以前に期限が特定されている理由は、これより前に建てられた建物は耐震性に難がある可能性が高いからです。

建築基準法は大きな地震があるたびに改正されていますが、1981年には、1978年に発生した宮城県沖地震を教訓とした大きな改正があり、基準が大幅に厳しくなりました。これより前に作られた建物は耐震性が低く、それゆえに危険なので国としても耐震化を進めてほしいのです。

住宅特定改修特別税額控除

住宅特定改修特別税額控除とは、特定の住宅改修工事をした場合に使用できる制度です。住宅借入金特別控除と違い、ローンを組んでいなくても適用可能です(ローンを組んでいる場合は、両方から1つを選べます)。対象となる工事は

  • バリアフリー改修工事
  • 省エネ改修工事
  • 他世帯同居改修工事
  • 耐久性工場改修工事

です。

認定住宅新築等特別税額控除

認定住宅新築等特別税額控除とは、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を購入した際に受けられる税額控除です。これらの住宅を購入した際に、標準的なかかり増し費用を基として計算し、その金額を控除します。この控除を受けるためには、確定申告書の提出の際に一定の書類を添付する必要があります。

特定の地域において雇用者の数が増加した場合の所得控除の特別控除

雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除とは、本年及び前年に離職者を出さず、なおかつ一定以上雇用者数を増加させた場合に受けられる税額控除です。

雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除

国内雇用者に対して給与を支給しており、その給与支給額が一定以上増加した場合に、一定の金額を控除する特別控除です。

まとめ

節税するためには「経費」「所得控除」「税額控除」を増やすのが有効

  • 経費を正確に計上すると、大きな節税になる
  • 経費に計上できないものを計上すると、あとで追徴課税が発生する恐れあり
  • 所得控除を増やすためには小規模企業共済や個人型確定拠出年金が有効
  • ふるさと納税は返礼品を受取りつつ節税もできる
  • 住宅取得時・配当獲得時は税額控除のチャンス

個人事業主でも、工夫次第で節税しながら事業に必要な資産を得たり、将来に備えたりすることは可能です。今までなんとなくの節税しかしてこなかったという方は、これを機会により効果のある節税に取り組んでみてください。