お金の管理・運用方法が変わる!フィンテックってなんだ?

近年、フィンテックという言葉を耳にすることが増えてきました。「このような最新技術に関する話題は自分には関係ない」と思っているとしたら、それはとてももったいないことです。

このような最新技術の恩恵を受けるのは大企業や銀行などの既存の金融機関だけではありません。中小企業、あるいは個人にも大きなメリットをもたらしてくれます。

ストレートに言えばフィンテックはあなたに「安全に取引ができる環境」や、「従来の投資よりも稼げる方法」をもたらしてくれるのです。これを知っているのと知らないのでは、後の人生が大きく異なるものになります。最新技術の恩恵を最大まで受けたいのならば、本記事をしっかりと読み込むことをおすすめします。

フィンテックの概念は非常に曖昧

フィンテックはFinance(金融)とTechnology(技術)からなる造語です。その概念は非常に曖昧でしかも包括的であり、理解しづらい面もあるのですが、基本的には「ICT(情報通信技術)を用いる事によって生まれた革新的な金融サービス、もしくはその周辺のサービス」と考えていただければ間違いないでしょう。

従来、金融サービスやその周辺のサービスの大部分は巨大な金融機関だけが独占的に提供していました。金融サービスを提供するには大規模なインフラが必要であり、中小企業にはそれを長期的・計画的に整備する体力がなかったからです。

しかし、近年はスマートフォンの普及、クラウドコンピューティングの一般化などにより、それらのサービスを提供するコストが大幅に下がったことから、既存の金融機関が埋められなかった細かいニーズを埋めるサービスを提供する、いわゆるフィンテック企業が台頭してきました。

フィンテック企業の概念も曖昧なのですが、従来金融機関が提供してきた機能の一部をまったく別のアプローチで提供する会社、と考えていただければだいたい間違いないかと思います。

フィンテック企業が提供する様々なサービス8選

ここでは、フィンテック企業が提供する様々なサービスについて解説します。

KYCのデジタル化

KYC(Know Your Customer:ノウユアカスタマー)とは、要するに本人確認のことです。

銀行や信用金庫などの金融機関は、自社サービスがテロ組織・犯罪組織に使われるのを避けるために、厳格なKYCを行っています。国際的にはFATF(1989年に設立された政府間機関。マネーロンダリング対策やテロ資金対策を進める役割を担う)による規制がかけられ、日本を含めた加盟国はその規制に基づき国内法を設けるなどして対策を行い、金融機関がそれに従っています。

マネーロンダリング対策やテロ資金対策はもちろん重要なことですが、KYCが厳重なものになると、どうしても利用者の利便性は犠牲になってしまいます。

金融機関は自社サービスをなるべく多くの人に利用してほしいと考えていますが、面倒なKYCはコンバージョン率(申込みが完了する人の割合)を大きく下げてしまいます。仮にあなたが銀行の口座開設をネットで済ませようと思いWebサイトを開いたら「書類を印刷して印鑑を押して郵送してください」などと指示されたらやる気が失せることでしょう。

このような問題を解決するため、最近は多くの金融機関がスマートフォンだけで申し込みが完了するサービスを実施しています。身分証明書をスマートフォンで撮影し、アップロードすれば郵送などの手間なく口座が開設できるという革新的なサービスです。

KYCは利用者だけでなく、金融機関にとっても大きな負担となっています。金融機関は本人確認のみならず、その人の家族が犯罪についても調査しなければなりません。これには手間と費用がかかりますし、そうして掛けた費用は利用者が支払う料金に上乗せされます。

そのため、最近はこうしたKYCを外部の企業に委託する金融機関が増えてきています。バミューダのトゥルーノミやイギリスのコンテゴなどは、そうした委託を受けることによって成長してきたフィンテック企業の1つです。

従来、膨大なデータを大きくない企業が管理するのは難しかったのですが、最近はクラウドコンピューティングの進化によりだいぶ簡単になりました。

生体認証

生体認証とは、人間が持つ体の特徴をパスワードの代わりに使う技術のことです。あなたも普段、様々なウェブサイトにログインする際に英数字から構成されるIDやパスワードを使っていることでしょう。

