病気、家なし、食べ物なし……お金が本当にない時に助けてくれる公的制度を一挙紹介

今回の記事では本当にお金がない時に頼れる様々な公的・私的支援制度をまとめて紹介いたします。家や食べ物がないと言った極めて緊急度の高い悩みを抱えている方も、介護や低所得による慢性的な貧困にお悩みの方も、是非参考にしてください。

本当にお金がなくて困った時に使える公的・私的支援制度

今の日本には、お金がなくて困った時に相談でき、場合によっては給付や超低金利での融資が受けられる公的・私的支援制度がたくさんあります。無職でお金がなくて困っているという場合は、銀行や消費者金融のカードローンよりも先に、こうした支援制度の検討を進めたほうが良いでしょう。

病気や怪我で働けなくなった場合は「傷病手当金」or「所得補償保険」

制度の概要
制度名 制度の対象 制度概要 問い合わせ先
傷病手当金 会社員・公務員 収入が得られなくなった時に、以前の収入の3分の2が支給される 健康保険組合
所得補償保険 主に自営業者 収入が得られなくなった時に、以前の収入の70%程度が支給される 損害保険会社

病気や怪我で働けなくなったときのために医療保険に入っている方は多いかと思いますが、実は最近、医療保険のメリットというのが少なくなってきています。医療保険の保険金額は基本的に「入院1日あたりいくら」で計算されますが、最近はがんなどの重大な病気であっても医療の進歩により入院日数が短くなってきているためです。

入院日数が短くなった事自体は嬉しいことですが、退院してもすべての人がすぐに職場復帰できるわけではありません。退院後もしばらくは通院&自宅療養を余儀なくされる人も少なくありません。この期間中は当然医療保険の保険金も受け取れませんが、通院による医療費や交通費などはしっかりかかります。

こうした時に使えるのが「傷病手当金」です。会社員や公務員が加入している健康保険組合が実施している制度です。あらゆる病気や怪我によって収入が健常時の3分の2以下になった場合に利用できます。病気や怪我で働けなくなった際の、心強い味方です。

給付額は無給になった場合は健常時の給料の3分の2、給料がある場合は給料と給付額が合わせて健常時の3分の2になる額まで給付されます。受給期間は最長1年6ヶ月です。申請から給付まで1~2ヶ月かかるのが難点ですが、それを差し引いても多大なメリットがあります。

ただし、この制度は会社員・公務員を対象としたものなので、自営業者の方は利用できません。自営業者が加入している国民健康保険に同様の制度はないため、原則として自ら所得補償保険という損害保険会社が取り扱う保険に加入する必要があります。

所得補償保険は、働けなくなった場合に、働いていたときの年収の一部もしくは大半が給付される保険です。会社員や公務員でも加入はできますが、する意味があまりなく(上記の傷病手当金を受け取れば良いため)基本的には自営業者のためのものです。毎月の保険料、給付額、給付条件などは、保険商品や加入する人に異なります。

例えばあいおいニッセイ同和損害保険の場合、保険金給付額は所得の70%、給付期間は最大で2年間です。また、職種が1級~3級に分類されており、リスクの高い職業ほど級が高くなり、保険料も高くなります。例えば一般事務員や弁護士は1級、電車運転士や介護福祉士は2級、機械運転工や警備員は3級です。

医療費がかさむ場合は「一部負担金減免制度」「無料低額診療事業」「医療費控除」

制度の概要
制度名 制度の対象 制度概要 問い合わせ先
一部負担金減免制度 災害や失業により、医療費の支払いが難しくなった人 医療費の自己負担分が免除・減免・猶予される 市区町村
無料低額診療事業 低所得者、要保護者、ホームレスなど、医療費の支払いが難しい人 医療費が無料もしくは低額になる 社会福祉協議会、福祉事務所、医療機関など
医療費控除 医療費を年間10万円以上支払った人 医療費の支払額に応じて、所得税が安くなる 税務署もしくは税理士など

一部負担減免制度は、災害や失業などにより医療費の支払いが難しくなった場合に、医療費の自己負担分を免除・減免・猶予してもらえる制度です。自営業者が加入している国民健康保険が実施している制度です。

免除・減免・猶予が認められるための条件は、市区町村のホームページで公開されています。見つからないという場合は、お住まいの市区町村までお問い合わせください。参考として、以下に名古屋市の一部負担金減免制度の基準を記載しておきます。

