賃貸物件をリフォームすべきタイミング+リフォーム業者の選び方が分かる記事

賃貸物件の経営を長年続けていると、必ず「リフォームすべきか、家賃を下げるべきか、それとも物件を売りに出すべきか?」という場面に直面するはずです。

新築時や築浅時には強気の家賃設定をしても入居希望者が集まることが多いですが、時間が経つに連れて物件は劣化し、それに伴いだんだん借り手が付きづらくなってくるはずです。

そんなときにはリフォームをすれば物件の競争力が回復し、家賃を下げずとも入居者が集まる可能性が高まります。一方で、不適切なリフォームは赤字を拡大しかねませんし、そもそもリフォームをしないほうが良いような物件もあります。

今回の記事では賃貸物件のリフォームを行うメリットやデメリット、リフォームするべきかしないべきかの判断方法、具体的なリフォームの方法などを解説いたします。古くなってきた物件の取扱に困っているという方は、是非参考にしてください。

賃貸物件のリフォームに対する基本的な考え方

賃貸物件のリフォームを成功させる上で最も大切なことは、費用対効果を再重視することです。費用対効果とは、費用に対する効果の大きさのことです。費用対効果が優秀ということは、簡単に言えば「少ない投資で多くの家賃が得られる(若しくは家賃の下落を防げる)」ということです。

賃貸物件は事業です。事業で最も大切なことは利益を上げることです。自分の家をリフォームするのならば話は別ですが、賃貸物件をリフォームする時は、常に費用対効果を再重視すべきです。これは簡単なようでいて、意外と難しいです。

はじめてリフォームを行う(そして、自分は費用対効果の概念を理解していると思っている)大家さんがやりがちな失敗として、「料金だけでリフォーム会社を選ぶ」というものが挙げられます。

料金だけで選ぶというのは、費用対効果の費用の部分しか見ていないのと同じです。費用が安くても効果が0やマイナスならば、費用対効果は悪いと言わざるを得ません。逆に料金が多少高くても効果がそれ以上高ければ、費用対効果は優秀と言えます。大事なのは費用と効果の両方をしっかりと把握することです。

費用は事前に見積もっておく

リフォームはやろうと思えば際限なくやれてしまいます。しかし、だからといって実際に際限なくリフォームをしてしまえば、必ず赤字になります。最初から予算を決めておき、それ以上のリフォームはしないと決めておくことが大切です。また、当然ですが、限られた費用は費用対効果の高いところに投入すべきです。

リフォームのメリット

賃貸物件をリフォームする主なメリットは以下の3点です。

空室対策になる

賃貸物件をリフォームする一番のメリットは、空室対策になることです。賃貸物件を経営する上で最も大きなリスクは空室率が増加することです。特に戸数が少ないアパートや小型マンションの場合、1つ空きができるだけでも利回りは大きく低回してしまいます。リフォームで価値を回復させれば、入居付けが容易になり、空室率を低下させやすくなります。

家賃を維持しやすくなる

リフォームの2番目のメリットは、家賃を維持しやすくなることです。リフォームをしない場合、家賃を同じままにしているとどうしても空室が増えるため、家賃を下げざるを得なくなってきます。リフォームで価値を回復すれば、入居付けが容易になり、家賃を維持しやすくなります。場合によっては逆に家賃をあげられるかもしれません。

費用対効果の高い方法を選べる

リフォームの3番目のメリットは、費用対効果の高い方法を厳選できることです。リフォームと一口に言ってもその方法は

  • 外壁を塗り直し、見栄えを良くする
  • クロスを張り替えて見栄えを良くする
  • 最新のインターフォンを導入する
  • エアコンを設置する
  • ディンプルキーを導入する
  • 防犯カメラを設置する
  • 水回りをきれいにする
  • 窓を遮音性能の高いものに変える
  • 照明を蛍光灯からLEDに変える
  • 間取りを変更する

など多岐にわたります(他にもたくさんあります)。新築物件を建てる場合はこの全てを行わなければなりませんが、リフォームの場合はこの中から費用対効果の高いものだけを選択できるのです。

例えば上記の選択肢の場合、外壁の塗り直しは比較的費用対効果が高いと言われています。外壁は物件見学者が最初に目にすることろであり、ここをきれいにするだけでも第一印象がぐっと良くなります。費用はそこそこかかりますが、それ以上の効果が期待できるため、費用対効果は高いと言えます。

また、エアコンは最近は生活必需品に近い位置づけになってきているため、これがあると一気に入居付けがしやすくなります(ないと入居付けが難しくなるとも言えます)。

リクルート住まいカンパニーが2014年に行った「入居物件決定の際の設備・仕様の必要度に関する調査(複数回答可)」によれば、エアコンが必要だと答えた人は全体の71.0%で、全38項目の中でもトップでした。エアコンの設置自体にはそれほど費用はかからないため、費用対効果は優秀と言えます。