しかし、このIDやパスワードを使って認証を行うという仕組みには様々な欠点があります。パスワードが流出したら簡単になりすまされてしまいますし、盗む方法は実際にたくさんあります(ハッキングやキーロガーなど)。

また、パスワードは推測しづらい文字列を使うことが推奨されていますが、推測しづらい文字列は利用者本人も覚えづらく、そのために使いまわしをしてしまいがちです。

使いまわしているパスワードが流出した場合、複数のサービスになりすましログインされてしまいます。パスワードの定期的な変更も実はそれほど効果がないことがわかっており、これに変わるのが生体認証です。

生体認証では、指紋、網膜、静脈、人相と言った各個人に特有な身体的特徴を元に本人を確認します。パスワードは盗めますが、指紋や静脈は盗めないため、他人に勝手にログインされることはまずなくなります。

生体認証を含めた、パスワードを使用しない認証技術の標準化を目指す非営利業界団体がFIDO Aliance(ファイド・アライアンス)です。

FIDO Alianceはパスワードをそのまま別の方法に置き換える「UAF標準」と、既存のパスワードに独自の認証を付け加える「U2F標準」という2つの標準規格を公表しています。

日本では株式会社Liquidが、指紋認証式のデポジット決済サービス「Liquid Pay」を開始しています。これは指紋を決済用ID・パスワードとして活用するものであり、決済時には指紋認証をするだけで良くなります。

モバイルペイメント

モバイルペイメントとは、文字通りモバイル、つまりは携帯電話(スマートフォン含む)を用いた支払手段です。日本で提供されているおサイフケータイもその1つですが、世界的にはPaypalが最も有名です。

PaypalはPaypal社が提供する二者間送金サービスです。Paypalのアカウントを持っている者同士ならば、クレジットカード番号を教えることなく支払い・受け取りができます。

送金手続きはスマートフォンアプリ上から(PCでももちろん可能)簡単に行なえます。現時点で200位上の国と地域で使われており、日本円を含めた100種類以上の通貨に対応しています。クレジットカード番号はPaypalが管理しているため、安心して導入できます。

一方、Squareはスマートフォンを用いたクレジットカード決済を提供しています。Square側から提供されるドングルと呼ばれる小型クレジットカードリーダーを端末に差し込むだけで、クレジットカード決済が行えるようになります。

従来、各店舗がクレジットカード決済を導入するにあたっては、VISAやJCBなどが個別に行う厳格な審査を通り抜け、数万円から数十万円もする専用端末を導入する必要がありました。

大事業者ならともかく、小規模な事業者にとっては結構な負担です。また、クレジットカード決済で支払われたお金はすぐにお店に入らず、これも負担となっていました。

一方、Squareは簡単な事前審査だけで主要な国際ブランド(VISA、MasterCard、銀聯、アメックス、JCB、ダイナーズクラブ)決済が全て使えるようになるうえ、最短翌日で支払われるので資金繰りが不安定になりがちな小規模な事業者でも簡単に導入できます。

似たようなサービスは日本でもいくつか提供されています。その代表格が「楽天スマートペイ」です。利用者はレジ前に設置されたQRコードを専用アプリで読み取り、金額を入力するだけで決済が完了します。対応ブランドはSquareと同じで、決済手数料は3.24%もしくは3.74%です。

PFM

PFM(Personal Financial Management)とは、一般的には複数の銀行や証券会社口座、あるいはクレジットカードの利用履歴を一元的に管理できるサービスのことです。米国では1990年台から始まったサービスであり、現在は日本でも複数企業によって提供されています。

従来、自分の資産状況を正確に把握するためには、各金融機関のそれぞれの口座にログインしなければなりませんでした。まず銀行口座にログインし、次に証券会社口座にログインし、最後にクレジットカードの利用履歴を確認する……といった感じです。これは非常に面倒です。