名古屋市の減免等の基準
種別 要件 期間
免除 実収月額(注1)≦基準生活費(注2)×115% 3か月以内
減額 基準生活費×115%<実収月額≦基準生活費×130% 3か月以内
猶予 基準生活費×130%<実収月額≦基準生活費×130%+一部負担金所要額 6か月以内

(注1)実収月額

  • 給与収入の場合
    (給与収入)−(税、保険料等その他経費)−(基礎控除額)+(その他の収入)
  • 事業収入の場合
    (事業収入)−(材料費、仕入れ代等)−(基礎控除額)+(その他の収入)

(注2)基準生活費
生活保護基準とほぼ同額

無料低額診療事業は、低所得や要保護者、ホームレスなどが1ヶ月~6ヶ月の間、医療費が無料もしくは低額になる制度です。公的保険の種類、もしくは加入は問われません。いわゆる無保険の人でも利用できます。無料になるか、低額になる場合はどれくらい安くなるのかなどについては、審査の上決定します。

医療費控除とは、自身及び生計を同一とする家族の医療費の自己負担額(保険金から支給された部分は除く)が年間10万円以上(総所得が200万円以下の場合はその5%)を超えた場合に利用できる、所得税を安くする控除制度です。会社員、公務員、自営業者、無職のいずれでも利用できます。ただし、所得税を安くする制度なので、もともと払う所得税がない人は利用しても意味がありません。病気が原因で失業した場合、病気になるまでに十分な稼ぎがあればする意味も出てきます。

医療費控除を受けるにあたっては、確定申告が必要になります。確定申告に関する相談は管轄の税務署、もしくは税理士まで。

家がない・家賃が払えない場合は「住宅確保給付金」「一時生活支援事業」

制度の概要
制度名 制度の対象 制度概要 問い合わせ先
住宅確保給付金 家がない人、家が無くなる恐れがある人 一定期間、家賃相当額の給付を受けられる。 相談窓口(一覧表
一時生活支援事業 ホームレス、ネットカフェ難民などの家がない人 最短当日中に住居、及び衣食の提供を受けられる 相談窓口(一覧表

住宅確保給付金および一時生活支援事業は、どちらも生活困窮者自立支援制度の中に存在するものです。生活困窮者自立支援制度とは、その名の通り、生活に困窮した人の自立をサポートするための制度です。同制度は複数の事業から成り立っており、その中でも住宅に関するサポートを受けられるのが住宅確保給付金と一時生活支援事業なのです。

住宅確保給付金は、失業などによって収入が途絶え、住む場所の確保ができなくなった、もしくはできなくなる恐れがある時に受給できる給付金です。

支給を受けるためには、収入及び資産が一定の金額を下回っており、なおかつ求職活動をするなどの条件を満たす必要があります。支給期間は原則として3ヶ月ですが、熱心に求職活動を行っている場合は、最大で9ヶ月まで延長することがあります。

一時生活支援事業は、それよりも緊急性の高い人、例えばホームレスやネットカフェ難民などを対象とした支援事業です。最短で申し込んだ当日に住居及び衣食の提供を受けられるのが大きな特徴です。

食べるものがない場合は「フードバンク」「一時生活支援事業」

制度の概要
制度名 制度の対象 制度概要 問い合わせ先
フードバンク 食べるものがない人 一定期間、食べ物が支給される。 各地のフードバンク(一覧表
一時生活支援事業 食べるものがない人 最短当日中に住居、及び衣食の提供を受けられる 相談窓口(一覧表

フードバンクは、「食料銀行」を意味する社会福祉活動、もしくはそれを実施するNPO・ボランティア団体です。まだ食べられる(賞味期限が過ぎていない)にもかかわらず、何らかの理由で処分されてしまう食品を有効活用しつつ、食べるものがない人を援助するための仕組みです。

食料を提供するのは食料製造業者、輸入業者、小売店などです。提供する側には一見なんのメリットもないように見えますが、実は食料廃棄コストや及び環境負荷を削減できたり、間接的なマーケティングができたりというメリットがあります(支援を受けている人が自立できた際に、「あの時お世話になったから」という理由で買ってもらえる可能性が高まります)。

