テレビ、YouTube、求人サイト……世の中の便利な「あれ」が無料で提供される仕組み

世の中にはさまざまな無料サービスがあります。地上波のテレビや大半のWebサイトは無料で利用できますし(当サイトももちろん完全無料です!)、最近は無料で利用できるパソコンorスマートフォン向けのアプリケーションも増えてきています。これらのサービスをただ「便利でいいよね~」と思いながら利用するのもいいですが、そもそも、彼らがどうやって儲けているか、皆さんは気になりませんか?

無料サービスの作り手の殆どは、利益を上げることを第一目的とした個人事業者や企業です。無料でサービスなど提供していたら早晩行き詰まるような気がしますが、実際には彼らはきちんと利益を得られています。

こうした「無料サービスで利益を得る仕組み」を知っておけば、それを自分の仕事にも活用できますし、無意味に搾取されることもなくなります。世の中の「儲けのしくみ」をすこしでも知りたいという方は、ぜひご一読ください。

テレビ局(民放)が無料でテレビを流しても儲かる仕組み


プレジデントオンラインがまとめたところによれば、2008年時点での日本テレビの収益構造は以下のようになっています(引用元:左団扇で利益が入るテレビ局の収益構造)。

  • CM収入(タイム);2778億円
  • CM収入(スポット):934億円
  • 番組販売:103億円
  • その他:408億円

テレビ局はCM枠を売って儲けている

この構成から言えることは明らかです――日本テレビの主な収益源はずばり「CM収入」です。テレビ局は自社の商品やサービスなどを宣伝したい広告主に対して、自らの「CM枠」を売ることによって利益を得ているのです。この仕組みは日本テレビに限ったものではありません。どこも同じようなものです。

タイムCMとスポットCMの違い

テレビ局の収益源の中でも大きな割合を占めているのが、タイムCMです。タイムCMとは、広告主(スポンサー)が個別の番組もしくは番組内の一部のCM枠を買い取り、その見返りとして流すCMです。スポンサーがどの番組で広告を流すかという明確な意向を持っている場合によく使われます。

一方、スポットCMとは、番組に関係なくテレビ局が定める時間に挿入されるCMです。広告主は「朝の時間帯に流したい」という大まかな時間や季節だけを指定します。例えば「6時~9時に流したい」「クリスマス前の2週間だけ」と言った形で指定します。

CM枠はいくらで売買されている?

CM枠の価格は、基本的に単価ではなく「パーコスト」という考え方をもとに計算されます。パーコストとは、視聴率1%あたりのコストのことです。

視聴率3%の番組でCMを流すのと、視聴率30%の番組でCMを流すのでは、全く効果が異なります。両者の単価を全く同じにしてしまうと前者には全く買い手がつかず、後者に買い手が殺到することになってしまいます。そこでテレビ局は前者を安く、後者を高く設定することによって、両方にバランスよく買い手がつくようにしています。

また、同じ視聴率であっても、テレビ局ごとにパーコストは異なります。このような仕組みのもとでは「CM枠は1つあたりいくらで売買されている」ということはできません。タイム料金の場合月1000万円を超えることもありますし、100万円を下回ることもあります。

広告主やテレビ局が視聴率を気にする理由は明白です。広告主は視聴率が高いほうがたくさんの視聴者に訴えられますし、テレビ局は視聴率が高いほうがCM枠の価格を高く設定できるからです。

広告主とテレビ局をつなぐ広告代理店

実はテレビ局は、広告主に対して直接CM枠を売っているわけではありません。テレビ局が広告代理店に枠を売り、さらに広告代理店が広告主に対して売るという、2重の構造になっています。面倒で非効率的な仕組みにも見えますが、テレビ局がCM枠を作る「メーカー」で、広告代理店がそれをスポンサーに売る「小売店」と考えると、そこまでおかしい話ではありません。

仮にテレビ局が自分でスポンサーを探すと、テレビ局と広告代理店の関係性が悪化し、テレビ局はそれ以降、自分でスポンサーを探さなくてはいけなくなってしまいます。それは長期的に見れば損であることはテレビ局もよく理解しているので、わざわざこのような二度手間とも言える仕組みを採用しているのです。

広告代理店はテレビ局と広告主をつなぐ中間業者ですが、ただ両者を結びつけるだけの存在ではありません。

広告代理店は広告主から自社の商品やサービスの説明を受け、どのようなCMを作りたいのかというヒアリングを行い、それらの意見をまとめたプレゼンテーションを行います。広告主はそれを見て、実際に発注を行います。

広告代理店はCMを作るために制作会社などを手配し、撮影の段取りを指示してCM素材を撮影し、それを編集して納品します。以前は発注を受けてから制作会社を手配することが多かったようですが、最近は企画段階で映像撮影会社を手配して、プレゼンに組み込むことが多くなっているようです。

番組販売とは?