しかし、PFMを使えば、複数口座やクレジットカードの利用状況が簡単に確認できます。代表的なサービスはアメリカの「Mint」です。Mintは口座やクレジットカードの利用状況を表記してくれるほか、出費が多かった月については太字で表示したり、病気や失業などで突然収入が途絶えた場合に備えてどれくらい貯蓄しておけば良いのかを知らせてくれたりします。使った金額しか提示されない預金通帳やカードの利用履歴と比べると「親切」なわけです。

日本ではマネーフォワード、マネーツリー、Zaimなどが有名です。いずれも銀行口座、証券口座、クレジットカードだけでなく、電子マネーやマイル・ポイントカードも一元的に管理できます。

マネーフォワードは確定拠出年金に対応していたり、Zaimは住んでいる地域で使える補助金を教えてくれたりと、それぞれが独自色を打ち出しています。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい人と、お金を貸したい人をマッチングするサービス、プラットフォームのことです。代表的なのがアメリカのレンディングクラブです。

レンディングクラブは借り手と貸し手の橋渡しを担います。借り手はレンディングクラブに「お金を借りたい」と申し込みます。レンディングクラブは借り手の審査を行い、その人のクレジットスコア(その人のクレジットカード利用状況やローン返済情報から算出される「借金返済の能力」)をAからGまでの7段階で評価します。(Aに近いほど返済能力が高い)。

一方、貸し手はそれぞれの借り手に対してお金を貸すかどうかを自身で判断します。この際に助けとなるのがクレジットスコアです。

「クレジットスコアがAの人ならば貸しても安全だな」とか「Fだからちょっと怪しいな」といった判断ができるわけです。平均貸出金利はAが7.51%、Gが25.13%です。そのため、あえてクレジットスコアが低い人に高い金利で貸し出す、という方法も考えられます。

貸し手と借り手が合意に至った場合は実際に融資が行われ、その後返済が行われます。その際に貸し手は1%をレンディングクラブに対して支払います。例えば10%で貸し出した場合、貸し手が実際に受け取れる利率は9%となるわけです。

貸し手にとっては銀行金利よりも高い利率、借り手にとっては銀行のカードローンよりも安い低い金利を提示するこのサービスは、双方にとって大きなメリットがあることから、サービスは急成長を遂げており、それに伴い銀行の脅威にもなりつつあります。実際のローン融資はレンディングクラブではなく、同社と提携しているWebバンクという銀行が行っています。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、オンラインでロボット(コンピュータのプログラム)が資産運用に関するアドバイスをしてくれたり、実際にそのアドバイスに応じた資産運用をしてくれたりするサービスです。代表的なのがアメリカのベターメントやウェルスフロントで、日本でもウェルスナビやTHEOなどが普及しつつあります。

利用者はロボアドバイザーサービスのアカウントを開設して、いくつかの質問に答えます。ロボアドバイザーはその質問の結果から、その人にとって最適なポートフォリオ(資産配分)を提案します。利用者はその提案を元に自身の投資スタイルを決定し、実際に資産運用を行っていきます。提案では手数料が低い投資が優先的に勧められる傾向があります。

また、ロボアドバイザーにはもう一つ、リバランスという機能が搭載されています。リバランスとは、当初想定していた利回りやリスクを大きく外れそうになった場合に、資産配分を変更する機能のことです。

ロボアドバイザーは人間のフィナンシャルアドバイザーと比べて手数料が安く(ロボアドバイザーの手数料は0.5%から1%程度、人間のフィナンシャルアドバイザーは1~2%前後が主流)、資産規模が少なくても投資できることから、若い世代を中心に支持を集めるようになってきています。

最近はロボアドバイザーに人間のフィナンシャルアドバイザーを加えたハイブリッド型のサービスも登場するなど、各フィンテック企業はサービスの差別化・高度化に努めています。

クラウド会計サービス

クラウド会計サービスとは、オンライン上で企業や個人事業主の会計情報を管理するサービスです。少し前までは会計情報は個々のPCにインストールする会計ソフトで管理する方式がメジャーでしたが、最近はクラウド会計がそれをひっくり返しつつあります。

