家族の借金は本人以外に返済義務はない!ただし……

借金は原則として個人単位で行うものです。そのため、通常は家族の借金をあなたが返す義務を負うことはありません。同様に、あなたの借金を家族が返す義務を負うこともありません。

しかし、この原則にはいくつかの例外があり、その例外に当てはまってしまった場合は、あなたが家族の借金を背負う羽目になる可能性があります。

そのような事態を防ぐために、家族の借金を肩代わりしなければいけないケースと、その対処法を知っておく必要があります。

今回の記事は特に現在家族の誰かが借金をしているという人には必見の内容となっていますので、是非参考にしていただければと思います。

原則として、家族の借金を支払う義務はない

繰り返しになりますが、原則として家族の借金をあなたが返済する義務はありません。もちろん任意で行うのは自由ですが、特別な理由なく金融機関から支払いを求められた場合は、拒否しても全く問題ありません。

また、金融機関からの取り立てに協力する義務もありません。金融機関の担当者から借金をしている家族の居場所を尋ねられても、答える必要はありません(もちろん答えても構いません)。

ただし、以下の例外に当てはまってしまった場合は、家族の借金を代わりに返済しなければなりません。その例外とはすなわち以下の4つです。

  • 家族の保証人になっている場合
  • 借金を残した家族が亡くなり、それを相続した場合
  • 借金をしたのが未成年の家族である場合
  • 借金の理由が生活費や教育費のためであった場合

家族の保証人になっている場合

保証人とは、主たる債務者が何らかの事情で返済できなくなった場合に、代わりに借金を支払わなければならない義務を負う者のことです。保証人はさらに「保証人」と「連帯保証人」があり、両者の地位には差があります。

連帯保証人のほうがより不利な立場になりますが、通常の保証人であっても借金の返済義務を負うかもしれません(参考:借金の連帯保証人になって大ピンチ!自己破産するしかないの?)。

よく「どんなに親しい人の頼みであっても、絶対に保証人にだけはなってはいけない」と言われますが、これはまったくもって正しいです。

家族が借金をする際に保証人が必要だと言われた場合は、自分でならずに保証会社を利用するよう勧めた方がいいでしょう。

保証会社とは簡単に言えば、個人の代わりに保証人になってくれるサービスを提供し、その見返りとして報酬をもらっている会社のことです。

借金を返せなくなった場合、債権者は保証会社に対して支払いを求めます。保証会社は支払いに応じ、その金額を債務者に対して支払いを請求します。

保証会社を使っても借金がチャラになるわけではありませんが、少なくとも家族が不幸になることはありませんし、保証会社はもともとの債務者よりも分割払いなどに柔軟に応じてくれることが多いです。家族が保証人になってきてほしいと申し込んできたとしても絶対に断り、保証会社を紹介しましょう。

借金を残した家族が亡くなり、それを相続した場合

ある人が財産を残して亡くなった場合、その財産は相続人が相続することになります。相続人は1人になる場合もあれば、複数人になる場合もあります。基本的には被相続人(亡くなった人)の配偶者と子供は必ず相続人になり、いない場合はそれよりも優先度が低い家族、例えば孫や父母、祖父母へと権利が移っていきます。

相続人が何も手続きをしなかった場合、自動的に相続が成立し、プラスの財産はもちろん、マイナスの財産も引き継ぐことになってしまいます。プラスの財産のほうが圧倒的に多ければ問題ないのですが、マイナスの財産のほうが多かった時は、相続のせいで余計な借金を抱えてしまうことになります。

これを避けるために行うのが相続放棄です。相続放棄とは文字通り相続を放棄するために行う続きで、これを行うとプラスの財産及びマイナスの財産は一切引き継がれなくなります。プラスの財産が受け取れなくなってしまうのは残念ですが、マイナスの財産を引き継ぐこともなくなります。家族が大量の借金を残して亡くなった時は、相続放棄をしましょう。

なお、相続放棄は自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。間に合いそうもない場合は、家庭裁判所に申し立てすれば例外的に期間が伸びることもありますが、基本的には3ヶ月以内に終わらせることを目標とした方がいいでしょう。

借金をしたのが未成年の家族である場合

未成年者が借金をする場合は、法定代理人の許可が必要です。法定代理人とは、本人の意志ではなく、法律に基づいて設定される代理人で、未成年者の場合は通常親がなります。

未成年者が親の許可を得て借金をし、未成年者が返済困難に陥った場合は、法定代理人である親が返済義務を老います。

ただし、未成年者が法定代理人の許可なく借金をした場合は、法定代理人である親が返済義務を負うことはありません。この場合、そもそも法定代理人の許可を得たことを確認しなかった貸主側の過失となるため、最初の契約自体を取り消せます。