番組販売とは、テレビ局やせ施策会社が制作した番組自体を販売することです。例えばテレビ東京は、日本全国にある役100の民間放送局に対して、自社が制作・購入した番組を販売しています。CM収入と比べるとその割合は決して多くありませんが、見過ごせるほど小さなものでもありません。

YouTubeが無料でサービスを提供しても儲かる仕組み

YouTubeを始めとする動画供給サイトは、もはやテレビ局ですら無視できない存在になりました。動画配信ビジネスは大きく「ユーザが投稿する基本無料サイト(Youtubeやニコニコ動画など)」と「コンテンツを月額制で配信するサイト(HuluやNetflixなど)」がありますが、ここでは前者の代表格であるYouTubeの収益構造を解剖していきます。

YouTubeも基本的にはCM枠を売って儲けている

YouTubeの収益構造は、実はテレビ局とほとんど同じです。テレビ局は放送の合間に入るCM枠を売って儲けていますが、Youtubeは動画の合間に入るCM枠を売って儲けています。

テレビ局とYouTubeの仕組み
見出し欄1 テレビ Youtube
広告枠を売る人 テレビ局 Youtube
広告割を売る人 広告主 広告主
両者を結びつける人 広告代理店 広告代理店

増え続ける動画がYoutubeの収益を後押し

2017年3月時点では、毎分400時間分もの動画がYouTubeにアップロードされています。2007年時点では毎分6時間だったことを考えると、とんでもないペースであると言えます。

そして、動画が増えれば増えるほどアクセスする視聴者が増え、YouTubeの広告媒体としての価値が上昇し、その結果多くの広告主が集まり、Youtubeも儲かります。YouTubeの収益を根底から支えているのは、動画をアップロードしているYouTuberであると言っても過言ではないでしょう。

YouTuberに広告収入が入る仕組み

YouTuberはYouTubeに動画を投稿することによって収益を得ている人の総称です。Google AdsenseというGoogleの動画サービス、およびYouTubeパートナープログラムに登録すれば、誰でも使えるようになります。

動画内で広告が再生されたり、サイドバーにある広告がクリックされたりすると、その動画をアップロードしたYouTuberは収益を受け取る権利を得ます。

各YouTuberがどれくらい儲けているのかは正確にはわかりませんが、SocialBlade.comというサイトによれば、HIKAKINTVの年間収益予想は25万9000ドル~410万ドル(約2840万円~4億5010万円)とのことです(ずいぶん幅が広いですが、基本的には上と下のちょうど中間あたりが実際の値に近いようです。

YouTuberが増えるほどYouTubeのコンテンツも増え、その結果YouTubeが儲かるという構造になっています。

有料会員やメンバーシップ制度など、サブの収益源も充実

YouTubeの主な収入源は前述の通り広告です。しかし、最近はそれ以外の収益源も増えてきています。

まず、YouTubeには有料会員制度があります。有料会員には「YouTube Premium」と「YouTube Music Premium」があり、基本的には前者が上位有料会員、後者が回有料会員という構造になっています。

上位のYouTube Premium会員は広告無しで動画を再生できたり、アプリ内で動画をオフライン保存して好きなときに視聴したりできます。

YouTube Premiumの月額料金はWebもしくはAndroidから登録した場合は1180円/月、iOS経由の場合は1550円/月です。

メンバーシップ制度は、特定のチャンネルのメンバーになることにより、無料会員では見られない特別な動画が見られるという制度です。月額料金は490円/月で、そのうち70%がチャンネルに、残りの30%がYouTubeに配られます。

求人サイトが無料でサービスを提供しても儲かる仕組み

転職に対するニーズが高まっている昨今、人気を集めている求人サイト。多くの有用な求人と、一部無価値な求人が掲載されていますが、何れにせよ求職者は基本的にこのサービスを無料で利用できます。それどころか、就職するとお祝い金が出ることもあります。一体彼らはどのように収益を得ているのでしょうか。

求人サイトは基本的に企業側にお金を払わせて儲けている

求人サイトは基本的に、求人を掲載する企業にその費用を負担させています。企業(採用する側)がお金を払ってくれるから、求職者(採用される側)は無料で利用できる、というわけです。課金モデルには

