お金やものを盗む病気「窃盗症」とは。本人と周囲の対処法

世の中にはお金やものなどを盗みたいという衝動を抑えられずに、実行に移してしまう病気が存在しています。医学的には窃盗症(クレプトマニア)と呼ばれるもので、基本的にはアルコール依存症などと同じ「依存症」に分類されます。

自分の意志で窃盗をしたいという欲望を抑えるのが極めて難しく、実行に移して成功すると満足感・高揚感を得ます。近年、窃盗性を含むいわゆる依存症には、刑罰よりも治療が有効であることがわかってきましたが、現状、日本で高度な窃盗癖の治療がうけられる病院は数えるほどしかなく、病気に対する理解も進んでいません。

今回の記事では窃盗症の本人、もしくは周囲の人がどのように対処すればいいのかについて解説いたします。

窃盗症ってどんな病気?

窃盗症とは、物を盗みたいという衝動を抑えられない病気です。一般的には「盗癖」と表現されることが多いですが、癖というよりも依存症と言うべきものです。

窃盗癖の人の行う万引きの特徴として、盗む対象についてはさしたる執着がないことが上げられます。盗んだものは使わずに捨ててしまったり、人にあげてしまったり、場合によっては盗んだところに戻すことすらあります。

なぜこのようなことをするのかというと、盗む対象が目的なのではなく、盗むこと自体が目的だからです。盗まれる側にとっては迷惑この上ない話ですが……

窃盗症の有病率は?

窃盗症の一般人口における有病率は、0.3~0.6%程度とされています。男女比は男1に対して女3と、女性によく見られる病気です。

窃盗症の診断基準は?

アメリカの精神医学会の診断基準であるDSM-5では、以下のように基準が定められています。

  1. 個人的に用いるためでもなく、金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
  2. 窃盗におよぶ直前に緊張の高まりがある。
  3. 窃盗を犯すときの快感、満足、解放感を感じる。
  4. 盗みは怒りまたは報復を表現するためではなく、妄想または幻覚に反応したものでもない。
  5. 盗みは、行為障害、躁病エピソード、または反社会性人格障害ではうまく説明されない。

引用:大石クリニック

これらの基準は、窃盗症を診断する上での判断材料になります。ただし、この基準が絶対というわけではありません。

窃盗症の原因は?

明確にはなっていませんが、心理的、生物学的、遺伝的因子が関係しているものと思われます。心理的因子については、親しい人との別れなどの大きなストレスが引き金となる事が多いようです。また、脳疾患や精神遅滞が関係あるとされています。

窃盗症の治療法は?

治療には精神科や心療内科の精神療法が有効であると言われています。精神療法とは心理的側面から精神疾患の治療を計る治療法です。薬物などを使って身体療法とは異なる概念ですが、対立するものではなく、両者を併用することによってより高い効果を得られることも少なくありません。

精神療法と一口に言ってもその方法は様々であり、意志が患者と直接対話するものもあれば、患者同士が対話するものもあります。テキストを用いた教育プログラム、窃盗ができる場面で窃盗したいという欲望を抑えるためのプログラムなども、こちらに含まれます。

薬物療法が有効なこともありますが、あくまでも補助的に使うことが多いです。

いい病院の見分け方は?

窃盗症という病気の知名度は決して高いとはいえず、精神科や心療内科でも適切な診断が下されるとは限りません。事前に電話をするなどして、窃盗症の治療が受けられるかどうか確認した方がいいでしょう。以下に窃盗症の専門的な治療が受けられる病院へのリンクを張っておきますので、近所の方は参考にしてください。

周囲に窃盗症の人がいる場合の対処法

周囲(家族などではなく、同僚などあまり親しくない他人)に窃盗症の人がいる場合の対策についても考えてみましょう。

この場合、その人の窃盗癖が治るまでは、できる限り盗まれやすい場所に大切なものを置かないのが最大の防御策になります。盗まないようにと言っても無駄です(言われて辞められたら依存症ではありません)。

治療に協力して上げたくなるほど親しい人でないのならば、なるべく干渉しないほうが良いでしょう。下手に付き合っても疲れるだけです。

まとめ

  • 窃盗症は依存症の一つ
  • 窃盗症は刑罰よりも治療で改善する
  • 治療は精神科や心療内科などで受けられる

窃盗症の治療は早く始めるに越したことはありません。自覚がある方は、早めに病院に相談しましょう。