ただし、その時点で借りたお金がまだ手元にある場合は、そのお金は貸主に返さなければなりません。子供に借金をさせて後で取り消し、借りた分をせしめると言ったようなことはできません。

借金の理由が生活費や教育費のためであった場合

配偶者が借金をしていた場合、その借金の理由次第ではあなたも返済義務を負う可能性があります。例えば、以下のような理由で配偶者が借金をした場合は、あなたにも返済義務が発生します。

  • 生活費
  • 教育費

要するに、日常生活など、両者にとって必要、もしくは得になる理由の場合は、返済義務が発生します。このような理由でできた借金を「日常家事債務」といいます。逆に言えば、片方にしか必要、もしくは得にならない理由、例えば

  • ギャンブル、浪費など
  • 趣味など

に掛けたお金は日常家事債務ではないので、配偶者と言えども返済義務は発生しないということになります。なお、その借金が日常家事債務に該当すること(配偶者にも返済義務があること)の証明は、貸主側が行う必要があります。

ケーススタディ

ここまでの資料を元に、いくつかケーススタディを行ってみましょう。

成人した家族がキャッシングで知らない間にお金を借りていた場合

キャッシングとは、クレジットカードに付帯する小規模な借り入れ機能です。この場合は通常、家族に支払い義務は発生しません。キャッシングは通常保証人無しで借りられるサービスなので、知らない間に支払い義務を負わされることはありません。

ただし、借り入れの理由が日常家事債務に相当するものであった場合は、その限りではありません。

同意した覚えがないのに勝手に保証人にされていた場合

勝手に家族が自分を保証人にしていた場合、自分が保証人になることに同意していないと証明できれば契約は無効になります。逆に言えば、証明できなかった場合は、支払い義務が発生する可能性があります。

現在は連帯保証人の確認を代筆で、本人確認もせずに済ませるような金融機関はまずありませんが、個人間の貸し借りの場合はそのあたりが省かれる可能性があります。

もし勝手に保証人にされていたことが発覚した場合には、まずは貸主から契約書のコピーを送ってもらいましょう。そこの署名の筆跡、押印された印鑑の種類などから、自分が書いていないことを証明できる可能性があります。実印が押してある場合は極めて不利になりますので、実印の場所は家族にも教えないほうがいいでしょう。

相続人になったが、被相続人に借金があったかもしれない場合

被相続人が亡くなった場合、相続人はそのことを知ってから3ヶ月以内に相続放棄をするか、もしくは何もせずに相続する必要があります。

ただ、被相続人がいつも自分の財産をすべて明かしてから亡くなるとは限りません。被相続人に借金があったかなかったかよくわからないという場合は、自宅の郵便物を探したり、預金通帳を確認したりして、借金をしていなかったか調べます。

また、個人信用情報機関に対する開示請求も有効です。銀行、信用金庫、貸金業者など、正規の金融機関は通常、個人信用情報機関に登録しています。これは個人の借金に関する情報を管理する機関です。通常は金融機関と本人以外の開示請求は受け付けられませんが、本人が亡くなった場合、自分が被相続人の相続人であることを証明できれば開示できます。

クレジットカードを家族が使った場合

本人以外の人間がクレジットカードを使用する行為は、詐欺罪に当たります。クレジットカード会社も、契約約款で「クレジットカードを本人が使用することはどんな理由があろうと一切認めない」と宣言している場合が大半です。

たとえクレジットカードの保有者の許可があっても契約違反となり、それがバレた場合は良くて注意、悪ければ利用停止処分や契約解除になってしまう可能性もあります。

本人が許可していなかった場合(クレジットカードを勝手に持ち出された場合)は、不正利用として盗難紛失保険が適用され、被害額はカード会社が保証してくれますが、許可していなかったことを証明できなかった場合はその限りではありません。

知らない人の悪用は補償されますが、家族の悪用は補償されないかもしれない、と覚えておいてください。クレジットカードはたとえ家族であっても使わせないようにしましょう。

家族の借金を本人の許可なく債務整理することはできる?

借金は個人単位で行うものですので、たとえ家族であっても他人の借金を勝手に債務整理することはできません。たとえ家族がどんなに困窮していても、その人に債務整理をする意志がなければいけません。何とかして家族を債務整理する方向に持っていくしかありません。

ただし、債務者本人が高齢、もしくは知的障害などで正しい判断を行えない場合などは、家庭裁判所で自身を後見人として選任してもらえば、債務者に変わって債務整理を行えるようになります。逆に言えば、債務者が健康で判断力に問題ない場合は、その意志を無視して家族が勝手に債務整理するのは不可能、ということです。

まとめ

・家族がした借金は原則として本人のみが返済義務を負うが、例外がいくつかある
・家族の借金を本人の許可無く債務整理することは原則不可能

家族の借金は原則として本人が返済するものですが、例外に関する規定もいくつかあります。事前に把握しておきましょう。