不動産屋は普段どんな仕事をしているの?業界志望者必見!

日本の産業の一角を担う不動産業界。その仕事の規模の大きさや安定したイメージから、業界に対して憧れを抱く学生の方も少なくないかと思います。

が、不動産業界は基本的に「閉じた」業界であり、外側の人間には不動産屋が普段どのようなことをしているのかという情報がなかなか回ってきません。これでは志望動機も組み立てられませんし、よしんば就職できたとしても「思っていたのと違う……」と公開しかねません。

今回の記事では普段はなかなか明かされない不動産屋がどのような仕事をしているのかについてわかり易く解説いたしますので、業界志望者の方、特に漠然としたあこがれを抱いているという方は是非参考にしてください。

不動産屋は「業務で不動産を取り扱う会社」の総称

不動産屋とは、業務で不動産を取り扱う会社の総称です。アパートの管理をしている会社も、マンションの売買をしている会社も、あるいは賃貸の仲介をしている会社も、みんなまとめて不動産屋です。

不動産業界は比較的参入が容易な業界であり、なおかつ需要も大きいことから、大企業から中小企業、更には個人経営の会社も多数参入しています。

不動産業界全体の売上は2007年時点で34兆円であり、全産業の2.3%に相当します。卸売、小売、自動車などと比べるとその規模は小さいものの、飲食や宿泊、印刷などは上回っています。普段あまり意識することはないかと思いますが、実は非常に大きい業界なのです。

そもそも不動産って何?

日本の民法では、不動産とは「土地及びその定着物」と定義されています。土地はわかるとして、定着物とはなんでしょうか。

定着物とは簡単に言えばその土地の上に定着しているもの、つまりくっついていて容易に分離できないものです。具体的には建物、立木、未分離の果実、移動困難な庭石などが該当します。ただし、建築中の建物は民法上の「建物」には該当せず、したがって定着物にも該当しないので、不動産とはみなされません。

小難しい話になってしまいましたが、日常生活をする上では「不動産とは土地と完成した建物のことである」とおぼえておけば、だいたい間違いはないでしょう。

不動産屋の種類

不動産屋は世の中にたくさんありますが、その業務の内容によって概ね「開発会社(デベロッパー)」「販売代理会社」「仲介会社」「管理会社」の4つに分類できます。ここではそれぞれの会社が行っている業務と、その業界の中で有名な会社を紹介いたします。

開発会社(デベロッパー)

開発会社(デベロッパー)とは、土地や街などを開発することを業務とする会社です。街の再開発事業、リゾート開発、大規模なマンションや商業ビルの開発、宅地造成等を通じて「まちづくり」を行います。

開発会社はあくまでも企画をするのが仕事であり、その企画を図面に落とし、実際に形にするのは建設会社(ゼネコン)です(ゼネコンも小さな工務店などを下請けとして使っています)。

構図としては開発会社がクライアント、ゼネコンがそれを受注する下請けということになりますが、実際には両者の立場は対等に近く、ともに開発を進めることも少なくありません。

開発会社の利益構造と業務内容

開発会社のビジネスモデルは大きく分けて2つ。建物の売却料と賃料です。例えば分譲マンションを開発して売却料を得た場合、売上から開発費用を差し引いたものが開発会社の利益になります。

主な業務は土地の取得、企画、営業の3つです。価値の源泉となる土地を習得し、その上に企画に基づいて建物を立て、それを個人や企業と言った顧客に対して売ったり貸したりするための営業を行う、というのが大まかな流れです。

開発会社の種類

開発会社は大きく「総合開発会社」と「専門開発会社」に分類できます。前者はマンションから商業施設、リゾート施設まで幅広い業務を請け負っている開発会社です。グループ全体の規模の大きさと、総合力の高さが売りです。

一方、後者はある特定の事業に特化している開発会社です。例えばマンションを専門的に取り扱っているところもあれば、商業ビルを専門的に取り扱っているところもあります。

日本の主な開発会社一覧

  • 三井不動産
  • 三菱地所
  • 東急不動産
  • 野村不動産
  • 森ビル

販売代理会社

販売代理会社とは、開発会社が開発した分譲マンションや、ハウスメーカーが建築した一戸建て住宅などを販売する会社です。

自身では販売まで手が回らない開発会社やハウスメーカーからの依頼を受けて、主に個人の顧客に対して広告を出すなどして分譲物件を販売します(開発会社やハウスメーカーが自ら販売することもありますが、その場合販売会社に出る幕はありません)。

開発会社とグループ企業の関係で、そこから依頼を任される会社が多いですが、特定の開発会社のもとにはつかず、様々な開発会社やハウスメーカーから依頼を取ってくる、独立した販売代理会社もあります。

