皆さんは「カードローンの一括返済」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。漫然と「なんとなくお得そう」というイメージをお持ちの方も少なくないかと思いますが、それは必ずしも正しいものとはいえまえん。
確かに一括返済は上手に行えば効率的に利息の支払いを減らせるとってもお得なものですが、使い方を間違ってしまうとかえって損することになるからです。
今回の記事では一括返済が持つメリットとデメリットの両方を余すことなく解説いたしますので、今なんとなく「一括返済をしようかな」と考えている方はぜひご一読ください。
そもそも一括返済って何?
カードローンの返済方法には「約定返済」「随時返済」「一括返済」の3つがあります。この3つを間違って(あるいは混同して)理解している方も少なくないので、今一度確認しておきましょう。
約定返済とは
約定返済とは、カードローン会社が定めたサイクルに従い、定期的に行われる支払いのことです。例えばカードローン会社が「毎月25日が約定返済日」と定めている場合、利用者は「1月25日、2月25日、3月25日……11月25日、12月25日」に返済を行います。
約定返済日に最低限支払わなければならない金額を約定金額といいます。約定金額は借入残高等によって決まります(カードローン会社毎に異なります)。約定返済を忘れてしまうと、その金額や日数によって遅延損害金が発生しますので注意が必要です。
随時返済とは
随時返済とは、約定返済にプラスして好きなときに支払える返済です。約定返済と違って期日は設定されておらず、やらなくても遅延損害金は発生しません。しかし、行えば返済期間が短縮でき、利息支払額も減らせます。資金繰りに余裕がある場合は、積極的に行っていくことをおすすめします。
ただし、随時返済をいくらしようとも、完済しない限りは約定返済が軽減されることはありません。随時返済に力を入れすぎたせいで約定返済に回すお金がなくなってしまい、遅延損害金を支払う羽目になった、などという事態に陥らないように注意しましょう。
一括返済とは
一括返済とは、ある時点で残債を一気に全て返済する返済方法です。随時返済がある時点で残債の一部を返済する方法であるのに対して、こちらは全額を返済するという違いがあります。一括返済ができれば残債は0になりますので、当然その後約定返済をする必要は全くなくなります。また、将来の支払利息も大きく減らせます。最も効果的な返済方法ではありますが、ある程度まとまった資金がないとできないことでもあります。
一般的には、まとまった資金が手に入るボーナス時などに利用されることが多いようです。
一括返済のメリットは?
一括返済には以下のようなメリットがあります。
将来の総支払利息を軽減できる
一括返済の一番のメリットは(言うまでもないことかと思いますが)総支払利息を軽減できることです。といっても、具体的にどれくらい減らせるのかわからない状況では、なかなか一括返済に踏み切りづらいですよね。というわけで、今回は具体的な数字を使ってシミュレーションしてみました。
利用シミュレーター:高精度計算サイト Keisan 繰り上げローン返済
例えば、
- 金利:15%
- 借入金額:100万円
- 返済期間:3年
- 返済方式:元利均等
という条件で借りたとします。この場合、特に繰り上げ返済を行わなければ、総支払額は124万7934円、総支払利息は24万7934円となります。一方、返済6回目の直後に一括返済を行った場合、総支払額は107万771円、総支払利息は7万771円となります。総支払利息が17万円以上も減っていることがわかります。
返済12回目の直後に一括返済を行った場合、総支払額は113万925円、総支払利息は13万925円となります。返済24回目の直後に一括返済を行った場合、総支払額は121万6025円、総支払利息は21万6025円となります。一括返済を行うのが遅くなると、利息削減効果が徐々に小さくなっていくことがわかります。一括返済はできるなら早めに行うのが鉄則です。
一括返済を行うタイミング | 総支払額 | 総支払利息 | 一括返済を行わなかったときと比べて減った総支払利息 |
6回目の直後 | 107万771円 | 7万771円 | 17万7163円 |
12回目の直後 | 113万925円 | 13万925円 | 11万7009円 |
24回目の直後 | 121万6025円 | 21万6025円 | 3万1909円 |
なし | 124万7934円 | 24万7934円 | 0円 |
利用限度額に余裕ができる
一括返済をすれば、それだけカードローンの利用限度額に余裕ができます。カードローンのメリットの1つに「利用限度額の範囲内で自由に借りられる」というのがありますが、いつも利用限度額ギリギリまで借りていると、新たな借入がしづらくなります。
一方、一括返済をすれば利用限度額に余裕ができるため、また借りやすくなります。
良い信用情報が増え、後の借入が有利になる
一括返済の隠れたメリットに、良い信用情報が増えることが挙げられます。
実は私達の借金に関する情報というのは、信用情報機関という期間によって集約されています(参考記事:銀行カードローンの審査が厳格化!それでも通る方法は?)。信用情報機関は個人がどこからどのように借りてどのように返済した、あるいは返済できなかった、債務整理をしたという情報をまとめて、必要に応じて金融機関に提示しています。一括返済をすれば、当然そのことも信用情報機関にまとめられます。
「一括返済をした」という情報は、今後の新たな借入の審査や、利用限度額の増額審査でプラスに働くことが多いです。一括返済ができるほどの資力は金融機関にとっても優良顧客であるため、次回の借入時などに低金利を提示してでもつなぎとめようとしてくるはずです。
メリットばかりというわけでもない!一括返済のデメリットとは?
