「無職だとどこからもお金を借りられない……」「無職でお金がないせいで医療費が払えない……」と言った悩みを抱えている方に朗報です。実は世の中には、無職であってもその理由や目的次第でお金を借りられる方法が多数あるのです。もちろん借入先は正規の民間金融機関(銀行や消費者金融)や公的機関であり、闇金のような危険な団体とは無縁です。
また、金融機関以外にも、お金がない時に給付や低金利での融資をしてくれる公的・私的期間も複数あります。今回の記事では年金受給者、専業主婦/主夫、学生、失業者でも安全に、なおかつ低金利で借りられる方法を、さらには様々な機関から支援を受ける方法を幾つか紹介していきますので、お困りの方は是非参考にしてください。
目次
微妙に異なる「無職」と「無収入」の意味
無職と無収入は一緒くたにされることが多い概念ですが、実は別物です。無職という言葉は多様な意味を持ちますが、一般的には「仕事をしていない人」のことを指します。仕事とは簡単に言えば金銭を得るための労働のことです。
したがって、金銭を得るための労働をしていない年金受給者、専業主婦/主夫、学生、求職者なども無職に含まれます(定義によって主婦や学生は無職に含まれないこともありますが、ここでは含まれるものと考えます)。
一方、無収入とは文字通り収入がない人のことです。例えば年金受給者は無職ではあっても無収入ではありません。逆に事業を行っているが全く収入が得られていない人は無職ではないですが無収入です。無職であっても無収入でなければ、ある程度借りやすくなります。逆に無収入である場合は厳しくなりますが、それでも幾つか借りられる方法があります。
年金受給者の場合は年金担保制度が利用できる
年金受給者は、無職にカテゴライズされる人の中ではかなり借りやすい方に位置します。といっても、若くて元気な現役世代と比べると当然難しくなります。銀行や消費者金融は「申込み年齢」を定めていることが多いですが、殆どの場合年金受給者は入りません。
入ったとしても年金受給を始めてから数年にとどまることが多いです。参考までに、主要な銀行及び消費者金融の上限年齢を一覧形式にして貼っておきます。
- りそな銀行:60歳未満
- 楽天銀行:60歳未満
- 住信SBIネット銀行:65歳未満
- 三菱UFJ銀行:65歳未満
- イオン銀行:65歳未満
- みずほ銀行:66歳未満
- じぶん銀行:70歳未満
- 横浜銀行:70歳未満
- プロミス:70歳未満
- アコム:70歳未満
- アイフル:70歳未満
なお、ここで70歳未満となっている場合でも、70歳になるギリギリ手前で申し込むと審査に通る可能性は低くなります。もうすぐ年金受給者になることがわかっている人に対して積極的に貸し出す理由がないからです。
ではどこで借りれば良いのかと言うと、ズバリ独立行政法人 福祉医療機構の「年金担保貸付」、もしくは日本政策金融公庫の「恩給・災害補償年金担保貸付」です。勘のいい方はすでにお気づきかと思いますが、これはどちらも年金を担保にして借りるタイプのローンです。このようなローンを「年金担保融資」といいます。
担保とは、債務者が債務を果たさなかった時(返済ができなくなった時)に備えて、債務者が債権者に対して差し出す財産のことです。債務者は年金を担保にお金を借り、返せなくなった場合は年金が債権者に没収される、という仕組みになっています。滞りなく返せた場合は、もちろん年金は一切没収されません。
この担保制度があるおかげで貸し出す側の債権回収不能リスクは低下し、その結果金利が安くなっています。
なお、福祉医療機構の年金担保貸付制度と、日本政策金融公庫の恩給・災害補償年金担保貸付では、担保にできる年金の種類が異なります。受給している年金に応じて使うのを選ぶことになります。
- 福祉医療機構で担保にできる年金:厚生年金、国民年金、船員保険年金、労災年金
- 日本政策金融公庫で担保にできる年金:恩給、災害補償年金、共済年金、共済組合の厚生年金
かつて会社員だった方は厚生年金を、自営業者だった方は国民年金を受給しているはずですので、福祉医療機構の年金担保貸付制度を選択します。公務員だった方は共済年金を受給しているはずですので、日本政策金融公庫の恩給・災害補償年金担保貸付を選択します。
年金担保融資の金利は民間カードローンの10分の1以下!?