販売代理会社の利益構造と業務内容

販売代理会社は、クライアントである開発会社やハウスメーカーから手数料を得ることによって利益を得ています。

販売代理会社は後述する仲介会社と違って買主から手数料を取らない(売り主からしか取らない)のが大きな特徴であり、販促時の売り文句にもそのことが使われる事が多いようです。販売代理会社は売り主の利益を最大限に考えるのに対して、仲介会社は仲介人として中立を保つ必要がある、という違いもあります。

主な業務は顧客への販促です。取り扱っている物件の存在を知らせるために広告を出したり、その広告を見て問い合わせをしてきた人を案内したり、あるいは住宅展示場で解説したりします。

日本の主な販売代理会社一覧

  • 住友不動産販売
  • 東急リバブル
  • 三井不動産リアルティ
  • 三井住友トラスト不動産
  • 三菱UFJ不動産販売

仲介会社

仲介会社とは、不動産の売買、もしくは賃貸の仲介を業務とする会社です。世の中には物件を売ったり貸したりしたい不動産保有者(オーナー)と、それを買ったり借りたりしたい人(顧客)がいます。この両者をマッチングさせ、不動産の適切な流通を促すのが仲介会社の役目です。

一見、不動産販売会社と役目が似ていますが、販売会社はあくまでも自身の顧客である売り主側に付くのに対して、仲介会社はそれよりも中立に近い立場から業務を行います。反面、販売会社は売り主からのみ手数料を取るのに対して、仲介会社は両方から手数料を取るのが一般的です。

仲介会社の利益構造と業務内容

仲介会社は、仲介をすることによって、売主/貸主、買主/借主から手数料を得ています。仲介手数料の上限は法律によって上限が定められています。

  • 売買仲介の場合:売買価格×3%+6万
  • 賃貸仲介の場合:家賃の1ヶ月分

賃貸仲介の場合、手数料が無料になることも珍しくありません。上記の上限額はあくまでも「これより多くもらってはいけない」という上限側の決まりであって、それ以下未満にすることにはなんの問題もありません。

例えば貸主(大家)が借り手がつかなくて困っている場合などは、顧客を得るためにあえて仲介手数料を無料にすることもあります。

主な業務内容は文字通り仲介です。ただし、ただ仲介しますよと言って待っているだけではなかなか買手・借手が集まらないので、自ら販促を行います。広告を出したり、正しい広告を出すために現地調査を行ったりします。

また、不動産に関する法知識がない売り主/貸主、買い主/借主に変わって書類を作成したり、決済をしたりします。

日本の主な仲介会社一覧

  • 三井不動産リアルティ
  • 住友不動産販売
  • 小田急不動産
  • 阪急不動産
  • タケダホーム

管理会社

管理会社とは、不動産の所有者からの依頼を受けて、不動産を適切に管理することを業務とする会社です。不動産の代表例であるマンションやアパート、あるいは商業ビルなどは、適切に管理しないと急速なペースで劣化が進み、その結果資産としての価値も落ちてしまいますし、入居率にも影響が出ます。

不動産管理会社はそうした価値の下落を防ぐ仕事をしています。不動産の売買には直接かかわらない為地味な存在ではありますが、不動産の所有者にとっては最も身近な存在かもしれません。

なお、たまに不動産の所有者が自ら管理を行うことがありますが、この場合管理会社は関わってきません。

管理会社の利益構造と業務内容

管理会社は不動産を管理する見返りとして、不動産の所有者から手数料を得ています。手数料は所有者が得た家賃収入に比例するように設計されていることが多いです。管理会社や建物の種類によって手数料は変動しますが、基本的には家賃の5%になるものと思っておけばだいたい間違いありません。

主な業務内容は文字通り不動産の管理です。入居者募集や契約、クレーム対応、家賃回収、建物の清掃、劣化の有無の確認まで、その内容は多岐にわたっています。

日本の主な管理会社一覧

  • 三井不動産レジデンシャルサービス
  • 大成有楽不動産
  • 長谷工コミュニティ
  • エステム管理サービス

不動産会社はなぜいい物件を自社で購入しないの?

「不動産会社が進めてくる収益物件はろくなものじゃない。本当に良いものならば自社で所有しようとするからだ!」この考えは、正しいようで実は正しくありません。

そもそも不動産会社は、物件の質にかかわらず、収益物件を自ら保有し、運営したがらないものなのです。理由は簡単で、それでは事業費用を賄うことが出来ないからです。
例えば、都内に1億円、利回り10%の物件があるとします。かなりの優良物件です。この物件を所有することによって得られる年間収益は1000万円です。

結構多いように見えますが、ローン返済や必要経費などを差し引いた手元に残るお金は、おそらく300万円程度でしょう。これでは1人の年収すらまかなえません。

不動産業界は労働集約型産業(人の労働力による業務の割合が大きい)世界であり、資産を買って利回りを得るようなビジネスモデルでは人件費を始めとする経費が稼ぎ出せないのです。規模の大きい大手は例外的に保有することもありますが、少なくともそれだけで経営が成り立つことはありません。

