空き家問題を無視していると固定資産税が6倍に!?逃れる術はあるの?

「空き家をなんとかしたいけど、解体費用を出すのは難しいし、買い手もなかなか見つからない……」

最近、このような悩みを抱える人が増えてきています。確かに空き家は解体するだけでも費用がかかりますし、そのまま売ろうとしてもそう簡単に売れるものではありません。いろいろ考えた挙げ句に判断するのが面倒くさくなってしまって、結局何もしないまま放置しているという方も多いのではないでしょうか。

しかし、空き家をそのままにしておくのはよくありません。周辺に対して迷惑がかかるだけでなく、場合によっては自分にも数々の不利益が跳ね返ってくるからです。手のうちようがないからと言って放置し続けた場合、最終的に損をするのは持ち主です。

「そんな事言われたって、どうすれば良いのかわからない……」という持ち主の方もご安心ください。あなたが空き家をどうするべきかは、この記事を読むだけで簡単にわかります。空き家問題という不幸を、収益や売却代金と言った幸福に変えられるのです。読み終わるまでにかかる時間はたったの5分、それだけであなたの空き家問題はたちどころに解決します。

急速に深刻化する空き家問題、政府も対策に乗り出す

空き家の適切な処分方法を知るためには、まずは空き家問題の現状を把握する必要があります。今どのようなことが起きているのか、マクロな視点から物事を見れば、自身の空き家を処分するというミクロな問題も解決しやすくなります。

まず知っておいてほしいのは、空き家はもはや持ち主や周辺住民だけの問題ではなく、社会問題と貸している、ということです。

日本の空き家は数・全住戸に対する割合ともに増加傾向にあり、特に地方では顕著な問題となってあります。統計局の「住宅・土地統計調査」によれば、2013年時点での空き家数は約820万戸で、住宅総数に対する占める割合は13.5%でした。概ね7戸に1戸が空き家、ということになります。

また、野村総合研究所は、2018年から2033年にかけて空き家数・割合ともに急増する見通して、それぞれ2166万戸、30.4%になると推測しています。現状でも十分深刻な空き家問題は、今後さらに加速していくと考えられます。

空き家の増加は周辺地域の治安の低下、住環境や衛生環境の悪化、そして空き家があることによる地価の低下などの諸問題を招くと考えられています。空き家はひと目がないため放火の対象になったり、ブロック塀が崩壊して誰かに怪我をさせたり、不良のたまり場になったりする危険性が高いのです。実際に空き家が原因で様々な事件が発生しています。

政府もこれを問題視しており、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)を設立するなどして対策に乗り出してます(内容については後述します)。今後は今まで以上に空き家が持ちづらくなる時代が来るはずです。

空き家が持ち主に不幸をもたらす「3つの理由」とは

空き家を持ち続けている方は、「空き家を持ち続けていても困るのはその周辺住民であって持ち主ではないのでは?」と思われるかもしれません。

リアルで言えば白い目で見られるかもしれませんが、実際のところ人間はなにか問題が起きていてもそれで自分が嫌な思いをしないのならば無視できる生き物ですので、そう思うこと自体は自然なことです。

ただし、それでもやはりその考え方は間違っています。空き家を持ち続けると持ち主も不幸になるからです。

危険な空き家は固定資産税が最大6倍になる

実は固定資産税や都市計画税には数々の優遇措置があります。その中でも最も有名なのが「住宅用地はそうでない土地と比べて大幅に税金を減額する」というものです。政府が持ち家を促すために、税金を安くしているのです。

例えば固定資産税の場合は、以下のような優遇措置が受けられます。

  • 小規模住宅用地(200平米以下の部分)…評価額を1/6に減額
  • 一般住宅用地(200平米超の部分)…評価額を1/3に減額

一方、都市計画税の場合は以下のような減額措置が受けられます。

  • 小規模住宅用地(200平米以下の部分)…評価額を1/3に減額
  • 一般住宅用地(200平米超の部分)…評価額を2/3に減額

固定資産税や都市計画税は評価額×税率で計算されますので、評価額が1/6になれば税額も1/6になります。この優遇措置は、非常に大きなものなのです。

しかし、危険であると判断された空き家は、この優遇措置が受けられなくなってしまいます。今まで1/6にまけてもらっていた固定資産税を、まるまる払わなければいけなくなってしまうのです。感覚的には、固定資産税が突然6倍になるのと何ら変わりありません。