上記の通り何かとメリットが多い一括返済ですが、一方でデメリットも皆無というわけでもありません。主なデメリットは以下の2点です。
一括返済を行ったことにより、一時的に家計が苦しくなる
一括返済を行えば、当然一時的に手元のお金(貯金)が減ります。自分の貯金、将来の蓄えを崩してまで一括返済をしようとするのは、非常にリスクが大きい行為であり、決しておすすめできません。その他の支払いが届こってしまったり、急な出費に対応できなくなってしまったりする可能性が高いからです。
今は急な出費の予定などなくても、明日はどうなっているかわかりません。もしかしたら今日突然倒れたり車に轢かれたりして医療費がかかるかもしれませんし、急な冠婚葬祭が入るかもしれません。そうした急な出費にも対応できる程度のお金は、常に手元に残しておくようにしましょう。
手間がかかる
一括返済のもう一つの大きなデメリットは、返済手続自体に手間がかかることです。約定返済は口座振替を設定しておけば後は自動的に口座からお金が引き落とされていくだけなのでとても楽ですが、一括返済をする場合は別途ATMや店頭窓口にアクセスしたり、あるいはインターネットバンキングで手続きを行ったりする必要があります。
カードローン会社によっては、特定の方法では端数が返済できないこともあります。例えばアコムの場合、インターネット、銀行振込、店頭窓口からの返済では1円単位で返済できますが、ATMの場合は1000円単位しか返済できないため、1000円未満の金額が残高として残ってしまうことになります。
こうして余った残高は「無利息残高」とみなされます。無利息残高とは1000円未満の借入残高であり、こうなると利息は発生せず、しかも返済日も設定されませんが、アコムを解約できなくなる、ローン審査に悪影響を及ぼすなどのデメリットもあります。
一括返済のやり方
一括返済の細かいやり方はカードローン会社によって異なりますが、基本的には残債を確認し、それを支払うという流れに従えばOKです。
返済方法には「店舗」「振込」「ATM」などがありますが、カードローン会社によっては制限されていることもあります。例えばアイフルの場合、店舗や振込は使えますが、アイフルATMや提携先ATMは使えません。詳しくは現在借入中の金融機関までお問い合わせください。
一括返済Q&A
最後に、一括返済についてよくあるQ&Aをまとめておきます。何かがわからないことがある場合は、ここで疑問を解決しましょう。
一括返済すると自動的に解約されるの?
一括返済をしても、カードローンの契約が自動的に解約されることはありません。
そもそもカードローンの世界において、「完済」と「解約」は全く異なるものです。完済とは簡単に言えば、借入金額を0にすることです。完済しただけは解約されないので借入枠は残りますし、必要に応じて再び借り入れることができます。
一方、解約とは、借入金額を0にした上で、借入契約そのものを解除することです。一度解約した場合、再度借り入れるためには審査を受け直す必要があります。
一括返済は単なる「完済」ですので、利用したところで解約されることはありません。解約をしたいという場合は、別途手続きを行う必要があります。もちろん、再び利用の予定がある場合は解約しないでも構いません。
なお、解約にはメリットとデメリットがあります。メリットはカードローン枠がなくなるぶん、住宅ローンなど他のローンの審査で有利になることです。デメリットは、カードローンを好きなときに使えなくなることです。どちらも一長一短ではありますが、将来借りる予定がない場合は一括返済(完済)をした直後に解約してしまうことをおすすめします。
一括返済ができないカードローンがあるって本当?
本当です。大抵の銀行や大手消費者金融は一括返済が可能ですが、中小の消費者金融の中には一括返済を受け付けていないところもあります。最終的に一括返済をするつもりならば、中小の消費者金融は利用しないようにしましょう。
ATMでも一括返済はできる?
カードローン会社によって異なりますが、大抵の場合はATMでは端数(1000円未満)振込ができません。たとえ借入時に切りの良い金額で借りていたとしても、まず間違いなく端数が発生します。端数まできっちり返したい場合は他の返済方法(銀行振込など)を利用するか、もしくは少し多めに払い、あとで返金してもらうかするといいでしょう。
例えば端数が427円の場合、1000円余計に返済すると借入残高が-573円、つまりこちらが573円貸している状態になります。この状態になると、後で払いすぎた573円が帰ってきます。一時的に少しだけ多くのお金を払うことになりますが、最終的には帳尻が合うので問題ありません。
一括返済について調べていたら「おまとめローン」ってでてきたんだけどこれは何?
おまとめローンとは、文字通り複数社から借りているカードローンを1つにまとめる商品のことです。例えば、現時点で
- A社から30万円
- B社から20万円
- C社から50万円
借りているとします。この時、D社のおまとめローンで100万円を借りて、その100万円でA社、B社、C社からの借金を返します。こうすることにより、3社会った借入先が1社にまとめられます。借入先の件数が減れば将来の他のローンの審査で有利になりますし、返済管理なども楽になります。また、1社あたりの借入額が増加するため、場合によっては金利の低下も見込めます。
おまとめローンを利用する場合、もともと借りていた(この場合はA社、B社、C社からの)借金は一括返済することになります。
なお、おまとめローンは銀行・消費者金融が取り扱っていますが、基本的には銀行のものを選ぶべきです。理由は簡単で、金利が低いからです。借入額が多くなると、数%程度の金利でも最終的な返済額には結構なさがつくことが多いです。おまとめローンのような多額の借り入れの際には金利を再重視するのが基本です。
まとめ
- 一括返済とは、カードローンの利用残高をまとめて返す返済方法のこと
- 一括返済をすると、将来の支払利息を大きく軽減できる
- 信用情報も改善されるので、後々の借入が有利になる
- 一方で手元の資金は減るので要注意
- 一括返済をしてもカードローンが自動的に解約されることはない。解約したい場合は別途手続きが必要
- おまとめローンを使った場合、現時点で借り入れている文はすべて一括返済することになる
一括返済は上手に使えばそう支払利息を大きく減らすことができる、とても便利なシステムです。上手に活用してくださいね。