そんなことをするよりも、その物件を安く買って高く売ったり、仲介をして手数料を得たり、管理手数料を得たりしたほうが、ずっと効率的に稼げます。上記の物件(1億円、利回り10%)の物件の仲介ができれば1億円×3%+6万=306万円の手数料が得られます。

管理を任されれば1億円×10%×5%=50万円の管理手数料が得られます。無理して自社所有の物件を増やすより、仲介や管理に精を出したほうが効率的であることは疑いようがありません。

不動産会社への就職ってどうなの?

不動産業界は規模の大きな業界であり、人気もある一方で、不動産業界に対して「ブラックである」というイメージを持たれる方も少なくありません。確かに、不動産業界の中にブラックな会社があることは事実ですが、そうでない会社もあります。ではブラック率が他業界と比べて高いのか低いのかというと、これはわかりません。

そもそも何を持ってブラックとするかという定義も充分でないまま、このような不毛な話をするのは無意味です。

それよりももっと意味がある話、例えば年収の話をしましょう。マイナビ転職では、全111業種のモデル平均年収ランキングを公開しています。モデル年収とは、マイナビに掲載される年収のことです。このランキングによれば、年収ランキングトップ10は以下の通りです。

  • 1位:ベンチャーキャピタル 1436万円
  • 2位:外資系金融 850万円
  • 3位:証券・投資銀行 825万円
  • 4位:不動産 760万円
  • 5位:生命保険・損害保険 736万円
  • 6位:金融総合グループ 659万円
  • 7位:住宅・建材・エクステリア 655万円
  • 8位:リフォーム・内装工事 620万円
  • 9位:精密機器 610万円
  • 10位:環境関連設備 601万円

不動産は全111業種のうち4位です。全業種の中でも相当上位に位置しており、少なくとも求人の上では相当年収が高いことがわかります。

※引用元:マイナビ転職

どうすれば年収が増えるの?

上記の数字はあくまでも平均の話であり、不動産関係者全員がこれだけの年収をもらっているわけではありません。

一口に不動産と言っても別の職種(例:営業と企画)では年収が異なりますし、同じ職種であったとしても勤務先や勤続年数、資格で方針年収は異なります。

営業の場合は基本給に歩合給が上乗せされることが多いため、同じ人であっても年ごとに年収が大きくブレることもあります。営業の場合はより大きな契約を取ること、企画の場合は資格をとることが、給料を増やす最短ルートと言えるでしょう。

不動産業界の特徴は?

不動産業界は他の業界とは異なり、以下のような特徴があります。

基本的に実力主義であり、若いうちから責任のある仕事を任されやすい

不動産業界は年功序列という考えに乏しく、どちらかというと実力主義的な面が強い世界です。「能力次第でいくらでも稼げる世界」と捉えることもできますし、「歳を重ねても能力がなければ給料は低いまま」と捉えることもできます。競争が好きで、実力があるものが勝つことが正しいことであると思える方には向いているかもしれません。

学歴がなくても成功しやすい

上述の実力主義的風潮とも関連することですが、不動産業界ではそれまでの学歴は重視されないことが多いです。不動産業界ではより多くの利益を稼ぎ出せる人材こそが尊ばれます。もちろん、それでも学歴がないよりはあったほうが良いのでしょうが、他の業界ほどの威光は期待できないと思ったほうが良いでしょう。

職種の幅が多い

不動産業界の仕事と聞くと営業をまっさきに思い浮かべる方が多いかと思いますが、それ以外にも企画・開発、管理、経営戦略、事務、総務など多数の職種があります。職種が多いということは、それだけ受け皿が広いということでもあります。

資格があると優位に立ちやすい

資格やスキルはどの職場でも尊ばれますが、不動産業界では特にその傾向が強いです。学歴<資格なのです。例えば「宅地建物取引士」「管理業務主任者」「不動産鑑定士」などの資格を持っていると、それだけで就職・転職の際に有利になりますし、就職・転職後は資格手当が上乗せされることが多いです。

1年の中で忙しい時期とそうでない時期の差が激しい

どの業種にも繁閑期はあると思いますが、不動産業界は特にその差が激しいことで有名です。不動産業界の大まかな繁閑期は以下の通りです(一般的な傾向であり、不動産業界の全ての会社に当てはまるわけではありません)。

  • 4月~10月:閑散期
  • 11月~12月:中間期
  • 1月~3月:繁忙期

1月~3月に忙しくなる理由は簡単で、この時期が引越しシーズンだからです。世間では4月からの新生活に備えて、この時期に引っ越しをする人が多く、賃貸借契約の更新手続きもあり、解約対応や原状回復工事にも追われます。小さな不動産会社なら、1年の4分の1に当たる3ヶ月で、1年の半分以上の売上を叩き出すこともあります。