この優遇措置を廃止する制度が先程触れた空き家対策特別措置法です。この法律は簡単に言えば、危険な空き家を「特定空き家」に指定して、優遇措置を受けられなくしてしまおう、というものです。優遇措置がなくなれば空き家を持ち続けるコストは増加し、その結果空き家の解体や売却にかかる費用が相対的に安くなり、解体や売却が促されるはずです。

ただ、それでも費用を捻出できない持ち主もいるため、いくつかの自治体は空き家を解体・活用する支援事業を行っています。

また、これ以外にも生前被相続人が使っていた家屋を相続した相続人がその家、もしくはその家を解体したあとの土地を譲渡した場合には、譲渡所得から3000万円を差し引くという特例措置も作られています。

先程の自治体が行う支援事業は「今ある空き家を減らすため」の事業であるのに対して、こちらは「空き家を発生させない」制度であると言えます。

大まかに言えば空き家対策特別措置法が「鞭」、各種援助事業や特例措置が「飴」です。空き家を持ち続けるのは、鞭を受け続ける一方で、飴を一切口にしないのと同義であり、続ければ続けるほど損をします。

空き家が原因で損害賠償が発生するリスクが有る

先ほど紹介した参考記事「NEWSポストセブン 空き家化した実家が倒れて隣家に被害で損害額請求される例も」には、このような記述があります。

もし実家が倒壊するなどして隣家に被害を及ぼした場合、民法第717条に定められている「土地工作物責任」に基づき、修理費など損害額を請求される。

「土地工作物責任」とは、家屋など土地に設置・保存された工作物が安全性を欠いており、それによって他人に損害を与えた場合、工作物の占有者・所有者が賠償責任を負う規定だ。

 例えば降雨によって地盤が緩み石垣が崩壊して隣接する築67年の家屋(木造平屋)が全壊したケース。1998年の広島地方裁判所の判例では、石垣の全面的補修を行なっていれば崩壊を防ぐことができた可能性があったのに望ましい措置が取られなかったとして、石垣所有者の「工作物保存の瑕疵」を認めて約364万円の損害賠償が認定されている。

倒壊事故などによって死亡者やケガ人が出た場合も、「通常有すべき安全性」を欠いていた場合には賠償を負う可能性がある。

要するに、工作物が倒壊したり、ブロック塀が崩壊したりすることによって他人に損害を与えた場合(他人に怪我をさせたり、他人の自動車を破壊したりした場合)、その空き家の持ち主が責任を負うということです。もちろん、このルール自体は空き家でない家屋にも適用されるものですが、空き家はそのリスクが比べ物にはならないくらい高いです。

空き家がある程度人通りの多い場所に建っている場合、ある日突然崩れて他人に損害を与えるかもしれません。そうなった時に誰より困るのは持ち主なのです。

資産価値が低下する

空き家が増加すると、その地域の治安が悪化したり、街に対する印象が悪くなったりして、その地域の資産価値が下がります。その地域の資産価値が下がると、そこにある空き家が売れづらくなるため、空き家は更に増えます。

資産の低下と空き家の増加が絡み合って連鎖するという、負のスパイラルが発生してしまうわけです。空き家を持ち続けることは、結局自分の資産を目減りさせることに繋がります。

空き家の「3つの処理方法」のメリットとデメリット

「空き家を持ち続けるのが危ないことはわかったけれど、具体的にはどうやって処分すればいいの?」という疑問にお答えします。空き家を処理する方法は、概ね以下の3つに分けられます。

  • 解体
  • 売却
  • 賃貸

の3つに分けられます。それぞれのメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

解体のメリット

  • 近隣住民に損害を与える可能性がなくなる
  • 解体後にできた土地を売却したり、駐車所として活用したりできる
  • 空き家を管理する必要がなくなる

解体のデメリット

  • 解体費用が発生する。金額は構造や面積によって異なるが、木造戸建てでも250万円程度かかることも
  • 固定資産税がかかる。解体すると住宅用地ではなくなるため優遇措置も受けられない
  • 残った土地を適切に管理しないと、不法投棄される恐れがある