クラウド会計ソフトはインターネットに繋がった環境さえあればどこからでも使えるというのが強みであり、例えば外で貰った領収書の情報をスマートフォンで入力することも可能です。

日本ではやよいの青色申告オンライン、Freeeなどが特に有名です。

インステック

インステックとは、保険(Insurance)と情報技術(Technology)を組み合わせた造語であり、AIなどの技術を元に引き起こされる保険の分野における大規模なイノベーションを指す単語です。

従来、保険業務に伴い発生する膨大な計算は専門の人材が相当な時間を掛けて行っていましたが、これをAIが代替するケースが増えてきました。これにより経費削減、ひいては保険料の低下も期待できます。

日本ではまだ余り浸透していない分野ですが、第一生命は日立製作所とともにインステックに関する研究を始めています。これまで保険会社が保有する顧客データは、申込み時及び請求時のだけでしたが、医療ビッグデータの活用によって、その中間、つまり病気になったり死亡したりする経過のデータも得られるようになりました。これを活用して、より個々人に適した保険料率を設計する取り組みが進められています。

フィンテック企業が台頭した理由は?

フィンテックという概念自体は以前からありましたが、それが具現化し、フィンテック企業が既存の大企業のサービスの脅かし始めるようになったのはここ最近、長めに見積もっても10年ほどのことです。一体なぜでしょうか。

リーマンショックの影響

フィンテック企業が最初に本格的に台頭したのは、リーマンショック後のアメリカでした。リーマンショック後のアメリカでは「金融機関への不信感の増大」と「大量の金融機関にリストラされた人たち」が生まれ、この2つの要素がフィンテック企業の成長を後押ししました。

リーマンショックが起こる少し前、2000年代前半~中盤のアメリカでは、短期的に大きな利益を求める投機的な資産運用よりも、将来希望する生活水準を満たす資産を無理なく作る長期的な資産管理が人気でした。

このように、最終的な目標を立て、そこに向かって投資を行う資産管理を「ゴールベース資産管理」といいます。金融機関は預かった資産を管理し、その見返りとして時価総額の何%かを手数料として受け取ります。

この仕組みのもとでは時価総額が増えるほど金融機関の取り分も増えるため、金融機関は適切なアドバイスをする……というイメージが合ったのですが、リーマンショックでそれは吹き飛んでしまいました。

多くの投資家は自分の資産の時価総額が大幅に目減りしたにもかかわらず、変わらず社員が高級をもらい続けている既存の金融機関に対して、大きな不信感を抱くようになりました。そして、そうした悪いイメージがないフィンテック企業に期待を寄せるようになりました。

また、リーマンショックでは金融機関がダメージを受けていなかったというわけではなく、いくつかの金融機関では大規模なリストラも行われ、多くの技術者が退職を余儀なくされました。彼らは新たな生活の糧を得るため、自分の能力を活かすため、あるいは自分たちを切り捨てた金融機関に対する意趣返しとして、フィンテック企業に移ったり、あるいは自ら事業を起こしたりしました。

若者世代の台頭

アメリカでは、1980年~1990年台に生まれた人たちは「ミレニアル世代」と呼ばれています。先進国の中では比較的出生率の高いアメリカでは若い人の割合が多く、彼らが社会に対して与える影響力は少なくありません。

ミレニアル世代は、その親世代とは大きく異なるいくつかの特徴、消費傾向があります。例えばデジタルネイティブであったり、コストに敏感であったり、そして既存の金融機関に対して大きな不信感を持っていたりします。

アメリカのタイムマガジンの調査によれば、彼らの75%は、既存の金融機関ではなく、GoogleやAmazon,Paypalなどからサービスを受けたいと考えています。そして、彼らが思う「好ましい企業ワースト10(つまり最も好ましくない企業トップ10)」に、4大銀行の全てがランクインしています。