一方で、上記の調査で節水型トイレが必要だと答えた人は16.9%でした。無論ないよりはあったほうがいいものですが、設置費用の割に需要が多くないことを考えると、費用対効果に優れているとは言えません。こうした点を後回しにできる(もしくはしないで済む)のが、リフォームの良いところです。

リフォームの主なデメリット

上記のようにメリットが多いリフォームですが、一方でデメリットもあります。主なデメリットは以下の3点です。

常に効果を得られるとは限らず、一定のリスクは伴う

リフォームには費用対効果の高い方法が多数ありますが、それを実行したからと言って常に入居が増えるとは限りません。例えば景気が悪化したり、周囲により良い物件ができたりすれば、思ったほどの効果は得られなくなってしまいます。最悪の場合、災害などで物件そのものが無くなってしまうことも考えられます。

リフォームは一定のリターンを望める一方で、リスクもそれなりにあるということは理解しておくべきでしょう。

物件を一定期間貸せなくなることがある

リフォームの内容によっては、期間中に物件を入居者に貸し出すことができません。比較的短期間で終わるリフォームの場合はそれほど重要ではありませんが、間取りの変更など時間がかかるリフォームをする場合は、その期間中の資金繰りについても考えておいたほうが良いでしょう。

リフォーム業者を選ぶのが難しい

リフォーム業者は世の中に多数ありますが、その中から自分の物件に最も合った業者を選ぶのは簡単ではありません。費用が安いだけで技術もない業者もあれば、費用が高い上に技術もない業者もあります。

技術に問題がなくても、自分の物件との相性が悪いせいで思ったほどの効果を挙げられないこともあります。リフォームが成功するか失敗するかを決めるのはリフォーム業者と言っても過言ではありません。

リフォームする・しないの判断基準は?

基本的には、「その物件を建て替えたらどうなるか?」を基準にすることをおすすめします。物件を建て替えたら集客できそうな場合、すなわち集客力低下の理由が物件そのもの(経年劣化している、設備が貧弱など)にある場合は、リフォームで収益が改善できる可能性が高いです。この場合は、リフォームも有力な選択肢になります。

一方、物件を建て替えても集客できなそうな場合、すなわち集客力低下の理由が物件以外の要因(駅から遠い、人口が減少しているなど)にある場合は、リフォームをしても収益力が改善する可能性は低いので、売却を中心に検討することをおすすめします。

リフォーム業者の種類を知ろう

リフォームを成功させるためには、リフォーム業者を知ることが必要不可欠です。世の中のリフォーム業者は、いくつかの種類(タイプ)に分類できます。それをまとめたのが以下の表です。

業者の種類(タイプ) 概要 相性のいいリフォーム
リフォーム専門会社 リフォームを専門的に行っている会社。比較的規模の小さい会社が多いが、対応できるリフォームの幅は広い。 総合的なリフォーム
ハウスメーカー 住宅建設会社、もしくはその子会社。そのメーカーのフォローやメンテナンスが充実しているが、新規でも依頼ができる。 ハウスメーカーの建てた物件のリフォーム
設計事務所 建築家が所属する法人。1人の事務所と複数人の事務所がある。施工をする人はおらず、受注した依頼は下請けに回す。 デザイン性の高いリフォーム
工務店 基本的な業務内容はハウスメーカーと同じだが、規模は小さい事が多い。 総合的なリフォーム
住宅設備メーカー LIXILやTOTOなど、特定の住宅設備を取り扱っている業者。 住宅設備のリフォーム。
その他 家電量販店、設備工事店、ホームセンター等。 業者による

リフォームの質と業者の規模は比例しない?

規模が大きいリフォーム専門会社やハウスメーカーは知名度が高いため、ついつい優先的に選んでしまいがちですが、実はリフォームの質と業者の規模は必ずしも比例するとは言えません。

理由は簡単で、受注した業者が施工を行うとは限らない(むしろ行わない場合のほうが多い)からです。大手ともなれば、その全てを下請けに回すことも珍しくありません。そうしたほうが業者としても安上がりで、常時技術者を雇うリスクも追わずに済むからです。

では、大手業者に依頼するメリットはない(直接下請業者に依頼したほうが良い)のかというと、それも違います。大手ともなれば複数の下請けと付き合いがあります。

大手業者に依頼した場合、その業者の担当者はこちらのリフォームの要望にあった技術力のある下請けに工事を回してくれる可能性が高いです。一方、下請けに直接依頼するのは安上がりではありますが、その下請けに十分な技術があるかどうかは測れません。大手業者への依頼が一種のリスクヘッジとなるとも言えるのです。

