2018年9月21日に新型iPhoneの「iPhone10s」が発売されました。発売日には各地の携帯ショップに多くのiPhoneユーザーが流れ込みましたが、そこで審査に落ちる人が続出したことが話題となりました。
近年は携帯電話端末の高価格化に伴い、分割払いで購入する人が増えてきていますが、分割払いには審査があります。携帯電話料金の滞納や債務整理などの事故履歴があると審査に通らず、分割払いでの購入ができなくなってしまいます。
今回は携帯電話を分割払いで購入する際の審査の仕組みと落ちる原因、落ちた場合の対処法などについてまとめて解説いたします。
携帯電話の契約審査と分割審査の違い
携帯電話を購入するときの審査は大きく「契約審査」と「分割審査」に分けられます。契約審査とは新規契約や機種変更の際に行われる審査で、これに通らないとそもそも携帯電話が買えません。新規契約の場合は、機種変更と比べて審査難易度が高くなります。
一方、分割審査は名前の通り分割払いをする際に行われる審査です。この審査はカードローンの審査に似ています。分割払いも広い意味では借金(携帯電話会社から見た場合は融資)であることに変わりないため、このような審査を行っているのです。
一括払いで購入する場合は分割審査は省略されますが、最近は端末が高額化していることもあり、多くの方が分割払いを利用しています。必然的に、多くの人が分割審査を受けています。「審査に落ちた」と言っている人の多くは分割審査に落ちていますが、契約審査に落ちている人も少なからず存在します。
契約金額が10万円を超えると分割審査が厳しくなる
上記の審査の内容は、契約金額が10万円を超える場合と超えない場合では審査の内容が大きく変わります。簡単に言えば、10万円を超えると、分割審査の難易度が高くなるのです。
10万円を超える場合は、契約審査のための年収や勤務先、世帯構成などを細かく問われる他、信用情報機関へのアクセスも必ず行われます。信用情報機関とは個人の借金に関する情報(信用情報)を集め、状況に応じて業者に提供している機関のことです。
一方、10万円以下の場合は、個人信用機関へのアクセスが必須ではなくなるほか、契約審査のための自己申告の項目も減るなど、審査がより簡単になります。
iPhone10sの販売開始直後に審査に落ちたという報告が各種SNSで相次いだのは、契約金額が10万円を超えていたためだと思われます。
携帯電話の審査に落ちる4つの理由
携帯電話の審査に落ちる理由はいくつか考えられますが、その中でも代表的なものは以下の4つです。
- 携帯電話会社の料金を滞納したり、強制解約されたりしたことがある(契約審査に落ちる)
- 年収や勤務先等に問題がある(契約審査に落ちる)
- 借金を延滞したり、債務整理をしたりしたことがある(分割審査に落ちる)
- 信用情報機関に情報が何も登録されていない(分割審査に落ちる)
携帯電話会社の料金を滞納したり、強制解約されたりしたことがある
携帯電話会社は、消費者が思っている以上に料金滞納を嫌っています。特に現時点で料金を滞納している場合、100%審査に通らないと思ったほうがいいでしょう。この場合は新型のiPhoneを買おうとするよりも先に、未納分をすべて支払うことを優先させるべきです。
現時点では滞納していないが過去に滞納していたという場合は、その滞納の悪質さ次第で審査結果が変わります。滞納回数が1回か2回程度で、通知が来てからすぐに支払ったという場合は特に問題とはみなされないようですが、滞納を繰り返している場合は審査は非常に厳しいものになるでしょう。
なお、支払最速の連絡を無視し続けると、最終的に強制解約となります。強制解約された携帯電話会社の審査に通る可能性は事実上0と考えたほうがいいでしょう。
年収や勤務先等に問題がある
契約金額が10万円を超える場合、年収や勤務先なども審査されます。年収については、その多寡よりも安定性が問われることが多いようです。この点、毎年の稼ぎが安定している公務員や中堅以上の企業の会社員は有利です。
零細企業であっても、正社員ならば特に不利にはならないでしょう。逆に契約社員や派遣社員、パートやアルバイト、自営業者などは不安定な立場とみなされ、審査で不利になることが多いです。
勤続年数は長ければ長いほど有利になります。ここで言う勤続年数とは、現在の勤務先に努めている年数であり、社会人経験年数ではないことに留意が必要です。例えば社会人生活30年目のベテランであっても、転職した直後であれば勤続年数は1年未満とみなされます。転職直後は審査で不利になりやすいため、転職の予定がある人はその前に審査を済ませてしまったほうがいいかもしれません。
住宅に関しては、持ち家が高く評価されます。持ち家ならばそうそう夜逃げはしない(円滑に取り立てができる)と判断されるためです。賃貸の場合、官舎や社宅と言った仕事と結びついたものは比較的高評価です。普通の賃貸マンションやアパートは可もなく不可もなく、公営住宅などはやや低めです。