売却のメリット

  • 売却によってお金が得られる
  • 解体費用を払わないで済む
  • 空き家が自分のものではなくなるため、税金や損害賠償等のリスクがなくなる

売却のデメリット

  • 買い手を探すのが難しい。特に地方の空き家、状態が悪い空き家は売れ残る可能性大
  • 買い手にリフォームを求められることがある

賃貸のメリット

  • 賃貸によってお金が得られる
  • 解体費用を払わないで済む
  • 人が住むようになるため、特定空き家に指定される恐れがなくなる

賃貸のデメリット

  • 入居希望者を探すのが難しい。特に地方の空き家、状態が悪い空き家は売れ残る可能性大
  • 入居希望者にリフォームを求められることがある
  • 賃貸物件を経営しなければならない
  • 入居者との間でトラブルが発生する恐れがある

あなたの空き家に最も合った処理方法は?

一口に空き家と言っても、空き家歴が長く老朽化が進んだものもあれば、比較的新しいものもあります。都市部のものもあれば地方のものもあります。木造のものもあれば、鉄筋コンクリート造のものもあります。空き家も千差万別であり、それぞれ最適な処理方法は異なります。

ここでは具体的なケースを幾つか想定し、対処法を考えてみましょう。

かなり老朽化が進んでいる場合

空き家の中でも特に老朽化が進んでいて危険なもの、今すぐ特定空き家に指名されかねないようなぼろぼろな空き家は、基本的には解体をおすすめします。そのような空き家は無理やり売り、あるいは貸しに出そうとしてもうまくいかないことが大半だからです。

解体費用は物件の規模、構造、地域、更には季節などにも左右されますが、一般的な木造住宅の場合は3万円~4万円/坪、鉄筋コンクリートの場合は5万円~6万円/坪が相場と考えれば、だいたい問題ありません。鉄筋コンクリートのほうが高額なのは、頑丈で取り壊すのにお金がかかるからです。

また、下水道が通っておらず、浄化槽がある場合は、追加で50万~70万円程度の費用がかかります。その他、ケースによっては特別な費用がかかることもあります。

一般的な広さを持つ木造住宅の場合、解体費用は多くても250万円程度に収まることが多いです。結構高額にも見えますが、前述の通り幾つかの自治体は解体に対する助成を行っているため、そうしたサービスを併用することによって負担を軽減できますし、ある程度人がいる場所なら土地を駐車場にすることによって収益も得られます。

以下のサイトで各自治体が実施している補助の内容を検索できますので、気になる方は探してみてください。

参考サイト:解体サポート 全国版

比較的新しくてきれいな場合

客観的に見てそれなりに新しくきれいな場合は、売却もしくは賃貸がおすすめです。そうした物件はちょっとリフォームを施したり、集客を工夫したりすれば、十分に売ったり買ったりできます。

この方法ならば解体費用がかかることもありませんし、売却ならば面倒な管理もしなくて済みます。賃貸の場合も管理会社に任せればオーナーがやるべきことはほとんどなくなります。

賃貸と売却ならばどちらが良いのか。これは持ち主の置かれた状況やその土地の特性によって異なります。例えば、持ち主がかなり高齢な場合、賃貸住宅を経営するのはかなり負担になるでしょう。その場合は空き家とは完全に縁を切れる売却のほうがおすすめです。

逆に持ち主が若かったり、あるいは時間に十分な余裕があるという場合は、安定した収益が望める賃貸のほうが長期的に見てお得になりやすいです。

また、地域ごとに賃貸と持家の需要と供給は異なります。例えば持家の需要が高く供給が少ない地域では当然売却に出したほうが良い、ということになります。このあたりの地域の特性というのは素人にはなかなか理解しづらいものですので、不動産会社の強力を得ながら広告を進めていく必要があります。

空き家を高く売る・貸すためにやるべきことは?

空き家を解体せずに売ったり貸したりしたほうがいいケースはままありますが、では具体的にどのようなことをすれば空き家をより多くのお金に変えられるのでしょうか。

基本的には不動産会社に仲介してもらう

売る場合でも貸す場合でも、基本的には不動産会社を通して買い手・借り手を見つけます。当然仲介手数料はかかりますが、そのかわりに面倒で複雑な事務作業や、広告宣伝活動を安心して任せられますし、精神的にも楽です。手数料はこれらの作業を肩代わりしてもらうための費用と割り切ってください。

ただし、すべての不動産会社が空き家を売るノウハウを持っているわけではありません。特に空き家が発生しづらく、また発生したとしても比較的簡単に買い手や入居者が決まる都市部の不動産会社は、十分なノウハウを持っていないことが多いです。