こうした膨大な対応するために、この時期はとても忙しくなるのです。特に賃貸仲介はその傾向が顕著です。週休2日はまず難しいと思っておいたほうが良いでしょう。

逆に4月になると急に暇になります。週休2日に加えて有給休暇も取りやすくなり、社員研修を口実にした社員旅行に出かけることもあります。

次の繁忙期に備えて社員を増やしたり、社員研修をしたり、腰を据えて優良顧客の開拓にあたったりもします。繁忙期とは全く違う過ごし方をすることになるでしょう。

景気に左右されやすい

不動産業界は、数ある業界の中でも最も景気に左右されやすい時期です。不景気の際には企業はもちろん家計も支出を控えるようになるため、取引機会そのものが減り、取引単価も減少します。一方、好景気時にはマンションや商業ビルの建築ラッシュが相次ぎ、その波に乗って大幅に取引機会が増え、取引単価も上がります。

景気という並は、個人や企業、1業種ではコントロールできるものではありません。こうした事柄に左右されやすいのは、不動産業界全体の弱点であると言えるでしょう。

小さな不動産屋への就職ってどう?

不動産業界は比較的小さな企業の力が強い業界です。小さな企業への就職は不安、という方は少なからずいらっしゃるかと思いますが、小さな不動産屋は地元の地主・大家とのつながりが強く、安定した収益を得ていることが多いです。

小さな不動産屋は企画・開発や販売をする規模や実力はなく、仲介や管理を主業務としていることが多いです。仲介は繁忙に左右されやすく安定した収益源にはなりづらく、必然的に残った管理をメインの業務としているところがほとんどです。

仲介と比べて、管理は安定した収益源となりえます。仲介は取引額に応じた成果報酬型の仕組みになっているのに対して、管理は家賃の一定率を管理委託手数料をもらう仕組みになっているからです。家賃はそうそう変動しないので、したがって受け取れる管理委託手数料も安定します。

地元の地主、大家との結び付きが強い小さな不動産会社は、彼らから安定した管理手数料を受け取る事によって安定した経営を実現しています。地主や大家が持っている物件に入居したいという人から仲介手数料を受け取ることもできます。

加えて、小さな不動産屋は人が少ないので人件費もかかります。社長+数人程度で回っているようなところもザラです。

もしあなたの街に繁盛していないにもかかわらず潰れない不動産会社があるとしたら、そこは管理手数料が収益の柱となっている可能性が高いです。すでに安定した収益を得られているので、仲介業務が振るわないでも経営に問題はないのです。

小さな不動産会社に就職する際の注意点

上記の通り、小さな不動産屋には特有の潰れない理由があるため、就職の際に過度に不安がることはありません。一方で、小さな不動産屋特有のデメリットや注意点については注意が必要です。

1つ目のデメリットは、社長の人間性や経営方針に左右されやすいことです。不動産会社に限った話ではありませんが、小さい会社に務めると必然的に社長と顔を合わせることが多く、業務に口を挟まれることもしばしばあります。こうしたのに心地の悪さを感じる、という人もいるでしょう。

2つ目のデメリットは、業務の内容が幅広いことです。大手不動産会社はそれぞれの能力に特化した社員をおいておく事ができますが、小さな不動産会社にそれだけの余裕はないため、それぞれの社員が幅広い業務を請け負うことになります。経験を積めるという点では必ずしもデメリットとは言えないのですが……。

また、小さな不動産会社が店舗を急に増やそうとしている時は注意が必要です。1~2店舗しかない小さな不動産屋は業績も利益も安定していつぶれにくいのに対して、5~6店舗に拡大した不動産屋は経費がかかる分潰れやすいのです。

新規店舗のある地域ではまだ顧客がおらず、それを獲得するために営業をかけるわけですが、それに失敗すると経費だけかさんで収益が増えず、結果として黒字が縮小、赤字が拡大します。

大企業ならば支店の経営状態が悪化しても別の支店や本店が助けられますが、5店舗程度ではそれもままなりません。急激な事業拡大には気をつけましょう。

まとめ

  • 不動産屋は開発や販売、仲介、管理などによって利益を得ている
  • 不動産業界の年収は高い
  • 不動産業界は実力主義で、学歴よりも資格が重視される
  • 不動産会社は季節や景気に左右されやすい
  • 小さな不動産会社は意外と安定しているが、特有のデメリットも

不動産業界は実力主義の世界であり、優秀な人ならば学歴がなくても稼げます。一方で季節や景気に左右されやすいなど、デメリットもあります。就職する前にはよく熟考し、他の業界と比べてみることも肝心です。