家族構成は既婚で共働きの子無しが有利です。独身者は連絡がつきにくい点が敬遠されやすく、子ありは子供がいることによって自由に使えるお金が減る点が敬遠されやすいためです。重要度はそこまで高くない項目ですが、一応押さえておきましょう。
借金を延滞したり、債務整理をしたりしたことがある
前述の通り、個人の借金に関する情報(信用情報)はすべて、信用情報機関という機関に登録されています。(そんなことに同意した覚えはない、と言われるかもしれませんが、それは契約書をキチンと読んでいないだけです)。
携帯電話会社は審査の際に信用情報機関の信用情報にアクセスし、申込者が過去にクレジットカードの支払を滞納したり、債務整理したりしていないかを審査します。信用情報に傷がある場合、すなわち過去に延滞や債務整理をしたという記録が残っている場合、審査にはまず間違いなく落ちるでしょう。
これを解決する方法はたった1つ。それらの情報が消えるのを待つしかありません。実は、延滞や債務整理に関する情報は永久に残るわけではなく、一定期間経過すると個人信用情報機関から削除されます。削除までにかかる時間は情報の内容によって異なりますが、代替5年から10年程度で消えるようです。
その情報が消えてしまえば、延滞や債務整理の過去が携帯電話会社にバレることはなくなります。信用情報機関に登録されている情報は本人ならば500円~1000円で開示できますので、どのような情報が記録されているかわからないという方は問い合わせてみるといいでしょう。以下に書く信用情報機関へのリンクを張っておきますので、そこから問い合わせてください。
なお、これらの情報を信用情報機関の定めた期間よりも早く消す方法というのは一切存在しません。たまに「ブラック情報(都合の悪い個人信用情報のこと)すぐに消します」といった怪しげな広告を目にすることがありますが、すべて嘘、詐欺だと考えてください。
信用情報機関に情報が何も登録されていない
信用情報機関に全く何も情報が登録されていない状態を「ホワイト」といいます。ホワイトは一見審査で有利に働供養に見えますが、実際にはむしろ逆で、審査で不利になることのほうが多いです。携帯電話会社から見た場合、債務整理や延滞の経験者に見えるからです。
前述の通り、信用情報機関に集められた情報は一定期間で削除されます。つまり、ホワイトになるわけです。一方、クレジットカードやカードローンを一切使わなかった場合もホワイトになります。
前者と後者では信頼度が全く違うわけですが、携帯電話会社側から見た場合、両者は全く同じように見えます。携帯電話会社としては余計なリスクを負いたくないため、ホワイトとの契約には消極的です。
もし現時点でホワイトである場合は、比較的作りやすいハウスカード(特定のショップのみで作れるクレジットカード)を使うなどして信用方法を作るようにしましょう。
携帯電話の審査に落ちた場合の対処法
携帯電話の契約審査に落ちても、その理由を携帯電話会社が教えてくれることはありません。自分で推測して、問題点を改善するしかないのです。自分のどこに落ち度があったのか、よく考えてみましょう。
契約審査に落ちた心あたりがある場合
つまり携帯電話料金を延滞したり、強制解約されたりした経験がある場合は、契約審査に落ちている可能性が高いです。その場合は、携帯電話会社を変えるのが最も根本的な解決策となります。その携帯電話会社は多分あなたと契約する気が薄い可能性が高く、繰り返し審査を受けても通る可能性は薄いです。
あなたが延滞癖のある人間である場合は、別の携帯電話会社でも延滞を起こさないように、自動引き落としにしてもらうといいでしょう。
年収や勤務先等に問題がある場合は、最新型のiPhoneはあきらめて、型落ちのものやAndroidなどを選ぶことをおすすめします。
携帯電話会社の契約審査は正直なところ、そこまでハードルが高いものではありません。少なくともカードローンを組むよりはずっと簡単なはずです。その程度の審査に通れないという方が最新型のiPhoneを使いたいというのは身に余る贅沢といわざるをえません。
契約審査に落ちた心当たりが無い場合
契約審査に落ちた心当たりが無い場合、信用情報に何らかの問題がある可能性が高いです。過去に起こしたちょっとした延滞などを忘れているのかもしれません。
とりあえず各種信用情報機関に問い合わせを行い、事故情報を確認してください。確認してもなお理由がわからないという場合は、一括払いを選ぶといいでしょう。契約審査にさえ通っていれば、これだけでも解決になります。
まとめ
- 携帯電話の審査には「契約審査」と「分割審査」がある
- 一括払いならば分割審査は受ける必要はない
- 契約金額が10万円を超えると審査のハードルが高くなる
- 携帯料金の滞納、強制解約の経験があると契約審査に落ちやすくなる
- 信用情報に問題があると分割審査に落ちやすくなる
- 審査にどうしても通らない場合は、別の携帯電話会社に乗り換えたり、端末を型落ちさせたりするのも手
携帯電話の審査はそれほど難しいものではありませんが、にもかかわらず意外と落ちる人は少なくありません。料金の滞納や借金の延滞などは審査落ちの原因となりますので気をつけましょう。