業者の規模ではなく実績で選ぶべき

大切なのは業者の規模ではなく、実績です。たとえ直接施工しない業者であっても、実績があれば問題ありません。確かな下請けを見抜く目があるからです。もちろん、実績のある下請け業者でもOKです。

相見積もりの読み方

めぼしいリフォーム業者をいくつか見つけたら、相見積もりを取りましょう。相見積もりは3社程度から取るのが良いと言われることが多いですが、個人的にはもう少し多く、5社ぐらいあったほうが良いかと思います(あまり増やしすぎると比べるのが嫌になってしまいますので気をつけましょう)。

相見積もりをもらう際には、各業者に相見積もりをもらっている(他社にも見積もりを依頼している)ことを明言しましょう。これにはマナーという意味合いもありますが、むしろ自分の利益を確保するという意味合いが大きいです。

見積もりを他社に見せてしまうと、やすくするために技術力の低い職人を投入されたり、逆に足元を見られて高い金額を請求されたりする可能性があります。

費用が安すぎる業者は要注意

相見積もりをもらったら、まずは総費用を比較します。ここで大切なのは、費用があまりにも安すぎる業者は疑ったほうが良い、ということです。

実際のところ、リフォームの費用というのはその内容でほとんどが決まるものです。同じレベルのリフォームをやろうとすれば、どこでもだいたい同じ費用になるはずなのです。にもかかわらず費用が安すぎる業者は、見えないところで手抜きをしていたり、あとから追加工事を行おうとしたりする可能性があります。どちらにせよ信頼できる業者ではないので、依頼はおすすめしません。どうしても気になる場合は、なぜ安くできるのかを確認しましょう。

一式見積もりしか提出しない業者は避ける

一式見積もりとは、内訳を詳細に書いていない見積書のことです。このような見積もりは、材料費と人件費の内訳がどうなっているのか、製品の型番はなんなのかなどが全くわからず、非常に不親切です。このような見積書しか提出しない業者は避けたほうが良いでしょう。

事前にリスクについて話さない業者は避ける

工事が必ずしも見積もりどおりに運ぶとは限りません。特に大規模なリフォームの場合は、追加工事が発生することがままあります。それ自体は仕方のないことですが、事前にリスクの存在をきちんと明かさない業者というのは信頼できません。その工事を行うことによって、どんな追加工事が発生するリスクが有るのかの説明は事前に十分に受けましょう。

物件現地調査のポイント

現地調査では、現地調査では担当者は物件の状態や必要な工事を把握し、依頼者は担当者の信頼度や相性を把握します。リフォームは多額のお金が動く工事ですので、疑問点がある場合はどんどん質問しましょう。

リフォームに対する補償

リフォームに対する補償は、大きく3つに分けられます。

補償なし

リフォームに対する補償が一切ないタイプです。民法上の瑕疵担保責任以外は追求できなくなってしまいますが、その分費用は安くなります。大きなトラブルが起こるような危険が少ない簡単なリフォームなら選択肢に入るかもしれません。

独自補償あり

その業者が用意した独自の補償があるケースです。独自のものなので業者によって大きく内容が異なりますが、年数補償がついていることが多いです。点検などのアフターサービスがついてくることもあります。会社自体が倒産してしまっては補償も何もなくなってしまいますので、潰れなさそうなところを選びましょう。

リフォーム瑕疵保険あり

リフォーム瑕疵保険は、国土交通大臣の指定した保険法人に、リフォーム業者が加入するというものです。この保険に加入している業者でリフォームをした場合、補償だけでなく検査も受けられるうえ、業者が倒産しても保険会社から保険金を受け取れます。加入には基準をクリアする必要があるため、ある程度の品質も確保されます。

一方で保険料は実質依頼者負担となり、工事期間が長くなるという欠点もあります。期間も一般的なリフォーム工事の保険期間は1年、構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分(雨漏り)の保険期間は5年と、長くはありません。

まとめ

  • リフォームは費用対効果を最優先させるべき
  • リフォームは入居率や家賃上昇に貢献する可能性が高い
  • 一方である程度のリスクは有り、特にリフォーム業者選びは難しい
  • 立地や人口減少が原因の需要低下には、リフォームでは対応しづらい
  • リフォーム業者を選ぶ場合は規模よりも実績を重視する
  • 見積もりが安すぎたり、一式見積もりしか提出しなかったりする業者は避ける
  • 補償はあるに越したことはないが、その場合は費用もかさむ

リフォームは物件の収益を改善させる可能性を秘めている一方で、万能の方策ではありません。自身の物件の状態に応じて、最適なプランを選びましょう。