  • 掲載課金型
  • 成功報酬型
  • 応募課金型

などがあります。かつては掲載課金型が主流でしたが、最近は成功報酬型が取って代わりつつあります。

掲載課金型

掲載課金型とは、文字通り求人を掲載するだけで課金(費用)が発生するシステムです。企業はあらかじめ2週間や1ヶ月などと期間を区切り、その間だけ求人情報を掲載します。その求人を通じた申し込みが何件あっても、あるいは申込みがなくても、かかる費用は変わりません。

採用する企業にとっては費用がいくら掛かるか事前に把握できるというメリットがある一方で、お金だけ払って申し込み0に終わってしまう可能性があるというデメリットもあります。このデメリット故か求人サイト側もなかなか掲載企業を集めづらいらしく、最近は成功報酬型にシフトするところが増えてきています。

成功報酬型

成功報酬型とは、求職者の採用が決まった段階で初めて費用が発生するシステムです。企業はまず、無料で求人を掲載します。そして、その求人から申し込みがあり、その求職者を採用した段階で、料金を支払います。採用が発生しない限り費用も発生しないことから、今人気を集めています。

ただ、このモデルには1つ欠点があります。悪質な企業が実際には求職者を採用しながら、そのことを求人サイト側に報告しない可能性があることです。あるいは悪意がなくても、報告を忘れることはあります。

この危険を防ぐために導入されているのがお祝い金です。求職者にお祝い金の申請をさせることによって、報告漏れを防いでいるのです。

応募課金型

応募課金型とは、応募が発生した時点で課金が発生するシステムです。企業は無料で求人を掲載しますが、申し込みがあった段階で費用を払わなくてはいけません。応募の質が良くない場合でも(例えばエンジニアを募集したのにデザイナーが申し込んできた場合でも)費用を払わなければならないという点が企業にとって大きなデメリットであり、それゆえに最近は殆ど見られません。

広告収入を得ている求人サイトも少なくない

求人サイトの主な収益源は企業側が負担する課金ですが、それとは別に広告収入を得ているところも少なくありません。広告の種類はいくつかありますが、基本的には「バナー広告」か「記事広告」のどちらかが多いです。

その広告がクリックされたり、あるいはその広告を通じてアクション(商品購入など)が合った場合に、求人サイト側にお金が入るという仕組みになっています。

サイトを高値で売却するケースも

Webサイトは現代においてはもはや立派な資産であり、高値で取引されることも珍しくありません。サイトを開発するのにかかった費用よりも、最終的な売却金額のほうが高くなれば、その差額がそのまま利益となります。

もちろん、最初から売却目的でサイトが作られることは稀ですが、その後の運営状況によってはそれ以上の開発をせず、売却してしまったほうがお得になるケースもママあります。

フリーソフト・アプリはなぜ無料?

世の中にはたくさんの無料で使える便利なソフトやアプリがあります。趣味で作っている人はともかく、収益を挙げなければならない企業までもが無料でこうした便利なものを提供してくれています。彼らは一体どうやって儲けているのでしょうか。

営業活動の布石として、あえて無料で配布する

ソフトウェア企業は、営業活動の布石としてフリーソフトを配布することがままあります。簡単に言えば、便利なフリーソフトを配布することによって顧客を囲い込み、将来的により便利な有料版のソフトや関連したハード、ソリューションを買ってもらおう、という魂胆があるわけです。この方法は多くの顧客を囲い込むことができる上、知名度アップにもつながることから、Adobeなどの多くの企業が採用しています。

商品の改善のために無料で配布することも

まずは無料のフリーソフトとして配布し、ユーザーから得られた意見を参考に、より機能を改善した有料版を作り込み、それを売って利益を得るという手法もあります。企業はフリーソフトを提供することで企業のイメージと知名度を向上させつつ、有益な情報を集められます。

広告収入を得ている

これはどちらかというとパソコン用のフリーソフトよりもスマートフォン用のアプリで多く見られる形態です。広告がクリック/タップされたり、あるいはそこから購入などの具体的な行動があった場合に、そのソフトやアプリの開発者にお金が入るという仕組みになっています(頻繁に差し込まれる広告自体には否定的な意見も多いでしょうが、家と言ってそれを一切禁止にしてしまえばフリーのソフトやアプリはぐんと減ってしまうことでしょう)。

基本無料で課金すると制限が解除できるソフトも

無料版は一部の機能が制限されており、お金を支払えばすべての機能が完全に支払えるソフトを「シェアウェア」といいます。シェアウェアは正確にはフリーソフトとはまた別の概念ですが、ある程度無料でできるという点ではフリーソフトと同じです。

最近は基本無料で遊べて、さらに快適にプレイするためには課金が必要なタイプのスマートフォン向けゲームアプリが増えてきており、それに対する過剰な課金も問題となりつつあります。恐ろしいですねえ。

弁護士はなぜ無料で相談に乗ってくれるのか?