こうした傾向は、アメリカではなく日本でも見られます。就職情報サイト「ディスコ」の行った人気業界ランキングによれば、統計開始から8年連続で1位だった「銀行」が4位に転落し、代わりに「情報・インターネットサービス」が1位になりました。サービスを受ける先としても、就職先としても、既存の金融機関の人気が落ちている、ということです。

こうした既存の金融機関に対する不信感の増大、凋落傾向は、フィンテック企業にとっては大きな追い風です。既存の金融機関を使いたくない人であっても、金融サービスなしには生きていくことはできません。フィンテック企業はそうしたニーズを穴埋めすることによって、徐々に台頭してきたのです。

ビッグデータとクラウドコンピューティングの浸透

ビッグデータとは簡単に言えば、大きくて、高頻度で更新され、しかも多様性があるデータのことです。明確な定義があるわけではありませんが、例えばSNSに投稿された画像と文章、Webサイトの閲覧履歴、スマートフォンの位置取得機能によって得られた位置データなどはビッグデータに該当すると考えられます。

これらの一見バラバラに存在するデータを組み合わせることによって、消費者の新たな嗜好が見えてきます。企業が取り扱うデータ量は年々増加しており、その増え方は年率60%とも言われています。仮にこれが10年続けば、企業の取り扱うデータ量は110倍になります。

フィンテック企業を含めた先進企業、あるいは既存の大企業は、ビッグデータを様々な方法で活用しています。例えば、個人・中小企業向けに無担保融資を行うアメリカのKabbageは、個人の融資審査の際にSaaSやSNSの利用状況を分析することによって審査を行っています。従来の審査よりも早くて簡単、受ける方も審査する方も楽で、それでいて正確です。

こうしたビッグデータの活用を可能にしたのがクラウドコンピューティングです。クラウドコンピューティングとは、インターネットを経由してデータストレージやアプリケーションなどを使用する従量制のサービスです。

クラウドコンピューティングの中でも有名なサービスと言えばおそらくクラウドストレージでしょう。これはオンライン上に様々なデータを保存できるサービスです。手元に用意して使うHDDやSSDなどと違い、インターネットに接続された環境さえあればどこからでも必要なデータを引っ張れるのが特徴です。先ほど少し触れたクラウド会計サービスもクラウドコンピューティングの一種です。

クラウドコンピューティングのメリットは、必要に応じて増やしたり減らしたりができることです。例えばクラウドストレージの場合は保存すべきデータ量が増えたらより容量が多いサービスに切り替えればいいだけの話ですし、逆に保存すべきデータ量が減ったらやはりサービスを切り替えればいいだけです。

こうしたクラウドコンピューティングのメリットは、スタートアップのフィンテック企業にとって特に有利に働きました。以前は優れたネットサービスを提供するためには強固で大容量なサーバー、ネットワークが必要であり、それを構築・維持するための技術者も必要だったのですが、クラウドコンピューティングはそのような出費を取り除いてくれました。

その結果、フィンテック企業は少額で様々な革新的な試みができるようになり、その中からヒットするサービスも生まれました。お金をかけていないサービスなので必然的に利用者が支払う金額も低くなり、いわゆる価格破壊も進行しました。これは消費者にとってはありがたいことであると同時に、既存の高い利益を得ていた金融機関にとっては脅威でもあります。

スマートフォンとSNSの普及

これをご覧になっているあなたもおそらくお持ちになっているスマートフォンも、フィンテックの成長を後押ししています。スマートフォンは「フォン」とついていることからもわかるように本来は電話なのですが、実際には電話よりも他の機能、例えばLINEやゲームや予定管理、SNSでの発信などに使っている方も少なくないかと思います。

スマートフォンは上記のような様々な機能を使用するための基盤として成り立っています。ここに集積されるデータはビッグデータとして非常に有益なものです。

また、スマートフォンに連動するように浸透したSNSもフィンテックに大きな影響を与えています。SNSには日夜、個人の考え、趣味、嗜好、生活スタイルが投稿されています。こうした情報をまとめてライフログといいます。ライフログは前述のKabbageの用に審査に使われることもありますし、新たなニーズの発掘にも使われます。小回りの聞くフィンテック企業はこうした意見に敏感です。

2019年のフィンテック市場はどうなる?