フードバンクは日本各地に点在していますので、上の表の「各地のフードバンク一覧表」から近いところを探してみてください。

一時生活支援事業については、すでに紹介したので省略いたします。

小口資金が必要な場合は「緊急小口資金」「不動産担保型生活資金」「福祉費」

制度の概要
制度名 制度の対象 制度概要 問い合わせ先
緊急小口資金 緊急かつ一時的に生計が維持できなくなった家計 最大10万円を無利子・無担保で借りられる 社会福祉協議会
不動産担保型生活資金 低所得で担保にできる居住用不動産がある高齢者世帯 土地の評価額の70%を低利子(3%以下)で借りられる 社会福祉協議会
福祉費 生業や技能取得、その他多数の目的にかかる費用が捻出できない家計 最大580万円を無利子・低利子で借りられる 社会福祉協議会

「緊急小口資金」「不動産担保型生活資金」「福祉費」は、いずれも生活福祉資金貸付制度の中に存在するものです。生活資金が足りなくなった場合に、無利子もしくは低利子で生活資金を借りられます。

緊急小口資金は、一時的に家計が維持できなくなった低所得者向けの制度です。最短1週間で10万円を、無利子・無担保で借りられます。

不動産担保型生活資金は、低所得でなおかつ居住用財産を持つ高齢者世帯向けの制度です。土地の評価額の70%に相当する金額を、1ヶ月あたり30万円ごとに借りられます。居住していない物件、マンションなどの集合住宅、二世帯住宅などは担保にできません。

福祉費は生業や技能取得、福祉用具の購入、介護サービスを受けるための費用などに当てるための制度です。

介護費用が捻出できない場合は「高額介護サービス支給制度」「介護保険負担限度額認定証」

制度の概要
制度名 制度の対象 制度概要 問い合わせ先
高額介護サービス支給制度 公的介護保険自己負担額1割の合計額が一定額(1万5000円~4万4000円、所得や課税状況により異なる)を超える世帯 自己負担の合計額が一定額を超えた場合、その超えた部分が還付される 市区町村
介護保険負担限度額認定証 介護保険施設やショートステイを利用しており、なおかつ所得や預貯金が少ない世帯 上記のサービスを利用したときの自己負担額に上限が設けられる 市区町村

高額介護サービス支給制度は、自己負担の1割が一定額を超えた場合に、その超えた部分が後で還付される制度です。上限を超えると自動的に市区町村から通知が来ますので、それに記入して市区町村役場の窓口に提出します。1回手続きすれば、2回め以上の還付は自動的に行われます。

介護保険負担限度額認定証は、介護保険施設の住居費及び食費が軽減される制度です。ショートステイでも利用できます。所得や預貯金額などが一定以下でないと使用できません。

借金が返済できない場合は「任意整理」「個人再生」「自己破産」

制度の概要
制度名 制度の対象 制度概要 問い合わせ先
任意整理 借金の返済に苦しんでおり、なおかつある程度の収入がある 将来の利息の支払いや元本の一部を、債権者との話し合いでカットする 弁護士、法テラスなど
個人再生 借金の返済に苦しんでおり、なおかつある程度の収入がある 裁判所を通じた手続きにより、借金を原則として5分の1にカットする 弁護士、法テラスなど
自己破産 借金の返済に苦しんでいる 裁判所を通じた手続きにより、借金を原則として0にする。 弁護士、法テラスなど

任意整理は、債権者との話し合いによって、将来の利息の支払い、もしくは元金の一部をカットする制度です。デメリットが少ない半面、借金の減額幅は小さいため、ある程度返済能力がある人向けです。行うにあたっては、債権者の同意が必要です。

個人再生は、裁判所を通じた手続きにより、借金を原則として5分の1にカットする制度です。任意整理よりも大きな効果が期待できる反面、官報(国の機関誌)に名前が記載されたり、住宅ローン以外の借金は整理する債務を選べなかったりというようなデメリットもあります。

自己破産は、裁判所を通じた手続きにより、借金を原則として0にする制度です。効果は最も大きい反面、一定の期間特定の職業に就けなくなる、20万円以上の財産は原則として没収されるなど、デメリットも大きいです。

参考記事:借金の債務整理の種類とそれぞれのメリット・デメリット

まとめ

今の日本には、お金がなくて困った時に相談でき、場合によっては給付や超低金利での融資が受けられる公的・私的支援制度がたくさんあります。

自分の悩みに応じて適切な期間に相談すれば、負担はずっと少なくなります。今まで一人で悩んでいた方は、相談するところから始めてみてください。