ここで紹介した2つの年金担保融資は、公的機関の行う担保付き融資ということで、金利が非常に低く設定されています。
金利は担保にする年金、及び政策金利によって変動しますが、2019年1月時点で福祉医療機構で厚生年金や国民年金を担保にした場合の金利は1.8%です。また、日本政策金融公庫で共済年金を担保にした場合の金利は1.71%です。両者ともに、他の年金が担保の場合はさらに金利が低くなります。
消費者金融の上限金利が大抵の場合18%前後に設定されることを考えると、その金利はなんと10分の1以下です。これが年金担保融資の最大の魅力です。
福祉医療機構「年金担保貸付」の申し込み・利用条件
年金担保貸付は年金受給者ならば誰でも利用できるというわけではなく、幾つか申し込み条件が定められています。また、借りたお金の用途も完全に自由というわけではなく(それでも自由度はかなり高いほうですが)、一部制限がかかります。
年金担保貸付に申し込めなくなる条件
- 生活保護を受給している
- 2014年以降に借入申込をして繰り上げ返済を行い、融資決定時の完済予定日に到達していない
- 年金支給が全額停止されている
- 現況届もしくは定期報告書を提出していない、提出が遅れている
- すでに同一の年金を担保に借り入れを行っている
- 以前年金担保融資を利用中に生活保護を受給したことがあり、生活保護廃止から5年経過していない
- 特別支給の老齢厚生年金を受給しており、65歳時の年金手続き期間中
年金担保貸付で禁止されている用途
- ギャンブルや公序良俗に反する行為のための利用
- 借り塗りの利益に明らかに反すること
年金担保貸付で借りられる金額
- 10万円~200万円(1万年単位。生活必需品購入の場合は10万円~80万円)
- 受給している年金金額の0.8倍以内(所得税額に相当する金額を除く)
- 1回あたりの定額返済額の15倍以内
よく見ていただければわかるかと思いますが、年金担保貸付は禁止されている用途が極めて少ないです。入院や通院に使うのも、更には滞納している家賃や税金を支払うのも全く問題ありません。判断が難しい場合は、福祉医療機構に事前に問い合わせて相談しましょう。
日本政策金融公庫の恩給・災害補償年金担保貸付の申し込み・利用条件
こちらも年金受給者ならば誰でも利用できるというわけではなく、幾つか申し込み条件が定めれています。また、借りたお金の用途も完全に自由というわけではなく(それでも自由度はかなり高いほうですが)、一部制限がかかります。
まず、以下の条件に当てはまる場合、恩給・災害補償年金担保貸付に申し込みができなくなります。無理やり申し込んでも絶対に借りられませんので、その場合は潔く諦めてください。
日本政策金融公庫の恩給・災害補償年金担保貸付に申し込めなくなる条件
- 生活保護受給中(共済年金や厚生年金を担保にする場合)
- 恩給・共済年金担保融資をご利用中に生活保護を受給し、生活保護廃止後5年経過していない
日本政策金融公庫の恩給・災害補償年金担保貸付で禁止されている用途
特になし?
日本政策金融公庫の恩給・災害補償年金担保貸付で借りられる金額
- 250万円以内(生活費の場合は100万円)
- 担保とする年金の1.6倍(恩給や災害補償年金を担保にする場合は3倍)
こちらについては、ウェブサイトなどで特に禁止されている用途の記載はありませんでしたが、こちらの場合もおそらくギャンブルや公序良俗に反する行為は禁止されているものと思われます。
他に年金担保融資を行っている金融機関を見つけたら
それは違法行為です。法律で年金担保融資を行ってよいのは福祉医療機構と日本政策金融公庫のみと定められているからです。それ以外の年金担保融資を見かけても絶対に借りてはいけません。
専業主婦/主夫の場合は配偶者の収入次第でカードローンが組めることも
専業主婦/主夫の場合は、配偶者に十分な収入があれば、民間の消費者金融や銀行でカードローンを組めることがあります。借入額は少なくなりますし、金利などの条件も有利にはなりませんが、とりあえず借りることはできます。
消費者金融は原則として無収入には貸し出しを行わないが……
消費者金融を始めとする貸金業者は総量規制の対象に定められています。総量規制とは簡単に言えば「原則として、その人の年収の3分の1を超える金額を貸し出してはいけない」という規制です。専業主婦/主夫の個人の収入は0円ですので、貸し出せる金額は0×1/3=0円、つまり貸し出せないということになります。
しかし、この総量規制には配偶者貸付という例外制度があります。配偶者貸付とは、配偶者と年収、及び融資枠を合算できる制度です。例えば年収600万円の夫と年収0円の妻の場合、両者の年収を合算した600万円の3分の1=200万円まで妻が借りられます。
ただし、配偶者貸付を利用する場合は、消費者金融に配偶者の同意を示す書面、及び住民票を必ず提出しなければなりません。専業主婦/主夫が配偶者の同意なしに消費者金融でローンを組むことはできない、というわけです。配偶者はこの同意をしても、連帯保証人になることはありません。
銀行は総量規制の対象外であり、配偶者に内緒で借りられる可能性あり
銀行は消費者金融と違い総量規制の対象外なため、銀行自身の判断で無収入の専業主婦/主夫にお金を貸し出すことがあります。もちろん、営利企業である銀行側が返済能力の低い人に好き好んで高額な融資を行うことはありませんが、配偶者の返済能力が十分にあると判断した場合は貸し出します。
専業主婦/主夫から見た銀行カードローンのメリットは、配偶者の同意を得る必要がないことです。金利も消費者金融より低めに設定されていることが多いです。ただ、内緒で借りて後でトラブルになっても困りますし、(制度上強制はされませんが)配偶者には断りを入れてから借りることをおすすめします。
学生の場合は収入がないと借り入れは難しい
バイトをしていない学生は、基本的に銀行や消費者金融からお金を借りることはできません。学生ローンがあるじゃないか、と思われるかもしれませんが、学生ローンは前述の総量規制(年収の3分の1までしか貸してはいけない)という規制の対象になるため、収入がなければ借りられません(バイトをしていれば借りられます)。
銀行は総量規制の対象外ですが、配偶者のように代わりに払ってくれる人がいない学生に対して貸付を行うことはまずありません。
なお、奨学金はバイトをしていない学生でも借りることができますが、ローンの利用目的が限定されているため、この記事では省略します。奨学金についてより詳しく知りたいという方は、以下の記事を参考にしてください。
求職中の場合はローンの利用が極めて難しくなる
求職者の場合も銀行から借り入れができる可能性はありますが、その可能性は非常に低いでしょう。信用情報が問題なく、他者からの借り入れもないという極めてクリーンな状態でも、職がなければ審査には高確率で落ちます。
まとめ
- 高齢者の場合は年金担保融資でお金を借りられる可能性がある
- 専業主婦/主夫の場合は配偶者の収入次第でカードローンの借り入れも可能
- 学生、求職者は借り入れが難しい
無職であっても、本人や配偶者に何らかの収入があれば借り入れができる可能性は高まります。無職だから借りられない……と端から諦めていた方は、これを機会に借りられるところを探してみてください。