最後に、2019年以降のフィンテック市場ではどのようなことが起こるかを考えていきたいと思います。

金融のアンバンドリングとAPIによる結合が進展する

金融のアンバンドリングとは、金融機能を分解することです。銀行を始めとする従来の金融機関は、資金提供、信用リスク負担、情報生産、流動性変換などの複数の機能を一手に担っていました。つまり、金融をアンバンドリングせずにサービスを行っていたわけです。

しかし、最近は金融をアンバンドリングし、従来の金融機関が担ってきた機能の一部をより安価で、高品質で、高速に提供するフィンテック企業が台頭してきています。例えば、ロボアドバイザーは従来の金融機関も担っていた業務から、資産運用・アドバイスだけをアンバンドリングすることによってできたサービスです。

ロボアドバイザーは銀行のようにお金を融資してくれることも、送金してくれることもありませんが、資産運用・アドバイスという点に限ってみれば、銀行よりも優れたサービスを提供しています。

こうしたアンバンドリングが進むのは消費者にとっては嬉しいことですが、一方でこれまで1つの金融機関で受けられていたサービスが分解されてしまうと、利用が面倒になるのも事実です。これをまとめるのがAPIです。

APIとは大まかに言えば、あるソフトウェアから別のソフトウェアの機能を呼び出す仕組みのことです。外部のプログラムやデータを、自身のサービスの「部品」として使える仕組みとも言えます。

GoogleやAmazon,楽天などの大企業は、自らAPIを利用しています。企業の店舗情報などにGoogle Mapが組み込まれているのを見かけたことがある方は多いかと思いますが、あれもAPIを使ったものです。

アンバンドリングされたサービスがAPIによって部品化され、金融機関や非金融機関によってリバンドリング(再結合)される。このような流れが今後は進んでいくかもしれません。

銀行が仮想通貨を発行する

近年何かと話題の仮想通貨。ビットコインを始めとする非中央集権を売りにした仮想通貨が長い低迷期に入る一方で、銀行を始めとする金融機関、更にはフィンテック企業は独自の仮想通貨を打ち出す計画を進めています。

三菱UFJ銀行は、デジタル通貨「coin」を開発しています。もともとはMUFG COINという名称でしたが、2018年10月に改称されました。

coinは日本円と連動するように設計されたコインで、1MUFG=1円となるように調整されます(このような仮想通貨をステーブルコインといいます)。coinは仮想通貨の利便性、高速送金と日本円の安定した価格を両立する送金手段として注目を集めています。

一方、LINE社は2018年7月に自ら仮想通貨取引所「BITBOX」を開設しており、10月には独自仮想通貨「LINE」を上場させました。現時点では日米からBITBOXにアクセスすることはできません。今後、企業が独自の経済圏を作るために、仮想通貨を発行する動きはさらに加速するものと思われます。

シェアリングエコノミーが進展する

シェアリングエコノミーとは、ものやサービスなどを個人や企業の間で貸し借りする仕組みのことです。代表的なのは自動車を複数の個人や企業で共有するカーシェアリングです。カス側は利益を得られますし、借りる側は必要だが所有するほどではないものを安価で使えるようになるというメリットがあります。

シェアリングエコノミーの進展にあたっては保険や補償制度、あるいは適切な法整備などが必要不可欠ですが、KYCやインシュランスの浸透はこれを後押ししてくれるものになると考えられます。

まとめ

  • フィンテックはICTによって生まれた革新的な金融サービス
  • ソーシャルレンディングやロボアドバイザーは身近なフィンテックの例
  • リーマンショックや金融機関に対する不信感がフィンテックを後押しした
  • 2019年は銀行が仮想通貨を発行し、シェアリングエコノミーがさらに進展する

フィンテックの流れはもう止められるものではありませんし、この流れはあなたに新たな雇用の機会、あるいは投資の機会を与えてくれます。こうした最新技術を追うことは、あなたの人生の幅を広げてくれるのです。