最近は無料で相談できる弁護士が増えてきています。弁護士事務所のWebサイトには「悩みを抱えている人の手助けのため……」などと言った感じの素晴らしい文言が記載されていますが、弁護士といえども私人ですから、基本的には自らの利益のために(あるいは、自らに利益を与えてくれる依頼人のために)動きます。彼らは何故時間を割いてでも、無料相談を行うのでしょうか。

無料相談は顧客の確保につながる

弁護士が無料相談に乗る理由は、企業がフリーソフトを配布する理由に似ています。企業がお試し版とも言えるフリーソフトで顧客を囲い込んでその後より上位の有料版を買わせるように、弁護士はお試し版ともいえる無料相談で顧客を囲い込んでその後の依頼で利益を得ているのです。

法テラスと契約している場合は無料相談だけでも儲けが出る

また、法テラスと法律扶助契約を結んでいる弁護士は、自らの事務所で無料相談(法律相談援助)ができます。その場合、法テラスから5400円の相談料が受け取れます。相談費用は全額税金から賄われるため、相談する側は無料でありながら、相談される側はお金を得られるという構造になっています。

仲介手数料無料の不動産屋が増えているのはなぜ?

最近、仲介手数料無料を売り文句に掲げる不動産屋が増えてきています。仲介業者である不動産屋が仲介手数料無料なんてやって大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、もちろん大丈夫だからこそやっているのです。一体彼らはどうやって儲けているのでしょうか。

仲介手数料には「両手」と「片手」がある

仲介手数料が無料になる理由をお話しする前に、不動産屋の収益源についてお話します。すでにご存知のかたも多いかと思いますが、不動産屋の最大の収入源は仲介手数料です。

不動産屋は買い手・貸し手と売り手・借り手をマッチングし、契約が成立したら、その金額に応じた手数料を受け取ります。

不動産取引には「両手取引」と「片手取引」があります。不動産屋が買い手・貸し手と売り手・借り手の両方を見つけることができた場合、不動産屋はその両者から手数料を受け取れます。これが両手取引です。

不動産屋が買い手・貸し手と売り手・借り手のうちどちらか片方しか見つけられなかった場合、不動産屋はその片方から歯科手数料を受け取れません。これを片手取引といいます。

両手取引ではそのうち1つを無料にできる!

両手取引は単純に考えて片手取引の2倍の収益が発生するため、不動産屋はなんとか両手取引を成立させようとします。また、最近は両手取引を行いつつ、売り手・借り手からのみ手数料を受け取り、買い手・貸し手の方は免除するという不動産屋も増えてきています。この場合、不動産屋は買い手・貸し手に対して「仲介手数料無料!」と宣伝できます。

もしあなたが仲介手数料無料の不動産屋で物件を買ったり借りたりしている場合、その手数料は売り手・貸し手が負担していることになります。

保険の無料相談はなぜ無料なの?

最近は保険の無料相談サービスが人気です。無料で相談なんか受けていたらすぐに潰れてしまいそうなものですが、今日もサービスは繁盛しています。一体なぜでしょうか。

大抵の無料サービスは保険会社から販売代理手数料を受け取っている

保険の無料相談サービスを提供する会社の殆どは、保険会社から販売代理手数料を受け取ることによって収益を得ています。

保険会社は保険無料相談サービスを提供する会社=代理店に対して、生命保険の販売を委託します。そして、販売してもらった見返りとして、販売代理手数料を支払っています。これが保険の無料サービスの収入源です。代理店は保険会社からお金をもらえるので、利用者に対して無料相談を提供できるのですね。

保険会社としては、多少保険代理店に対して費用を払うことになったとしても、契約者が増えるに越したことはありません。代理店は無料でサービスを提供しつつ、保険会社から手数料を受け取れます。そして利用者は無料でサービスを利用できます。全員にそれぞれ違った形での「得」がある、面白い仕組みと言えるでしょう。

まとめ

世の中にはいろいろな「無料」サービスがありますが、それを提供するのが企業=利益集団である以上、何らかの儲かる仕組みがあります。無料サービスを利用するのはもちろん結構なことですが、知らず知らずのうちに無料サービスという餌につられて余計なものを買わされないように気をつけてくださいね。