プロ野球用語の「貯金」「借金」ってなんだ?

今回の記事はお金とは関係ない、箸休め的なものです。

プロ野球のニュースを見ていると、「貯金」「借金」という単語がよく出てきます。今回はこの単語の意味や、一部のファンにしか知られていない面白いエピソードを紹介いたします。最近プロ野球を見始めた人必見の内容となっています。

強い球団は貯金を、弱い球団は借金を持つ

プロ野球用語の「貯金」「借金」とは、簡単に言えば勝ち数と負け数の差です。勝ち数のほうが多い球団はその差が「貯金」となり、負け数の方が多い球団はその差が「借金」となります。例えば、以下の表は2018年のセリーグのチーム勝敗表と、貯金・借金をまとめた表です。

2018年セリーグ順位表
チーム名 勝ち数 負け数 引き分け数 勝率 貯金or借金数
広島東洋カープ 82 59 2 .582 貯金23
東京ヤクルトスワローズ 75 66 2 .532 貯金9
読売ジャイアンツ 67 71 5 .486 借金4
横浜DeNAベイスターズ 67 74 2 .475 借金7
中日ドラゴンズ 63 78 2 .447 借金15
阪神タイガース 62 79 2 .440 借金17

1位の広島東洋カープは貯金23、再開の阪神タイガースは借金17です。毎年上位球団は貯金を、階級団は借金を持ってシーズンを終了します。

貯金が多い順が必ず上位に来るわけではない

2019年現在、プロ野球の順位の決め方は以下のようになっています。

  • 1.レギュラーシーズンの勝率(引き分け試合は除いて考える)
  • 2.1が同じ場合、勝利数の多い順
  • 3.2も同じ場合、当該球団間の直接対決で勝率が高い順
  • 4.3も同じ場合、前年度順位順

実はこの方法で順位を決めた場合、必ずしも貯金が多い球団が上位に来るわけではなくなります。

例えば、現状レギュラーシーズンは143試合ありますが、83勝60敗(貯金23、勝率.580)と、77勝55敗11引き分け(貯金22、勝率.583)では後者のほうが順位が高くなります。極端な話、1勝0敗142引き分けなら、貯金1で勝率1.000になります。

全球団が借金持ちになるケース

通常、どこかのチームが勝てばそこと対戦したどこかのチームが負けることになるため、リーグ内での貯金数・借金数は相殺されて0になるはずです。しかし、セ・リーグとパ・リーグがレギュラーシーズン中に対戦するセ・パ交流戦が導入されて以降は、この法則が必ずしも成り立たなくなりました。

2015年には交流戦でセ・リーグが大きく負け越したことが影響し、一時的にセリーグの全球団が借金を背負うという異常事態が発生しました。

2015年7月3日時点でのセリーグの順位表
チーム名 勝ち数 負け数 引き分け数 勝率 貯金or借金数
東京ヤクルトスワローズ 37 38 1 .582 借金1
阪神タイガース 36 37 1 .532 借金1
読売ジャイアンツ 37 39 0 .486 借金2
横浜DeNAベイスターズ 36 38 1 .475 借金2
広島カープ 35 37 1 .447 借金2
中日ドラゴンズ 33 42 1 .440 借金9

最終的には盛り返したヤクルトが76勝65敗2引き分けで貯金11、読売ジャイアンツが75勝67敗1引き分けで貯金8を作りましたが、セリーグの球団にとっては屈辱の歴史と言えるでしょう。

ちなみに、2005年の交流戦発足以降、セ・リーグが交流戦で総合的に勝ち越したのは2009年のみで、残りは全てパ・リーグが勝ち越しています。そのためパ・リーグ全体では貯金過多、セ・リーグでは借金過多になるという自体が常態化しています。

借金チームが日本一に?

現在の日本のプロ野球では、シーズンを3位以内に終えたチームにはクライマックスシリーズの出場権が与えられます。クライマックスシリーズは3位と2位、その勝者チームと1位がそれぞれ数試合を戦うトーナメント戦で、これに勝てば日本シリーズへの出場権が得られます。そして、そこで4勝すれば見事日本一となります。

このルールのもとでは、借金持ちのチームが日本一になることも十分考えられます。例えば先ほど紹介した2018年のセ・リーグの成績表では、3位の読売ジャイアンツは借金4であるにもかかわらず、クライマックスシリーズへの出場権が与えられます。

仮に読売ジャイアンツがクライマックスシリーズと日本シリーズの両方を勝ち抜いていれば、「借金持ちなのに日本一」になっていたわけです(実際にはそうはなりませんでしたが)。

現状、クライマックスシリーズは3位よりも2位、2位よりも1位のほうが有利なように設計されてはいますが、「借金があるチームは3位以内でもクライマックスシリーズには出さない」などの措置は取られていません。

日本とメジャーリーグの最多貯金・借金

日本のプロ野球史上最も多く貯金を作ったチームは、1950年の松竹ロビンスです。137試合で98勝35敗4引き分け、貯金数は63、チーム勝率は.737でした。小鶴誠選手を中心とした強力な打線と、大島信雄選手を中心とした先発陣で多くの白星を積み重ねました。

こうしてみると一見松竹ロビンスが圧倒的な力を持つ常勝球団に見えますが、実は同チームはAクラス3回、Bクラス14回という本来は弱小球団です。2年後の1952年には34勝84敗2引き分けという目も当てられない成績に終わっています。

一方、プロ野球史上最も多くの借金を作ったのは、1955年の大洋ホエールズです。31勝99敗0引き分けて借金は68、チーム勝率は.238でした。現在よりも総じて投高打低な環境であったにもかかわらずチーム防御率は3.69、一方で打率は.209しかなく、投打ともに逆の意味で隙がないチームでした。

ちなみに、プロ野球史上最も多くの黒星を重ねたのは1961年の近鉄バファロー(後の近鉄バファローズ)であり、その成績は36勝103敗1引き分け、借金は67でした。黒星は最も遠いものの、白星も多少多かったため、最多黒星と最多借金のダブル受賞という不名誉はなんとか免れた形です。

まとめ

  • 「貯金」「借金」とは、勝数と負け数の差のこと
  • 貯金が多いチームが必ずしも上位に来るわけではない
  • 交流戦がある以上、全チームが借金持ちになることもありうる