また、不動産会社の中には、空き家の仲介そのものを嫌うところも少なくありません。空き家は売却金額も家賃も低めに設定されているケースが多く、頑張って契約までこぎつけても大した稼ぎにはならないからです(不動産会社が得られる仲介手数料は売却の場合は契約金額、賃貸の場合は毎月の家賃に比例します)。

最近は空き家を売却する際の仲介手数料の上限が緩和されたため(正確には調査費用などの必要経費を上乗せできるようになったため)、不動産会社の取り分は増えましたが、それでも依然として「空き家は儲からない」というのが不動産会社の正直な意見でしょう。

こうした環境下でも、熱心に取り組んでくれる不動産会社を探すためにはどうすればいいのでしょうか。

まず、その物件がある地域の不動産会社に依頼するのは必須です。自宅と空き家が離れている場合、ついつい自宅に近い不動産会社に依頼してしまいがちですが、空き家がある地域に詳しくない不動産会社もそんな案件を持ち込まれてもわからない、というのが正直なところです。

複数の不動産会社を比較することも大切です。不動産会社はそれぞれ違った強みや弱みを持っています。大手だからといって必ずしも優秀とは限りませんし、逆に中小だからといって販売ノウハウに劣るとも限りません。もちろん、大手には大手のメリットがあります。最初から1社に絞らずに、複数社に見積もりをもらうことが大切です。

空き家バンクも活用する

空き家バンクとは、自治体が運営する空き家のマッチングサービスです。所有者は売却や賃貸を希望する物件の情報を提供し、自治体はその情報をWebサイトなどで紹介します特に地方の自治体にとって空き家問題は優先度の高い課題であるため、このような取り組みを行うところが多くあります。

自治体は情報を売り手や貸し手と買い手や借り手の橋渡しをするだけであり、契約には関わってきません。不動産会社を紹介してもらえることはありますが、もらえないこともあります。後者の場合は、自分で不動産会社を探すか、直接契約します。

空き家バンクのメリットは、利用登録費用がかからないということです。不動産会社を仲介した場合は手数料がかかりますが、空き家バンクを利用すること自体に費用はかかりません。それでいて自治体のWebサイトを通じて物件を紹介できるのですから、大きなメリットがあると言えます。

デメリットは、自治体によっては空き家バンクそのものが存在しなかったり、熱心な運営がされていなかったりすることです。例えば同じ首都圏であっても、東京都の市区町村と埼玉県の市区町村では、明らかに後者のほうが熱心に運営されています。

以下は東京都青梅市、東京都羽生市、埼玉県越谷市、埼玉県北部地域(熊谷市など7市町)が運営する空き家バンクですが、埼玉のほうが全体的に情報が視覚的でわかりやすいです。東京都は空き家バンクの運営自体が行われていない所も多いです。

       
青梅市 羽生市 越谷市 北部地域

埼玉県は県のホームページから空き家バンクの問い合わせ先が簡単に検索できるなど、全体的に熱心な活動を行っているのがわかります。(埼玉県 空き家バンクのご案内

このあたりはどうしても運が絡んでしまいます。ほとんど誰も使用していなそうな空き家バンクは登録するだけで手間がかかるので(お金はかかりませんが)、いっその事無視してしまっても良いかもしれません。

まとめ

空き家を持ち続けるのは、周囲の住民だけでなく持ち主にも悪影響を与える
特定空き家に指定された場合、最大で固定資産税が6倍になる

  • 空き家を減らす・増やさないための助成制度が増えてきている
  • 空き家が原因で他人に損害を与えた場合、損害賠償を請求される恐れがある
  • 空き家を持ち続けることにはなんのメリットもないので、できる限り早急に対応すべし
  • 空き家の処理方法は「解体」「売却」「賃貸」の3つ
  • 状態が悪い空き家はまず売れない・貸せないので解体が無難
  • 比較的新しくてきれいな空き家は売ったり貸したりしたほうが良い
  • その場合は不動産会社や空き家バンクも活用する

空き家問題は持ち主の問題であると同時に、社会的な問題でもあります。最近は政治もそれを解決する方向に動き始めていますので、その流れに乗って今のうちに解決してしまいましょう。

それが持ち主の身を安全に守るだけでなく、利益にもつながるからです。善は急げ、早速動き始めましょう。